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「WSL 2」が「Windows 10 バージョン 1903/1909」でも利用可能に ~Microsoftが旧OSに移植

x64環境で動作。「Ubuntu」や「Docker Desktop」が対応表明

「WSL 2」が「Windows 10 バージョン 1903/1909」でも利用可能に

 米Microsoftは8月20日(現地時間)、「Windows Subsystem for Linux(WSL)2」を「Windows 10 バージョン 1903/1909」にバックポートしたと発表した。まだ「Windows 10 バージョン 2004」へアップグレードできない環境でも、「WSL 2」が利用できるようになる。

 「WSL」は、LinuxバイナリをWindows 10上で直接実行するための機構。初代の「WSL 1」はLinuxのシステムコールをWindowsのAPIへ逐次変換して実行する仕組だったが、「WSL 2」では軽量な仮想マシン(VM)ユーティリティでLinuxバイナリを実行する方式に改められた。WSL向けに最適化されたLinuxカーネルを利用することでアプリ互換性が向上したほか、「WSL 1」で不満の声が多かったI/Oパフォーマンスが劇的に改善されている。また、「WSL 2」は「Windows 10 Home」に対応しており、「Docker Desktop」を利用することも可能だ。

 「Windows 10 バージョン 1903/1909」で「WSL 2」を利用するには、本日付けでリリースされているプレビューの累積的更新プログラム「KB4566116」が必要(無理に導入しなくても、大きな問題がなければ来月のパッチチューズデーに含まれる)。適用後、OSのリビジョンナンバーが“1049”以降になっていることを確認しよう。

プレビューの累積的更新プログラム「KB4566116」

 また、今のところ64bit版Windows 10(x64)でしか利用できないので注意したい。ARM64版Windows 10で「WSL 2」を利用したい場合は、「Windows 10 バージョン 2004」への更新が必要だ。準備が整ったら、以下の「PowerShell」コマンドで「WSL 2」を有効化すればよい。

# 必要なオプション機能を有効化(要管理者権限、CPUの仮想化支援機能)
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName VirtualMachinePlatform -NoRestart

# OS を再起動
Restart-Computer

# 「WSL 2」をデフォルトに(“--set-version”オプションで「WSL 1」と相互変換することも可能)
wsl.exe --set-default-version 2

# “Microsoft Store”から Linux ディストリビューションをインストール

 場合によっては、“aka.ms/wsl2kernel”からLinuxカーネルをダウンロード・インストールする場合がある。

Linuxカーネルをダウンロード・インストール

 Linuxディストリビューションは、英Canonicalが「Windows 10 バージョン 1903/1909」の「WSL 2」への対応をすでに表明しているので「Ubuntu」を利用するのがよいだろう。“Microsoft Store”から好みのバージョンの「Ubuntu」をダウンロード・インストールすればよい。

英Canonicalが「Windows 10 バージョン 1903/1909」の「WSL 2」への対応をすでに表明

 なお、「Docker Desktop」もプレビュー版の「Desktop Edge 2.3.5.0」で「Windows 10 バージョン 1903/1909」の「WSL 2」に対応しているようだ。