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【第129回】

仮想メモリとコインロッカー

(05/10/24)

めも理 窓太 めも理と窓太
登場人物紹介

 窓の杜高校、超パソコン部の部室。

 あらあら、めも理ちゃん。今日は頭をこねくり回しています。

 一体、何を悩んでいるのでしょうか?

仮想メモリ

めも理  うーん、この用語はどういう意味なのかしら?

窓太  どうしたんですか、めも理ちゃん。
 何か分からないことでもあったのですか?

めも理  あっ、ちょうどいいところに来たわ窓太。
 “仮想メモリ”という言葉を聞いたんだけど、一体何なの?

窓太  それはコインロッカーのようなものですよ。

めも理  コインロッカー? あの、駅などによくある?

窓太  そうですよ。

めも理  うーん、どういうことなのかしら。

窓太  ちょうどよい機会です。仮想メモリのことについてお勉強することにしましょう。


コインロッカー

4コマまんが
めも理と窓太の4コマまんが
「仮想メモリ」

窓太  さて、めも理ちゃんに質問です。めも理ちゃんは、コインロッカーをどういうときに使いますか?

めも理  そうね、旅行中などで両手いっぱいに荷物を持ってるけど、そのまま続けて観光したり、おみやげ物を買ったりしたいときにコインロッカー使うわ。
 重い荷物を一時的に預けておくと便利だものね。

窓太  なるほど、なるほど。
 実はコンピューターの世界でも、めも理ちゃんと同じようなことをすることがあるのです。

めも理  同じようなこと?

窓太  そうです。
 メモリにたくさんのデータを保持していて、まるで両手がふさがっているような状態があったとします。
 パソコンがそういう状態になると、めも理ちゃんが荷物をコインロッカーに入れてしまうように、メモリ上のデータを一時的にほかの場所に預けてしまうのです。

めも理  ほかの場所? それはどこなの?

窓太  それが“仮想メモリ”なのです。

めも理  私が分からなかった仮想メモリね。
 でも、仮想メモリは、仮想という言葉がついているわけだから、通常のメモリとは違うのよね?

窓太  そうです。
 通常のメモリは“物理メモリ”とも呼ばれ、パソコンを構成するハードウェアの1つです。
 一方仮想メモリは、Windowsが状況に応じてハードディスク上に作成するデータ記憶領域で、物理メモリがもちきれなくなったデータを一時的に預けるためや、ときどきしか利用しないデータを預けるために利用されます。
 仮想メモリ上のデータを利用する際は、OSが仮想メモリから物理メモリへとデータを読み直します。

めも理  へー、そんなことをして、何かメリットはあるの?

窓太  大いにありますよ。
 例えば旅行中にコインロッカーへ荷物を預けると、両手が空いて、さらにおみやげを買ったりできますよね。
 同じように、仮想メモリにデータを預けると、物理メモリの最大容量以上のサイズをもつデータでも一度に読み込んで処理できるようになるのです。

めも理  はあ、つまり、どういうことになるの?

窓太  具体的に言いましょう。
 例えば、最大容量が32MBの物理メモリを搭載するパソコンの場合、本当は32MBのデータまでしかメモリに読み込めません。そうなると、32MBを超えるデータは一度に処理できないということになります。
 でも、仮想メモリがハードディスク上に1GBあれば、1GB+32MBのデータを一度に読みこんで処理できるようになるのです。

めも理  うわっ、それは大きな差ね。便利そうじゃない!

窓太  そうです。
 パソコンでは、こういった仕組みで、実際には少ない容量の物理メモリでも、大量のデータを読み込んで処理できるようになっているのです。


抱え切れない重荷

めも理  ねえ窓太。人生には抱え切れない重荷がたくさんあるでしょう。
 だから、仮想メモリのように、一時的にそういったものを預けておく場所が必要だと思うのよ。

窓太  どうしたんですか、めも理ちゃん。またよからぬことでも考えているのですか?

めも理  今日、大量の宿題が出されたのよ。
 でも、私にはこの宿題は多過ぎるわ。だから部室に預けてしまおうと思うの。
 これって、仮想メモリと同じよね。

窓太  えー。……まあ、めも理ちゃんの能力では、どうせ全部の宿題はできませんからね。


今回出てきた用語の解説

【仮想メモリ】 メモリ内のデータを一時的に預けておくために利用される、ハードディスク上のデータ記憶領域。

【物理メモリ】 通常のメモリ。パソコンを構成するハードウェアの1つ。

クロノス・クラウン:柳井 政和




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