【第12回】

ソフト選びにもコツがある!(後編)
~自分にあったソフト選びを~

(01/04/09)

だからこそしっかり選ぼう

 オンラインソフトには作者が丹誠込めて開発している完成度の高いソフトもあれば、“初めて作ったのでとりあえず公開してみました”と書いている習作的なソフトも数多く存在する。せっかくインストールしてみてもいきなり起動すらしなかったり、ソフトデザインが自分のイメージと違ってガッカリといったこともある。また、インストールしたためにWindowsの動作が不安定になるようなソフトに遭遇することも決してないわけではない。オンラインソフトは一般に、使って何か重大なトラブルが起きた場合でも作者が損害を弁償してくれるものではない。そのためたとえ無料で使えるとしても、ソフト選びを慎重にしたいユーザーは多いのではないだろうか。

 前回のよもやま話では、同種のオンラインソフトがたくさんある場合に、どのソフトが自分に合っているかをダウンロード前に見分けるポイントについて、いろいろと考えた。今回はダウンロードしてからインストール作業を始める前に行いたいチェックポイントと、実際にソフトを見極める上での注意点などをあげてみよう。

インストール前のチェックポイント

 ダウンロードしなければチェックできないことはいくつかある。特に作者のホームページでは掲載しきれない情報や、一般的には掲載していないような情報について、インストール前にしっかり点検しておきたい。これらを読み飛ばしてインストールしてしまうと、ソフトの種類や場合によっては取り返しのつかない状況に陥ることだってあるからだ。

1. インストーラーの有無

インストーラーがあればなにかと安心
インストーラーがあれば
なにかと安心
 自作のソフトにインストーラーを付けること自体は今では難しいことではない。ソフトにインストーラーを付けてくれるオンラインソフトがいくつも公開されているからだ。もちろんインストーラーというものに対する作者の考え方やポリシーもあるので一概には言えないが、スタートメニューやSendToフォルダにショートカットを登録する方法もまだ理解できていないような初心者ユーザーのことを作者が考慮しているかという点では、やはりちゃんとインストーラーがついているほうが“ユーザーに優しい”ソフトだと言えるだろう。ユーザーとしても、READMEファイルなどに書かれているインストール方法をちゃんと読んでからインストールをはじめるべきだ。

2. アンインストールの方法

 一旦インストールしたソフトを安全に削除するためのアンインストール方法についても、インストール前によく確認しておきたい。最近ではかなり少なくなっているが、アンインストール方法が説明書に記載されていないソフトの中には、起動するだけでファイルの関連づけなどWindowsの設定が変わってしまい、元に戻すのが困難になる場合もある。自分でWindowsの設定を元に戻せる自信がない人は、こういったソフトには十分注意し、むしろ他のソフトを探すほうがいいかもしれない。

3. ヘルプファイルの出来

 インストール前にヘルプファイルを読める場合はチェックしておこう。本体をしっかり作り込んでいるソフトは、やはりヘルプもよく作り込まれている傾向がある。ヘルプの出来は、そのソフトやユーザーサポートに対する作者の意気込みが反映されているのだ。もちろんヘルプファイルがないソフトがすべて悪いというわけではないが、ヘルプファイルにも手を抜かない作者なら、ユーザーサポートをおろそかにしていないという意味で安心できる。たとえ現在のバージョンが機能的に足りなくても、いずれユーザーの声をきいてバージョンアップを重ねて優れたソフトに育て上げてくれることが期待できるからだ。また、基本的にヘルプファイルにはそのソフトがもつ機能の詳細が書かれているものなので、起動する前にヘルプを読んでおけば、結局気に入らなくてあとでアンインストールするようなことは少なくなるだろう。

4. 送金方法(シェアウェアの場合)

シェアウェアの送金方法は事前に確認しておきたい
シェアウェアの送金方法は
事前に確認しておきたい
 シェアウェアには、作者ホームページなどでダウンロード前に金額や送金方法の具体的な記述を読めないことが多いように思う。大抵「ダウンロード後に同梱のヘルプファイルを読んで下さい」と表示されているのだ。したがって送金方法もダウンロード後にチェックするポイントになるのだが、困ったことに送金方法の説明が不十分なものや、わかりにくいものが時々ある。特に送金額が低額なものほど、その傾向が強いように思われる。せっかく気に入って送金したくても、送金できなければ結局アンインストールするハメになるのだから、シェアウェアの場合は送金方法にも注意しておこう。

5. 開発言語

 READMEやヘルプファイル等に書かれている開発言語についての記述も、見落とさないようにしたい。Windowsソフトを作るための開発言語には現在いろいろなものがあって、それぞれに長所を持ち、目的に応じて作者は選択しているのだが、その分それぞれに短所もある。例えばHSP(Hot Soup Processor)のようなスクリプト系の言語で開発されたソフトは、VC++などのC言語系で開発されたソフトに比べるとずっと手軽に開発できるかわりに、処理速度や実現できる機能には限界もある。もちろんアイデアさえよければHSP製のソフトでも十分にユニークで便利なソフトは存在するし、実際ぼくもこれまで“今日のお気に入り”などの記事でHSP製のソフトを数多く紹介してきているので、一概にどの言語がいいとか悪いと言うわけではない。だが、果たして自分が求めているソフトにどんな性能を期待しているのか、それによっては開発言語をチェックすることも有効な判断基準にできる場合がある。同じジャンルに多数のソフトが選択肢としてあるときなど、どのソフトから順にインストールして試してみるかといった目安にはなるだろう。

どこに重点をおくのか

 以上のようなチェックポイントをダウンロード前やインストール前におさえておけば、片っ端から試すことをしなくてもある程度効率よく自分に合ったソフトを見つけることは可能だ。ただし注意しておきたいのは、オンラインソフトが自分に合うか合わないか、自分にとってそのソフトがいいのかどうかは使う人それぞれに違うということ。

 過去、窓の杜大賞やオンラインソフト大賞などさまざまな賞に輝いたソフトが、いずれも誰でも迷うことなく簡単に使えてデザインもよく素晴らしいかというと、必ずしもそうではないことに気付くだろう。“玄人好み”や“実用重視”など、ソフトの個性はさまざまにある。つまりどのチェックポイントを自分は重視するのか、ソフト選びはそこが肝心なのだ。

 野菜でわかりやすく例えれば、よいレタスの見分け方は手に持ってみた重さがポイントだという。ほかの玉よりずっしり重いものは、中身が詰まっているためお買い得。しかしレタスのシャリシャリした食感を重視するなら、逆に持ってみて軽い玉を選ぶ方がいいと言われている。葉の1枚1枚が肉厚でみずみずしくよく縮れているものは、同じ大きさでも密度が低く軽くなるからだ。同じように、オンラインソフトを見分けるときも、洒落たデザインを重視する人、使い勝手のよさを重視する人、処理速度を重視する人などさまざま。チェックポイントに留意した上でどこを重視するかを自分で決め、自分の価値観で判断することが最終的に一番大事なことなのだと思う。

 といったところで今回のよもやま話は終わりにしよう。

(ひぐち たかし)

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