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「Google Chrome 93」ではマルチモニター環境やPWAの対応が強化 ~ベータ版がテスト中

SMS経由でワンタイムパスワードを送信するタイプの認証フローがデスクトップ版でも手軽に

「Google Chrome 93」がベータ版に

 米Googleは7月29日(現地時間、以下同)、「Google Chrome 93」のベータ版に追加された新機能を発表した。「Chrome 93」では4つの新機能が「Origin Trials」でテストされるほか、多くの改善や仕様の調整が行われる。

 「Chrome 93」で「Origin Trials」が開始される機能は、以下の通り。マルチモニター環境や「プログレッシブ Web アプリ」(PWA)への対応強化が図られる。

  • Cross-Origin-Embedder-Policy: credentialless:認証(Cookie、クライアント証明書など)を省略したクロスオリジンの非CORSリクエストが可能に
  • Multi-Screen Window Placement:デバイスに接続されている外部ディスプレイにウィンドウを配置し、その位置を記憶したり、フルスクリーン表示を行う。プレゼンアプリで外部モニターにスライドを、メインモニターに発表者ツールを表示するといった用途が想定されている
  • Window Controls Overlay for Installed Desktop Web Apps:インストールされたPWAがウィンドウのタイトルをカスタマイズ可能に。「Microsoft Office」のようにタイトルバーに検索ボックスを表示したり、クイックコマンドボタンを配置することができる
  • PWAs as URL Handlers:特定のURLにアクセスすると、あらかじめ登録したPWAが起動するように

 一方、以下の2つのAPIは「Origin Trials」を卒業し、正式版に導入される予定。

  • Subresource loading with Web Bundles:複数のリソースを束ねて効率的に読み込めるようにする「Web Bundles」を拡張
  • WebXR Plane Detection API:WebXRアプリケーションがユーザー環境の平面に関するデータを取得できるように。床に仮想オブジェクトを置くといった表現が可能

 そのほかにも、スタイルシート(CSS)ではテーマカラーのサポートが強化される。また、脱「UA文字列」に向けたプロセスも継続されるとのこと。

 また、「WebOTP API」がデスクトップ版でもサポートされる点にも注目したい。アカウントを確認する際、SMS経由でワンタイムパスワード(認証コード)をやり取りする際の認証フローを経験することはよくあるが、これはモバイル端末ならばともかく、デスクトップではコードの入力が面倒だった。また、フィッシング(詐欺)サイトにだまされる可能性も捨てきれない。

 「Cross Device WebOTP」と呼ばれる新しい仕組みでは、デスクトップ版「Chrome」とAndroid版「Chrome」が同じ「Google アカウント」を使用していれば、手元のAndroidスマホでデスクトップ端末の認証フローを行うことができる。モバイル端末の「WebOTP」はフィッシング対策も考えられているので、デスクトップでSMS経由のワンタイムパスワードを入力するよりも安全だ。

手元のAndroidスマホでデスクトップPCのSMSワンタイムパスワード認証を行える「Cross Device WebOTP」

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Android/Chrome OSに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10で利用できる。