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【第35回】

Windows XPとオンラインソフトの相性
~ファーストインプレッション~

(01/11/19)

XPはもう入れた?

 先週ついにWindows XPの(OEM版でない)パッケージが正式発売された。窓の杜読者の中にはもうさっそくインストールしてみたという人もいることだろう。その一方で、新聞や雑誌などの事前アンケート記事を見ると、今回のアップグレードは見送るとかしばらく様子を見るといった人も、相当数いるようだ。

 そこで今回のよもやま話では、オンラインソフトを使うという視点からWindows XPを眺めてみようと思う。数々のフリーソフトやシェアウェアを使う上でWindows XPはどれだけ良くなっているのか、はたまた悪くなっているのか。オンラインソフト好きのユーザーにとって、Windows XPは今すぐ導入するだけの価値があるのかどうかを考えてみることにしたい。

インストール前にしておくこと

 さて、Windows XPを導入する前にはいろいろ準備も必要だ。参考までにぼくが実際にWindows 98SEからのアップデートで行ったWindows XPインストールまでの作業をざっと書いておこうと思う。要点は次の通り。

 ・Windows XP対応の確認とBIOSやドライバーのアップデート
 ・パッケージの購入
 ・HDDの整理と空き容量の確保
 ・重要なファイルのバックアップ
 ・スキャンディスクとデフラグ

 まずは、PCメーカーのサイトでWindows XPに関する情報を調べてみた。ぼくが持っているノートPCは、幸いWindows XPもサポート対象予定に入っているようだ。このとき新しいBIOSやドライバー類のアップデートファイルが公開されていないかもチェック。次に店頭では、購入するWindows XPのパッケージを決めなければならない。XPにはHome EditionとProfessional Editionがあり、それぞれ新規インストール用とアップグレード用、さらにPro版にはWindows 2000ユーザー限定の特別アップグレード版や、学生などを対象としたアカデミック・アップグレード版のパッケージもある。Home版に比べてPro版は、暗号化などのセキュリティ機能、リモートアクセスなどのモバイル機能、Windows Serverとの連動機能などが強化されている。ぼくは自分に必要な機能を考え、Pro版の通常アップグレード用パッケージを購入することにした。

 家でいざインストールを始める前に、HDDの整理も行った。Windows XPはインストールだけで約1.5ギガバイトものHDD空き容量が必要になる。不要になった巨大なMPEGファイルやWAVEファイル、使わなくなったソフトなどをHDDから削除し、約3ギガバイトを確保。重要なファイルは、マイドキュメントフォルダにあるデータや画像、メールなどをLAN経由で別のパソコンに保存し、さらにレジストリを書き出すなどのバックアップも行った。まぁバックアップは以前から行っているので、今回は差分バックアップのみで時間も比較的短くて済んだ。最後にスキャンディスクとデフラグを行って(デフラグには数時間かかったが)、ようやく準備完了だ。

XPインストールの実際

 Windows XPのインストールは、CD-ROMをドライブに挿入して、あとはウィザードによる指示に従って進めるだけだ。途中、Windows XPでは動作しない可能性があるハードウェアやソフトウェアの自動チェックが行われ、何が使えなくなりそうなのかをインストール前に把握しておくことができる。ぼくの場合、10以上のドライバーやソフトウェアがチェックにひっかかってリストアップされてしまったが、多くはWindows2000用として公開されているものを後からインストールし直すことで対応できた。

 そんなこんなで、インストール用CD-ROMをドライブに挿入してからWindows XPが起動して最初にデスクトップ画面が表示されるまで、かかった時間は約1時間半。インストールウィザードによる最初の見積もり時間は65分だったからちょっとオーバーしたものの、特に大きなトラブルもなくすんなりインストールできたのはむしろ意外と言うべきか。しかし、上記“動作しない可能性がある”ソフトやドライバーの入れ直し作業に3時間以上かかって、結局は半日仕事になってしまったのだが。

「ま、こんなもんか。」

 とりあえず2日間使ってみて、Windows XPそのものに対するぼくの率直な感想を一言で表わすなら、「ま、こんなもんか。」…おっと、これはぼく流の“ほめ言葉”なので念のため。画面デザインや操作性など細かい変化は随所に見られるが、デスクトップテーマを“Windowsクラシック”に変えたり、スタートメニューやコントロールパネルのプロパティを変更することで従来のスタイルにすることもできる。以前のほうがスッキリしてよかったと感じる人は(ぼくを含めて)少なくないような気もするけれど、まぁこれは好みの問題と言えるだろう。

 しかし一見して『こりゃスゴイ!』と驚くような劇的な変化は特に感じられない。かといって何かのソフトが動作不安定になったりフリーズしたりという問題も今のところ起こっていない。期待も不安も大きかったせいで、どちらの面でも“拍子抜け”という感じがする。印象は人それぞれだと思うが、しかし考えてみればOSというのは本来そういうものであるべきなのだろう。個性的で突飛な機能を備えるよりも、Windows自身は操作がわかりやすくきちんと安定して動いてくれることが一番なのだ。これからもっと使い込んでいくうちに『やっぱりアップグレードしてよかった』と感じることになるのだろう。

オンラインソフトにとってXPのメリット

 さて、オンラインソフトを使うという観点でWindows XPのメリットは何だろうか。

 実際にWindows XPの上でさまざまなオンラインソフトを動かしてみて感じたことのひとつは、Windows 98/Meに比べて格段にOSが安定しているということ。ちょっとやそっとではWindowsごとフリーズしたりブルースクリーンが現れることはなくなった。まだ2日間しか使っていないので実感は少ないが、それでもとあるソフトなどは、ぼくの使っていたWindows 98 SE環境ではなぜか終了時にほぼ必ずと言っていいほど“ページ違反”のエラーが出ていたのが、Windows XPにしてからはまったくエラーが出なくなっている。常駐ソフト同士の相性によると思われるハングアップも、XPにして以来発生しなくなっている。いろいろなオンラインソフトを同時に使ったり試用する機会の多い人にとって、これは大きなメリットだろう。

 また、システムリソースを気にしなくてよくなったというのも挙げられる。Me以前のWindowsでは、使用できるシステムリソースに限りがあったため、どれだけ物理メモリを搭載していても同時に起動しておけるアプリケーションの数はそう多くなかった。むしろ、ぼくのようにウィンドウをいくつも開いたままにしてしまう傾向があると、気がつけば「システムリソースが不足しています」といった警告メッセージが表示され、Windowsが不安定になることはしばしば起きた。そのため常駐ソフトを必要最小限に厳選するなどの対策も必要だったが、XPではそういう心配がない。ソフト同士の相性さえ気を付ければ、気に入った常駐ソフトを物理メモリの許す限り好きなだけ常駐させ、ウィンドウも好きなだけ開いたままにしておくことができるのだ。

 もちろんOSの安定性やシステムリソースの制限緩和は、既にあるWindows 2000でも同じだ。しかし、普及という点でWindows 2000はWindows 98やMeに比べて今ひとつだったし、Windows 2000では動かないオンラインソフトや、対応していない周辺機器も多かった。だが今度のWindows XPからは、ホームユーザー向けもビジネスユーザー向けも基本的にはWindows XPに一本化され、Windows 2000が出たときよりもずっと、ソフト作者や周辺機器メーカーによるWindows XP対応が期待できる。すなわち、Windows 2000からの乗り換えユーザーにとっても、利用可能なオンラインソフトの数が今後ぐっと増えることになるだろう。

 そのほかに考えられるメリットとしては、当たり前だがWindows XP独自のさまざまな機能を利用したWindows XP専用のオンラインソフトを使うことができることだろう。また、Windows 98/Meから今回XPに乗り換えた人にとっては、今までWindows 2000専用とされていた一部の魅力あるソフトを使えるようにもなる。Windows XP専用ソフトやWindows XP対応を表明したソフトについては、窓の杜でも先日からの集中企画としてリストアップしているところなので、ぜひ参考にしてほしい。

□窓の杜 - 【集中企画】オンラインソフトWindows XP対応度チェック!
http://www.forest.impress.co.jp/article/2001/11/15/ols_winxp.html

デメリットは?

 一方、従来のWindows 98/Me/2000からWindows XPに乗り換えることで生じてしまうデメリットとは何だろうか。

 最初に思い浮かぶのは、今まで愛用していたオンラインソフトがWindows XPでは動かない、という事態になることだ。ぼくがこの2日間で試した限りでも、動かなくなったり使えなくなったオンラインソフトはいくつかあった。ただしそのうちのほとんどは、動作する可能性が高いWindows 2000用のバージョンが作者により配布されていて、それをインストールし直せば動作するようになった。また、あるソフトはWindows XPのインストール中に互換性チェックでひっかかり動作しなくなっていたが、調べてみるとクイック起動に登録してあるショートカットがおかしくなっているだけで、そのソフトのプログラムファイルを直接実行すれば何ら問題なく動作した。

 このように一見Windows XPでは動作しなくなったように見えるソフトも、READMEやヘルプ、作者サイトを見たりして、対応版を探したり、起動できなくなっているショートカットを疑うなどで使えるようになることもあるので、すぐには諦めずあれこれやってみるといいだろう。OSを乗り換えるということはソフトの動作環境が変わってしまうわけだから、作者がWindows XPへの対応状況を正式発表しないうちは、ソフトが動作しなかったり何かトラブルが起きても、基本的には仕方がないのだ。だが、動作不良の原因が未対応のWindows XPで使おうとしたことにあるのか、はたまた使い方やPC環境に問題があるのかが区別しにくいということもある。その意味でPC初心者やオンラインソフト初心者には、XPの導入のみならず、OS乗り換えということ自体、少しハードルが高いかもしれない。

 その他ぼくが確認している限りでは、フォント表示が乱れたソフトもあるし、ウィンドウの最小化・最大化ボタンを独自にデザインしているソフトでクリック位置がずれるといった細かい不具合が見られた。こうした不具合はいずれ作者による修正が期待できるとはいえ、それまではストレスを感じることになるだろう。

Windows XPは“買い”だろうか?

 そんなわけで、Windows XPとオンラインソフトの相性という視点でのファーストインプレッションは、決して悪くない。“オンラインソフトを使う上でWindows XPは買いだろうか?”ともし聞かれたら、現時点でのぼくの判断は「イエス」だ。インストール前の準備や、インストール後の未対応ソフトの確認などの手間さえなんとか乗り越えられれば、あとのメリットは大きいし、何より最新版のオンラインソフトを使うのが好きな人にとっては、最新版のWindowsを使うという満足感がある。ま、できればこの機会に思い切ってWindows XPがプレインストールされた最新のPCを購入するのが、快適なオンラインソフト生活を楽しむためにも、また不況にあえぐ日本経済の活性化のためにも(?)、ぼくからのオススメとしておきたい。

(ひぐち たかし)

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【バックナンバー】

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第35回:Windows XPとオンラインソフトの相性(01/11/19)

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