ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第49回】

「パソコット」

仲間同士で気軽にメッセージをやりとりする“第3のメールソフト”

(99/08/30)

 ビジネスのメールと遊びのメールを、メールアカウントやメールソフトで使い分けている人は多いことだろう。特に「PostPet」を持っている人なら、仕事のメールは普通のメールソフト、遊び仲間とのメールには「PostPet」という使い分けをしているようだ。しかし「PostPet」のペットは1回に1通しかメールを運んでくれないし、仕事中に「PostPet」を起動するのは気がひける。そこで今回は、今夜の飲み会の連絡用など複数の友達同士でちょっとしたメッセージのやりとりに使いたい、“第3のメールソフト”と呼べるようなソフトを紹介しよう。

付箋紙やスクロールテキストとして相手にメッセージを届ける

「パソコット」v1.0  「パソコット」は、相手と比較的短いメッセージをやりとりするのに適したコミュニケーションソフトだ。基本的には着信通知機能付きのインターネットメールソフトなのだが、メッセージをデスクトップ上に付箋紙や電光掲示板のように貼り付けたり、簡易メーリングリストサーバーとして使うこともできるのが特長。今使っている普通のメールソフトやPostPetと併用することを前提にした、いわば“第3のメールソフト”と言っていいだろう。

 「パソコット」は、一定の時間間隔(標準は3分)で自動的にメールの到着をチェックして通知し、設定によりPOPメールサーバーからメールを読み出して、普通のメール、パソコットメール、PostPetメールにそれぞれ振り分ける。つまり普通のメールは今使っている好きなメールソフトで、PostPetメールは「PostPet」で読み出せるようになる(各ソフトのPOPサーバー設定をlocalhostに変更する必要がある)。「パソコット」がフィルター付きの簡易メールサーバーとして機能するわけだ。

 独自のパソコットメールには、付箋紙形式、スクロールテキスト形式、メール形式、ドデカ形式、およびシークレット形式の5種類の形式がある。メール形式ではごく普通のメールと同様に届くが、付箋紙形式では文字通り相手のデスクトップ上に付箋紙のように貼り付けて表示される。スクロールテキスト形式は右から左に流れる電光掲示板のようにメッセージをデスクトップに表示し、ドデカ形式は付箋紙でも文字を拡大して目立つよう貼り付けられる。シークレット形式は暗号化して送られ、送信側と受信側の暗証番号が一致しなければ読むことができない。

 メール形式とシークレット形式以外は、いずれもメールが届いた時点で本文がデスクトップに表示される。そのため比較的リアルタイムに近い素早いメッセージ交換が可能になる。「ICQ」のようなインスタントメッセージソフトと違うのは、そのまま付箋としてメモを残しておける点だろう。もちろん付箋をはがした後でもメッセージは受信メールフォルダに保存され、削除しない限りいつでも読み返すことが可能だ。

 また「パソコット」には、複数のメールアドレスを登録しておいて簡易メーリングリストのように利用できるサークル機能がある。普通のメールでいうCc(カーボンコピー)を応用したものだが、専用メールアカウントを別途用意する必要もなく、簡単かつ気軽に始められる。ただしサブジェクト(件名)に通し番号を付けるような機能はないし、参加者が誰でも自由に入退会処理をできてしまう点にも注意が必要だ。あくまで仲間内で一時的にML風にメッセージをやりとりしたい場合に使うものだと考えるほうがいいだろう。

コンセプトはOKながら、もう少し面白味がほしい

 このソフトを一言で表現するのは難しい。しいて言えば“メールソフト+ネットワーク対応付箋紙”といった感じなのだが、メール着信チェッカーでもあり、PostPetメールフィルターでもあり、簡易MLサーバーでもある。しかし多くの機能をただ詰め込んだだけの“ごった煮”的なソフトではなく、機能をうまく統合して新しいジャンルのコミュニケーションを見出そうとしているという印象を受けた。フリーソフトというのもありがたい。

 ただ実際に使ってみると、ややこしさや機能的な物足りなさを感じる面もまだまだ多い。まず名前からはデスクトップマスコットのようなものを期待するが、選択したキャラクターが成長したり性格を持つわけではない。文字主体のボタンにパカパカ開くウィンドウという構成に、もう少し可愛らしさや操作のスマートさ、面白味がほしいところだ。また、試用した範囲では原因不明のエラーが出たり、送ったパソコットメールが相手に届かないこともあったのは気になる。

 とはいえ、カジュアルなメッセージングというコンセプトがなかなか面白い、アイデアソフトであることに間違いはない。まだリリースから日が浅いこともあるので、今は細かな部分にとらわれず、このソフトが目指すものにしっかりスポットライトを当てるべきだろう。さまざまなユーザーの意見を採り入れながら、より完成度の高いソフトに成長していくことを願いつつ、今後のバージョンアップに注目していきたい。

【著作権者】ほっとテック 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.0(99/08/06)

□ほっとテックのホームページ
http://hot-tec.com/

(ひぐち たかし)

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