レビュー

もし自分が死んだら…… 残したくないファイルの自動削除などができる終活ソフト「編みノート」

自分自身のことや、家族や大切な人へ伝えるべきことを生前整理する

「編みノート」

 「編みノート(あみノート)」は、遺産整理のマレリークを運営する(株)ネオプライスが無料で配布する“終活”のためのアプリ。Windowsに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 7/10で動作確認した。現在、マレリークの公式サイトからダウンロードできる。

 写真や動画、メール、SNSやブログの記録、Webサービスのアカウントなど、パソコンやスマートフォンに保存される情報は多いが、不慮の事故や自然災害に巻き込まれてそれらの整理をすることなく自分が死亡してしまう可能性はゼロではない。ほとんどの人がデジタル端末を所有している現代では、“デジタル遺品”は他人事ではないだろう。第三者によるアカウントの乗っ取りや個人情報の悪用、遺族の知らない課金契約など、デジタル遺品の放置によるトラブルは避けたいものだ。

 「編みノート」を使えば、自分自身のことや、家族や大切な人へ伝えるべきことなど、デジタル情報を生前に整理し、指定した期間パソコンにログインしなかった場合に自動で表示することが可能。本アプリに情報を入力することで、自分自身を見直すことにもなる。

 また、遺族に伝えたいことがある一方、閲覧して欲しくない情報もある。本人以外がパソコンを起動した場合に指定できる以下の2つの動作も本アプリの大きな特徴だ。

  • 期限を過ぎてパソコンを起動した場合、自動削除するファイルを指定可能
  • “編みノート”と同時に自動起動するファイルを指定可能

なお、アプリのインストール方法から丁寧に解説したマニュアルもダウンロード可能。パソコンの操作に自信のない方に紹介する際にも安心だ。

自分の死後、遺族に伝えたい情報を一元管理

 ユーザー本人の個人情報のほか、契約している携帯電話やプロバイダーの情報、医療・介護に関する情報、所有する資産情報、遺影の指定、家族や友人、知人の連絡先、残された方へ伝えたいことなどを細かく記録できる。色分けされたタブを切り替えて操作するインターフェイスは、何を記入するかが一目瞭然だ。入力内容は自動的に保存されるため、保存忘れの心配はない。

ユーザー本人の個人情報のほか、生前のメモなども保管可能。画面左上の[非表示設定]のチェックをONにすれば、本人以外は閲覧できなくなる
希望する遺影の指定も可能。[ダウンロード]ボタンをクリックすると、指定した画像ファイルがデスクトップに保存される
[設定]タブでは、ファイルの自動削除期限、パスワード、本人以外が本アプリを起動した時に表示するファイル、自動削除するファイルを指定可能だ

指定したファイルを自動的に削除する

 先ほどの[設定]タブで、本アプリを自動実行する期限を指定可能だ。最後にパソコンをシャットダウンした日の翌日からカウントされる。例えば[1日]なら最後にパソコンをシャットダウンした翌々日に自動実行される。

 [自動的に削除されるファイル]を指定している場合は要注意だ。何らかの事情で指定した期日以上が経過した後、パソコンを起動すると本アプリが自動的に起動する。画面中央の[開く]ボタンは本人以外の操作が想定されており、クリックすると本人との関係を選択するプルダウンメニューが表示される。そのまま素直に操作すると、[自動的に削除されるファイル]に指定されたファイルが自動的に削除されてしまう。期限はパソコンの利用頻度にあわせて設定しておくべきだろう。

 “本人”の場合は、画面左下にマウスポインターを移動して本人確認をすれば自動削除は実行されない。また、自動起動ではなく、任意で本ソフトを実行した場合も同様の画面が表示され、本人確認しない場合はファイルの削除が行われるので注意しよう。

起動時にピンク色の画面が全面表示されたら、左下にマウスポインターを移動した際に表示される歯車のアイコンから本人確認する
本人確認で指定したパスワードを入力する。特に指定していなければ、パスワード欄には何も入力せずに[ノートを開く]ボタンをクリックする。パスワードを3回間違えると、本人ではないと判断され、[自動的に削除されるファイル]で指定されたファイルが自動的に削除される
画面中央の[開く]ボタンをクリックした状態。このまま操作を進めると“本人以外”として動作し、指定したファイルが削除される

 本人確認の[パスワードを忘れたときは]に表示される質問は[設定]タブで設定した内容だ。一般的な“パスワード”に共通する話だが、あまり簡単な質問を設定してしまうと、意図せずに本人と判断されてしまうのでよく検討して設定しよう。

“編みノート”と同時に自動起動するファイルを指定する

 本アプリの起動と同時に起動するファイルを1つ指定可能だ。テキストやOfficeアプリ、PDFのほか、音声、動画など、ファイルに関連付けられているアプリを自動的に起動できる。複雑な処理を指示するOfficeファイルを開いてもいい。ビデオメッセージを自動再生するという使い方も考えられる。

本人以外が本アプリを起動したときに、自動実行するファイルを指定可能だ

 なお、本アプリを活用するには故人のパソコンにログインできることが前提であることを忘れてはいけない。そもそもパソコンへログインできなければ元も子もないのだ。パソコンのログイン情報の管理は紙に記録しておくなど、別途検討が必要だろう。

ソフトウェア情報

「編みノート」
【著作権者】
(株)ネオプライス
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 7/10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0(19/01/24)