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家計簿ソフト


パソコンで家計簿をつけよう! 家計簿ソフト比較レビュー (98/02/16)

■パソコンで家計簿をつけよう!

 そろそろ青色申告手続きの期限が迫ってきていますが、事業を営んでいない方も、自分の一年間の収支を明らかにしていけば、無駄な支出部分も見えてくるというもの。時間と手間を最小限にしながら収支を分析するには、やはり家計簿が一番ではないでしょうか。今回は、簡単に家計簿をつけられるソフト

を比較レビューしました。


■マウス操作が便利な「ひかる」

ひかる

 約 20 年前から開発され続けてきただけあって、データ件数は無制限、扱える金額 10 億円まで、口座登録 100 件、日記一日当たり 3 万文字、と、その歴史に裏付けされたスペックを誇っているのが「ひかる」です。

 グラフ表示もきめ細かく設定でき、[食費]や[教養娯楽]等の項目、品名(※注1)、収支・貯蓄等の資産をそれぞれグラフにして、印刷することができます。グラフの色分けも自在で、印刷時に見にくくなるといったことも避けられます。

 その他、日付の移動が容易になる「カレンダー」、いつどんなことを書いたのかもすぐに検索できる「日記一覧」表示機能、近頃話題に上ることの多い「 2000 年問題(※注2)」や「自動記入(※注3)」、消費税率の変動にも対応した、非常に多機能なソフトです。

 「ひかる」は、マウスでほとんどの操作が実現できるようになっています。

 初めから基本的なものがリストされている項目と品名(例えば[食費]の項目では[パン]や[野菜]など)をクリックし、ポップアップする電卓で金額を入力。現金で支払ったのであれば[現金から]ボタン、口座から支払ったのであれば[口座から]ボタンを押すと記入は終了です。ここまでの操作はマウス以外一切使いません。両手がふさがらないので、領収書を片手に持ちながらでも記入できます。

 さらに、「ひかる」は「日別入力表示」・「出納帳」・「集計表示」という 3 種類の入力モードを備えています。

 「日別入力表示」は文字どおり一日の収支だけを入力、表示するものです。画面の左側には項目と一日の収支の合計や残高が、右側には記入した項目に対応する品名、金額、備考が表示されます。とりあえず記入したい場合は、このモードが一番使いやすいでしょう。

 「出納帳」モードにすると、ノートに書くような画面に切り替わります。日付・項目・品名・収支等が一行に表示され、締日までの期間の全項目に対する収支を一覧できます。全体の収支の変動を数値で把握しやすくするモードです。

 「集計表示」は、指定した期間の収支が「日別入力表示」と同様に表示されるものです。つまり、項目ごとの収支を一覧することができるようになります。

 項目や項目に対応する品名は、自由に追加・変更・並び替えが行え、しかもウィンドウの配色やフォントの設定、ツールバーのカスタマイズまで行えるため、自分好みの家計簿を作り上げ、自分の好きなカタチで効率よく記入していくことができるでしょう。「ひかる」は使い込むほど便利になっていく家計簿です。

 「ひかる」では Microsoft Excel などの表計算ソフトで用いられる CSV 形式のファイルの入出力が可能ということになっていますが、当方の CSV ファイルが読み込めませんでした。他の表計算ソフトで家計簿データを分析後、もう一度「ひかる」にデータを移すような使い方はできないかもしれません。【訂正】

 ただ、すでに「ひかる」は完成してしまったという感もあります。この完成度を維持し、さらに今後どのように発展を遂げていくかも見どころでしょう。


■コンパクトでシンプルな「 Daniel 」

 「 Daniel 」は日記も、グラフ表示も、印刷機能もありません。しかし、基本機能は押さえており、パソコン上の家計簿として使うには全く問題ありません。

 「 Daniel 」の特徴的な機能として、簡易電卓機能があります。 Daniel 1000*3 金額入力欄に数式をテンキーから入力し、 IME で日本語変換を行なう時のようにスペースキーを押せば、例えば右の画像の 1000 × 3 は 3000 に変換されます。リターンキーで入力完了です。

 「 Daniel 」もまた CSV 形式のファイル入出力が可能なので、表計算ソフトでデータを読み込めば、グラフ表示や印刷もできるようになります。

 ところで、「 Daniel 」でサポートしている入力ファイルは、一つのデータごとにカンマで区切られたものであればよく、普通のテキストファイルを読み込めることも、「 Daniel 」の一風変わった特徴的な機能と言えるでしょう。

 操作方法としては、キーボードとマウスの両方をまんべんなく使うことになります。

 収入・支出はワンクリックで切り替えられるマウスを使い、金額などの入力部分はキーボードで行います。項目(費目)や財布の選択は上下キーで、金額の入力には数式が使えます。簡易電卓の操作感は、少し高性能な液晶電卓を使っているかのようです。

Daniel

 「 Daniel 」はウィンドウサイズが非常にコンパクトです。 VGA 以下のサイズ固定で、画面の解像度が低くても利用できます。「ひかる」と同様「 2000 年問題」・「自動記入」にも対応し、「自動記入」への登録は、記入した項目をダブルクリックするだけの単純な操作です。

 最大の特長は、[保存] 操作を行わずとも自動的にセーブしてくれる点です。保存し忘れて後で泣きを見るような事態は発生しません。ただ、同時に二つ以上「 Daniel 」を起動している場合は、最後に終了した家計簿のデータのみ反映されるようになっているので、注意が必要です。

 金額入力に関しては、カンマや "\" 記号だけでなく、演算子まで使える「 Daniel 」が一番柔軟に対応していますが、ヘルプでサポートを明言していた、簡易電卓機能の小数点数計算が行なえなかったのは残念なところです。また、起動時は必ず「 Daniel 」と同じディレクトリにあるデータを読み込むため、データのエクスポート/インポート操作は、実質プログラム本体が置いてあるディレクトリ内でしか行えません。

 「翌月繰越し」を行うたび繰越金が増えていってしまう現象、収入がマイナス表示される点など、まだまだ欠点や不具合と思われる点の多いソフトではありますが、それでも、『とっつきやすさ』と『手軽さ』という魅力のあるソフトには変わりありません。


■エディタ的な「見やすい家計簿」

 「見やすい家計簿」で入力できる月当たりのデータ件数は 2000 件、口座登録 20 件、メモ一日当たり 250 文字となっています。少なく感じるかもしれませんが、実際一日に 60 品目を超過する買い物をしないことにはデータ件数の上限を超えることはないので、普段使用する分にはほとんど問題ないと言って良いでしょう。どうしても足りないという方は、作者に連絡すると、データ件数を拡張した「見やすい家計簿」を作ってくれるとのことです。

見やすい家計簿

 「見やすい家計簿」も Ver1.18 から CSV ファイルの出力が可能となりました。 NIFTY SERVE のフォーラム( FWINAL の 7 番会議室)では、作者とユーザーとの活発な意見交換がなされているそうなので、今後のバージョンアップで CSV ファイル読み込み機能の実現も期待できます。

 グラフは品目・収支・残高・貯蓄について表示でき、「自動記入」や家計簿の印刷も可能ですが、特に便利な機能は小計モードでしょう。

 「小計」ボタンをクリックして小計モードに切り替え、SHIFT + 上下キー、またはマウスのドラッグで家計簿のセルを選択した後 ENTER キーを押せば、選択した期間内の合計支出を算出してくれます。「今週はどれだけ無駄使いしたのか調べたい」という要求に、最小限のキー操作で応えてくれます。

 「ひかる」ではマウス、「 Daniel 」ではマウスとキーボードをバランスよく使いましたが、「見やすい家計簿」ではキーボードでの操作が主体となります。

 画面表示がノートのようで、入力も実際にノートに記入しているような感覚で進めていきます。他のふたつのソフトが、文章に装飾を施しながら編集する『ワープロ』だとすると、「見やすい家計簿」は、さながら文章のみ入力していく『エディタ』のような雰囲気を持っています。キーボードの扱いに慣れている方は快適に操作できるハズです。

 「見やすい家計簿」のウィンドウサイズは変更可能ですが、デフォルトの状態で「 Daniel 」よりひと回り大きい程度。ノートパソコンでも画面内に収まるサイズです。操作方法がキーボード主体ということもあって、ノートパソコンにはうってつけの家計簿ソフトと言えるでしょう。

 また、付属している Word 形式のドキュメントには、実例を用いた詳細な解説が収録されています。コンピュータ上からではやや検索性に欠けますが、プリンタで印刷して手元に置けば、好きな時に参照できるマニュアルとなります。

 ところで、食費なら F 、銀行からの引き出しなら B など、項目の種類ごとに記号付けし、分析・管理ができるようになっているのですが、項目とは別に自分で入力する必要があるため、少々手間かもしれません。インターフェースにはまだ十分にこなれていない部分もあるので、より見やすく使いやすいソフトになっていってほしいところです。


■総評

 さて、用途別おすすめソフトは以下のようになりました。

 キーボードに慣れていない方、家計簿や分析結果の印刷を想定している方には「ひかる」がオススメです。場合によっては 2 回クリックするだけで記入が完了してしまいますし、かなり細かいところまで設定できるグラフ表示機能は、別途巨大な表計算ソフトの必要がないほど。電話によるサポートも行っているので、初心者でも安心です。

 手軽に家計簿と付き合っていきたい人は「 Daniel 」が良いでしょう。グラフ表示や印刷機能がないとはいえ、家計簿としては必要十分な機能を備えています。 HTML によるヘルプが充実していることもあり、学習性は高く、なによりそのコンパクトなウィンドウサイズとシンプルなインターフェースは、ミニノートサイズのパソコンに最適です。

 一方「見やすい家計簿」は、ノートパソコンを使用していて、キーボードでの操作が中心となる人に向いてます。あらかじめ項目や品名を登録するなど細かく設定しておけば、キーボードでの操作はより快適になることでしょう。月に一度コンスタントにアップデートしているので、これからが期待できる将来性の高いソフトです。

 一般に面倒なものとして疎まれている家計簿も、やり方によっては楽しく、効用のあるものです。

 今まで紙のノートにつけていた人も、これから家計簿をつけようかと考えていた人も、また、家計簿のことなんて全然考えていなかった人も、パソコンで気軽に楽しく家計簿をつけ始めてみてはいかがでしょうか。


【訂正】

 本文中、「家計簿、出納簿ひかる 32bit 版 Ver7.26(以下ひかる)」の説明において、

 「ひかる」では Microsoft Excel などの表計算ソフトで用いられるCSV 形式のファイルの入出力が可能ということになっていますが、当方の CSV ファイルが読み込めませんでした。他の表計算ソフトで家計簿データを分析後、もう一度「ひかる」にデータを移すような使い方はできないかもしれません。
との記述がありましたが、その後「ひかる」で読み込めるテキストファイルの書式と、当方の使用していたテキストファイルの書式との相違から読み込めなかったことが判明いたしました。

 具体的には、メニューの

[ファイル(F)]-[テキストファイル出力(T)]-[項目別集計のファイル出力(K)]
などからファイル出力していたため、出力したテキストファイルが「ひかる」で読み込み可能な書式となっていなかったことが原因です。

 以下の 2 つのメニュー、

[ファイル(F)]-[テキストファイル出力(T)]-[詳細のファイル出力(D)]
[ファイル(F)]-[テキストファイル出力(T)]-[詳細(項目ソート)のファイル出力(Y)]
から「タブ区切り」で出力すれば、問題なく再度読み込むことが可能です。テキストファイルの書式についての詳細は、「ひかる」に添付されているドキュメント、またはヘルプをご覧ください。

 「ひかる」の作者である武井 由徳様、ならびに読者の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。ここに訂正させていただくとともに、深くお詫び申し上げます。

(98/02/25)

注1)『項目』と『品名』
 「 Daniel 」では『費目』、「見やすい家計簿」では『品物』と呼ばれているが、文中では『項目』で表記を統一している。

注2)『自動記入』(「 Daniel 」では『定番』)
 定期的にある収支とその日付をあらかじめ設定しておくことで、ユーザーがわざわざ記入操作をしなくても、自動的に指定金額を指定日に記入してくれる機能。住宅ローンなど、毎月同じことを記入しなければならない項目があるとき、初めに一度だけ設定しておけば何度も記入する手間が省ける。

注3)『2000 年問題』
 コンピュータ上ではファイルを扱う時など、そのファイルが作成された日付を頼りに処理を行うが、現在のコンピュータのほとんどが西暦を下 2 桁でしか判別しないことから 2000 年を 1900 年などと勘違いし、最悪コンピュータが正常に動作しなくなってしまう。
  OS やアプリケーションの対応はもちろんのこと、ハードウェア側での修正が必要な場合もある。

家計簿,出納簿ひかる」:シェアウェア \2,500

かんたん家計簿 Daniel」:シェアウェア \1,000

見やすい家計簿 For 32bit Windows 」:シェアウェア \2,800

(Reported by 日沼 諭史)


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