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SNSのクロスサイト追跡をブロック、新しいロゴを採用した「Firefox 70」が正式リリース

パスワードの管理・漏洩警告機能を統合するなど、大きな改善が多数盛り込まれる

「Firefox」70.0

 Mozillaは10月22日(米国時間)、デスクトップ向け「Firefox」の最新版「Firefox 70」を正式公開した。「Firefox 57」から掲げられてきた“Firefox Quantum”ブランドこそ冠されていないが、新しい“Firefox”ブランドロゴが導入されるなど、大きな改善が加えられたバージョンとなっている。

“強化型トラッキング防止機能(Enhanced Tracking Protection、ETP)”の拡充

 ここ最近のバージョンの目玉となっている“ETP”では、新たに“ソーシャルメディアトラッカー”からの保護が標準ブロックプランに追加された。Facebook、Twitter、LinkedInといったSNSのCookieがWebサイトをまたいでユーザー情報を収集するのを防止できる。

“ソーシャルメディアトラッカー”が標準ブロックプランに追加

 また、“ETP”の稼働状況をチェックできるレポート機能が追加された。この1週間でどの種類のトラッカーが、どれだけブロックされたのかをわかりやすいグラフで表示できる。Webサイトからのデータ漏洩を警告する“Firefox Monitor”や後述のパスワード管理機能“Firefox Lockwise”のレポートもここでチェック可能だ。

“ETP”の稼働状況をチェックできるレポート機能

パスワード管理ツール「Firefox Lockwise」とパスワードの漏洩警告サービス“Firefox Monitor”の統合

 デスクトップ版「Firefox Lockwise」と、パスワードの漏洩を警告する“Firefox Monitor”が統合され、ログイン情報の管理が大きく強化された。

デスクトップ版「Firefox Lockwise」

 デスクトップ版「Firefox Lockwise」は、従来からある「Firefxo」のビルトインパスワード管理に比べ閲覧性が高く、検索や並び替え、編集などの機能が充実しており使いやすい。“Firefox Sync”を利用して他の「Firefox」とパスワードを同期できるのはもちろん、モバイル版「Firefox Lockwise」を併用すれば、「Firefox」以外のモバイルアプリ・サービスのログイン情報も管理できる。パスワード生成機能も備えているので、複雑な強力なパスワードでWebサイトを安全に利用できるのも魅力。「Firefox Lockwise」にパスワード管理を任せておけば、長いパスワードをわざわざ覚えておく必要もない。

パスワード生成機能も搭載

コアエンジンコンポーネントの強化

 「Firefox 70」では、「Baseline」と呼ばれるJavaScriptインタープリターが導入された。「Firefox」のスクリプトエンジンは、緩い最適化を高速に実施する「JaegerMonkey」と、頻繁に使われるコードにより念入りな最適化を施す「IonMonkey」の二段構えでJITコンパイルを実施するが、この2つのコンパイラーにあったギャップを解消することで5%~8%のパフォーマンス向上を実現した。

 そのほかにも、一部のWindows環境で先行導入されていた「WebRender(Quantum Render)」の提供範囲を拡充。Mac版ではコンポジターの改善により、ページの読み込み時間が最大22%短縮されたほか、ビデオ再生時のリソース消費が最大37%削減された。消費電力の削減にも寄与するという。

Webブラウザー機能の拡充

 また、Webブラウザーのユーザーインターフェイスにもさまざまな改善が施された。たとえば、“Firefox アカウント”のメニューには“Firefox Monitor”やファイル送信サービス““Firefox Send””へのリンクを追加。ツールバーには“ギフト”アイコンが追加され、新バージョンに追加された機能などが案内されるようになった。

“Firefox アカウント”のメニュー
ツールバーには“ギフト”アイコンが追加

 さらに、アドレスバーのEV証明書発行元表示が廃止され、鍵・盾アイコンの仕様が変更された(詳細は別記事を参照)。Webサイトが位置情報を利用していることを示すインジケーターアイコンがアドレスバーに追加されたほか、「Firefox」のビルトインページがシステムの“ダーク モード”設定に従うようになっている。

Webサイトが位置情報を利用していることを示すインジケーターアイコン
「Firefox」のビルトインページがシステムの“ダーク モード”設定に従うように

 なお、本バージョンにはセキュリティ関係の修正も含まれているので注意。Mozillaが公開したセキュリティ情報によると、今回修正された脆弱性はCVE番号ベースで13件。深刻度の内訳は、Mozillaの基準で4段階中上から最高の“Critical”が1件、上から2番目の“High”が3件、上から3番目の“Moderate”が8件、最低の“Low”が1件となっている。

 デスクトップ版「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 7/8/10に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。