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【第349回】

圧倒的な自由度のローグ系RPG「Elona」

ダンジョン探索はもちろん、交易、生産、結婚など何でもできる!

(08/08/22)
タイトル画面
   

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。圧倒的な自由度をもつローグ系RPG「Elona」を紹介しよう。

一人の冒険者として人生を歩むRPG

種族や職業が数多くあり、キャラクター作りだけでも相当に楽しめる
種族や職業が数多くあり、キャラクター作りだけでも相当に楽しめる
スタート地点となる自宅。アイテム置き場として重宝する
スタート地点となる自宅。アイテム置き場として重宝する
 「Elona」は、“イルヴァ”というファンタジー世界の冒険者となって自由に生きる、見下ろし型画面のRPG。ひたすら洞窟を探検してアイテム集めに没頭するもよし、人々の依頼をこなし名声を集めるもよし、料理人や錬金術師、大工になって生産を楽しむもよしと、プレイヤーの好きな人生を歩める。しかも種族や職業が豊富にあり、見た目から能力まで、とにかくこだわってキャラクターを作成できるのが特長。さらに世界はランダムに構築される仕組みで、主要な街や洞窟の位置こそ変わらないが、そこに住む住人やモンスターなどはプレイするたびに変化する。完全オリジナルの世界で、一人の冒険者の人生を自ら手で決められるのが、最大の魅力と言っていいだろう。

 ゲームを開始して最初にやることは、キャラクターメイキングだ。種族だけでもバランス型の“イェルス”や“ジューア”、魔力が高くすばしっこい“妖精”、パラメーター異常への耐性が強い“リッチ”など11種類もある。“かたつむり”などという変わった種族まで用意されているのが面白い。また職業は、直接戦闘向きの“戦士”、窃盗向きの“遺跡荒らし”、生産向きの“農民”といったものから、“ピアニスト”“観光客”といった変わり種まで10種類が用意されている。ここである程度生き方の指針が決まるだろう。ちなみに、初期の能力値はランダムで決まるが、数値の生成は納得のいくまで何度でもやり直せる。

 また、キャラクターの“異名”を決められるのも楽しい。“静かなる終焉”“トゥモローサムライ”といったように2つほどの単語を組み合わせた名前がランダムでいくつも生成され、それを選ぶだけでも時間を忘れるほどだ。さらに身長や体重、年齢までランダムで決まるがやり直しができ、見た目も調整できる。じっくりとキャラクターを作り始めると、1時間程度ではとても終わらない。

 キャラクターが作成できたらいよいよ冒険の開始だが、本作の世界は非常にリアル。食事をしなければ最終的に餓死してしまい、休息や睡眠を取らなければ成長が妨げられ、夜になれば暗くなり、晴れや雨といった天候まである。さらに、食べ物を長時間持っていれば腐ってしまい、それを食べると混乱などのステータス異常が起きてしまう。その対策として、スタート地点でありアイテムを保管できる“自宅”には冷蔵庫まであるのだ。

豊富なスキルを駆使して冒険や生活を楽しもう

街やダンジョンへの移動に利用するグローバルマップ
街やダンジョンへの移動に利用するグローバルマップ
ダンジョンの構造は基本的に自動生成。慎重に進みたい
ダンジョンの構造は基本的に自動生成。慎重に進みたい
 本作の時間経過は完全なリアルタイムではなく、プレイヤーが移動や攻撃など、何か1つ行動すると周りも1つ行動するという、ローグ系RPGによくあるタイプ。操作方法は少々複雑で、移動はテンキーの[2][4][6][8]で行い、[5]はその場で足踏み、[0]は床にあるアイテムの取得となる。そのほか、[Z]キーで射撃や掘る、休息といった行動ができ、[X]キーで食べる、読む、飲む、振るといったアイテムの使用、[C]キーでアイテムの装備やキャラクターの情報表示が可能だ。また、それぞれの行動メニューでは行動の種類ごとにページが分かれており、テンキーの[7]と[9]でページを移動できる。

 これらの行動をスムーズにこなせるようになるには慣れが必要だが、自分が動かなければ時間も進まないので、慣れるまではゆっくりと落ち着いて行動しよう。また、スペースキーを押すとその場に適した行動を自動で取ってくれるので覚えておきたい。たとえば、ベッドの上なら睡眠を取るといった具合だ。

 自宅を出ると“グローバルマップ”に切り替わり、スペースキーを押すと立っている土地に入れる。平野ならそのままモンスターとの戦闘になり、街や塔、洞窟ならば、そこに入るといった仕組み。街ではアイテムの売買や食事、睡眠ができるほか、モンスター討伐やアイテムの入手、護衛、配達などさまざまな依頼が用意されている。依頼の難易度は星の数で示されるので、序盤は簡単な依頼をこなしながら、近くの平野で弱いモンスターを倒して経験値とアイテムを稼ぐのが手堅い流れだ。なお、グローバルマップでは時間の流れが10倍となり、うろうろしているとあっという間に餓死してしまうので注意。

 ダンジョンの構造はランダムで、入るたびに変化する。難易度は入る前にダンジョンの階数で表示され、キャラクターの情報画面では自分の能力が何階相当まで到達しているか確認できるので、それを見比べて入るのが基本だ。ダンジョンに限らず、どの場所でもアイテムは比較的簡単に手に入るが、それぞれに重量があり、キャラクターが持てる量は決まっている。さらに、アイテムの内容を知るには鑑定が必要だ。持っていれば自然と鑑定されることもあるが、基本的に杖や薬、巻物の効果は鑑定するか使ってみないとわからない。それだけにダンジョンへ挑む際は、街で鑑定を頼んだり鑑定用のアイテムを使って鑑定を行い、回復薬などを万全の状態にしておきたい。


街ではさまざまな依頼を受けられる。資金と名声を稼ぐチャンス   アイテムは鑑定を行わないとその価値や内容がわからない
街ではさまざまな依頼を受けられる。資金と名声を稼ぐチャンス   アイテムは鑑定を行わないとその価値や内容がわからない

 また、本作には多くの“スキル”が用意されており、これを身につければ実にさまざまなことができる。たとえば大工のスキルとアイテムの“大工道具”、そしてダンジョンなどで手に入る“マテリアル”があれば、杖や荷車を作ることが可能。また、錬金術のスキルならば回復などの効果があるポーションを、料理のスキルならばモンスターの肉や果物から料理を作れる。このほか、釣りや裁縫といったスキルも用意されている。面白いのは演奏のスキルで、楽器を演奏することで街の人からおひねりやアイテムをもらえる。手軽に稼げるようだが、スキルのレベルが低いと石を投げられて死ぬこともあるのでなかなか厳しい。

 そのほか、ペットや仲間を連れて行くこともできる。最初に入る街でとりあえず1匹または1人は手に入るが、“モンスターボール”というアイテムをモンスターに投げて捕まえたり、商人から購入して増やすことも可能。ペットという分類だが基本的には共に戦う仲間。戦闘の苦手な職業ではとくに重要な存在だ。楽しいのは、アイテムのやりとりなどで友好度を上げれば結婚できること。最終的に子供へと冒険を受け継がせることも可能だ。


スキルとアイテムを組み合わせて、さまざまな生産ができるのも魅力   仲間との友好度を上げれば結婚して子孫を残すことも可能だ
スキルとアイテムを組み合わせて、さまざまな生産ができるのも魅力   仲間との友好度を上げれば結婚して子孫を残すことも可能だ

できることが多くて最初は戸惑うことも。でもハマると抜け出せない!?

メインとなるクエストも存在。国を巻き込む陰謀を追うことに
メインとなるクエストも存在。国を巻き込む陰謀を追うことに
 ここまで本作の要素を多数紹介したが、これでもゲームシステム全体のほんの一部にすぎない。特定の神へ信仰を深めて能力やアイテムを入手できたり、ペットを増やせる牧場やアイテムを販売できるお店を建てたり、それぞれの街にある独自の交易品を別の街で高く売ったりと、多種多様な楽しみがある。架空の世界で生き、生活するといったことを存分に味わえるのだ。その一方で、ゲーム進行の目安となるメインのクエストも用意されている。基本は“レシマス”というダンジョンを攻略していくというものだが、そこには大いなる陰謀が……となかなか興味深い。冒険者らしく、クエストのクリアを主な目的にするのもいいだろう。

 このほかにも、エーテルという物質から引き起こされ、この世界に生きる限り絶対に逃れられない“エーテル病”の存在や、国民の義務としての納税など、世界観の深さは計り知れない。最初のプレイでは、何をどうすればいいのかわからず、何度も倒されてゲームを放り出したくなることもあるかもしれない。しかし、プレイしていくうちに効率的な進め方、アイテムの使いどころ、依頼のこなし方などがだんだんと見えてくる。そうなると、キャラクターを作り直して今度こそはいい冒険を実現しようという気になってくるから不思議だ。腰を据えてじっくりと長く遊べるRPGを求めているなら本作はイチオシ。多少の取っつきにくさはあるものの、“何でもできる”ことの楽しさをぜひ味わってほしい。


【著作権者】のあ 氏
【対応OS】Windows XP
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.13(08/07/18)
【ファイルサイズ】24MB

□Elona
http://homepage3.nifty.com/rfish/

(芹澤 正芳)




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