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「WSL 2」を搭載した「Windows 10 20H1」Build 18917が“Fast”リングに

[配信の最適化]オプションや“Windows Ink ワークスペース”の改善も

「Windows 10 Insider Preview」Build 18917

 米Microsoftは6月12日(現地時間)、「Windows 10 Insider Preview」Build 18917(20H1)を“Windows Insider Program”の“Fast”リングに参加するユーザーに対して公開した。Build 18917の目玉は、なんといっても「Windows Subsystem for Linux(WSL)2」の搭載だろう。

 「Windows Subsystem for Linux(WSL)」は、LinuxのELF64バイナリをWindows 10上でネイティブ実行するための機構。現行の「WSL 1」はLinuxのシステムコールをWindowsのAPIへ逐次変換する方式を採用していたが、今春にアナウンスされた「WSL 2」はLinuxカーネルをまるごとOSに内蔵し、軽量仮想マシンに処理を任せる方式に改められた。「WSL 2」については下記リンクも参照されたい。

 簡単にまとめると、「WSL 2」は「WSL 1」よりファイルアクセスが高速(ただし、ファイルはWindowsではなくLinux/WSLのファイルシステムに配置することが推奨される)で、「Docker」などのツールが利用できるなど、互換性に優れる。その一方で、軽量仮想マシンの起動に数秒を要する、ホストと異なるIPアドレスが割り振られる(“localhost”でネットワークアプリにアクセスできない)といった欠点も抱えており、当面の間は状況や目的に応じて使い分けることになりそうだ。

 なお、「WSL 1」と「WSL 2」はコマンド(wsl --set-version <Distro> <Version>)で相互変換が可能。ただし、「WSL 2」への変換処理には若干時間がかかるので注意。また、あらかじめ[Windows の機能]ダイアログ(optionalfeatures.exe)で「Hyper-V」を有効化しておく必要がある。

「WSL 1」と「WSL 2」はコマンドで相互変換が可能.。ただし、「WSL 2」を利用するには「Hyper-V」を有効化しておく必要がある

 そのほかにも、本ビルドでは「設定」アプリの[配信の最適化]オプションが拡充。“Windows Update”や“Microsoft Store”との通信で利用する帯域を、全体の割合(%)ではなくMbps単位で指定できるようになった。また、一部環境で新しい「Windows Ink ワークスペース」が導入されているとのこと。機能がスクリーンショットの注釈と「Microsoft Whiteboard」アプリを使ったメモの2つに整理され、ユーザーインターフェイスが大幅に簡素化された。

新しい「Windows Ink ワークスペース」と現行の「Windows Ink ワークスペース」