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Adobe、Web版「Photoshop」「Illustrator」を発表

「Creative Cloud」をWebへ拡張する構想の一環

Adobe、Web版「Photoshop」を発表

 米Adobeは10月26日(現地時間)、年次カンファレンス「Adobe MAX 2021」で、Web版「Adobe Photoshop」を発表した。ベータ版として順次提供される。「Illustrator」もプライベートベータとしてテストが開始されるとのこと。

 今やデザイン制作はクリエイター個人だけでは完結せず、さまざまな関係者との調整を伴うものになっている。とくに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以降はリモートワークによる協業が進み、異なるデバイスやプラットフォーム、ときにはさまざまな国や地域、タイムゾーンをまたいで共同作業を行うことが増えてきた。もし世界が日常を取り戻したとしてもオンラインでの協業(リモートワーク)が後退することはなく、オフィスワークと組み合わせた「ハイブリッドワーク」などの新しい働き方にシフトしていくだろう。

 そこで同社が構想しているのが、「Adobe Creative Cloud」をWebへ拡張することだ。「Photoshop」や「Illustrator」がWebブラウザーで動作するならば、わざわざPCにアプリをインストールしなくても、基本的な編集が行えるようになる。作品を共有し、コメントをやり取りし、フィードバックを作品に反映させるといった一連の作業がスムーズに行えるようになるだろう。

 Web版「Photoshop」はまず、日本語を含む9カ国語で展開される。利用可能になると「Adobe Creative Cloud」のクラウドファイル画面から「Photoshop」ドキュメントを開いた際、[Open in Photoshop on the web beta]というボタンがヘッダーに現れる。ただし、現時点では学校アカウントはサポートされず、個人用アカウントに切り替える必要がある。

 初期リリースの対応ファイル形式はPNG、JPEG、PSD、PSDC、TIFF、HEIC。共有はPSDC(Photoshop Cloud Document)という独自形式で行われるようだ。RAWイメージファイルを扱うことはできないが、将来的なアップデートでサポートが計画されているとのこと。

 対応Webブラウザーは、今のところ「Google Chrome」と「Microsoft Edge」の2つ。最低でもv90以降が必要で、v95が推奨されている。快適に利用するには64bit版Windows 10もしくはmacOS 10.15以降、4から7コア搭載のIntel CPU(64bit)、8GBのメインメモリなどの利用が望ましい。同社は今後の改善で「Chrome」「Edge」以外のWebブラウザーもサポートしていくとしている。

Web版「Photoshop」の要件

 そのほかにも、同社はWeb版「Adobe Creative Cloud」構想の一部として以下の2製品を展開する。

  • Creative Cloud Spaces(ベータ版):コンテンツとコンテキストを結びつける共有の場で、チームの誰もがファイル、ライブラリ、リンクにアクセスし、作品を一元的に整理できる
  • Creative Cloud Canvas(ベータ版):リアルタイムでメンバーの作業を可視化するデジタルキャンバス

 いずれも本日からプライベートベータが開始され、来年にはすべての「Creative Cloud」へアクセスが拡大される。

Creative Cloud Spaces
Creative Cloud Canvas