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Apple、「iOS 15」「iPadOS 15」を正式公開 ~無償アップグレードが開始

「FaceTime」のSharePlayや空間オーディオ、「集中モード」、iPadのマルチタスク強化などが目玉

Apple、「iOS 15」を正式公開

 米Appleは9月20日(現地時間)、「iOS 15」「iPadOS 15」の提供を開始した。今回のアップデートは、1年ぶりのメジャーバージョンアップ。今年6月に開催された開発者向けのイベント「WWDC 2021」で発表され、7月から一般ユーザー向けのプレビューが行われていた。

iOS 15

 iPhone/iPod touch向けの次期OS「iOS 15」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響でリモートワークや外出の抑制を強いられていることをうけ、ユーザーのつながりを保つためのコミュニケーション・コンテンツ共有機能を強化。

 とくに「FaceTime」では通話相手とコンテンツ(映画、番組、音楽、画面)を共通できる「SharePlay」が導入されたほか、通話の参加相手が表示されている位置と方向から声が聞こえる「空間オーディオ」、周囲のノイズを最小限に抑え、ユーザーの声を前面に押し出してクリアに届ける「声を分離」といった新機能が投入された。参加メンバーをタイル状に配置するグリッド表示や、背景をぼかして被写体に焦点が合うようにするポートレートモードもサポートされる。さらにWindowsやAndroidのユーザーもWebブラウザーを使って「FaceTime」が利用可能になるが、これもエンドツーエンド暗号化でプライバシーがしっかり保護される。

「FaceTime」で通話相手とコンテンツを共通できる「SharePlay」が導入

 また、メッセージアプリで自分と共有されたコンテンツ(リンクが画像)が、対応アプリの[あなたと共有]セクションに表示されるようになった。この機能は「写真」アプリ、「Safari」、「Apple Music」、「Apple Podcast」、「Apple TV」アプリに組み込まれている。

 そのほかにも、作業に専念したいときにそれを妨げないようにするための改善がいくつか導入された。「集中モード」を使えば、今していることに合わせて通知をフィルタリングし、気が散らないようにすることが可能。通知のデザインも新しくなり、あとで都合のよい時間に内容をチェックできるようやく機能が導入された。

今していることに合わせて通知をフィルタリングし、気が散らないようにする「集中モード」

 同梱アプリにもさまざまな強化が施されている。とくに「マップ」アプリはデザインが一新され、都市を3Dで探索したり、拡張現実(AR)の中で徒歩の経路を体験できるようになった。また、デバイス上の人工知能機能を使用して、システム内やWeb上の写真の中に含まれているテキストを認識するOCR機能「テキストの認識表示」(Live Text)も便利(日本語未対応)。「Siri」や「メール」アプリのプライバシーコントロール機能も新しくなり、個人情報をより細かく管理できるなど、透明性が高まっている。

iPadOS 15

 iPad向けの「iPadOS 15」では、ホーム画面が改善。アプリと一緒にホーム画面へウィジェットを置いておけるようになったほか、iOSで好評の「Appライブラリ」が導入され、ドックから呼び出せるようになった。

アプリと一緒にホーム画面へウィジェットを置いておけるように

 また、複数のアプリを同時または切り替えて利用するマルチタスキング機能も強化された。たとえばスクリーンを分割して2つのアプリを同時に表示する「Split View」を利用する場合、従来は少し複雑な操作を要求された。しかし、「iPadOS 15」ならばアプリの上部に新設されたマルチタスキングメニュー(横3つの点アイコン)をタップして「Split View」を選ぶだけだ。アプリを切り替える「Appスイッチャー」でアプリをドラッグ&ドロップし、「Split View」を作成することもできる。

アプリの上部に新設されたマルチタスキングメニューをタップ
「Split View」も簡単に
アプリを切り替える「Appスイッチャー」でアプリをドラッグ&ドロップし、「Split View」を作成することも

 そのほかにも、Apple Pencilですぐにメモが取れる「クイックメモ」、システムワイドで利用できる翻訳機能などが追加された。iOSに導入された空間オーディオやポートレートモードといった「FaceTime」の改善や「集中モード」なども利用できる。

 また、2021年後半にはiPadで「Swift」コードを使ったアプリ開発を行える「Swift Playgrounds」がサポートされる予定。これで開発したアプリは「App Store」に提出することもできる。

アップデート方法

 「iOS 15」「iPadOS 15」は無料のアップデートとして提供されており、「設定」アプリの[一般]-[ソフトウェア・アップデート]セクションから更新できる。「iOS 15」「iPadOS 15」には大きな変更が加えられているため、重大な不具合も十分予想される。アップデートする際は事前にデータのバックアップをとることを強くお勧めする。当分の間「iOS 14.8」「iPadOS 14.8」にとどまることも可能だ。

「設定」アプリの[一般]-[ソフトウェア・アップデート]セクション

 「iOS 15」の対応デバイスは、「iPhone 6s」以降、「iPhone SE」第1世代以降、「iPod touch」第7世代以降。「iPadOS 15」の対応デバイスは、「iPad Pro」、「iPad」第5世代以降、「iPad mini 4」以降、「iPad Air 2」以降。