いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】セルの結合は避けたほうがいいって本当?エクセルでセルを結合すると発生する問題点

セルの結合はよくないと聞いたことがあるけれど何がダメなの……?

 Excelで資料を作成する際に、複数のセルを結合して1つのセルにすることってありますよね。例えば、「請求書」(①)では3行目で複数のセルを結合していますが、このように複数のセルを1つのセルとみなして文字を中央揃えにすると、見た目がよくなりますよね(②)。

 この「セルの結合」は、印刷を前提とした見た目重視の資料を作成する際などはとても便利な機能ですが、一方で問題点も多くあります。セルの結合が好ましくないと言われる理由として以下のような問題点が挙げられます。


    (1)コピー&ペーストがうまくいかない
    (2)行の追加や削除が不自由
    (3)並べ替えができない
    (4)オートフィルターがうまく機能しない

 今回の記事では、これらの問題について詳しく見ていきます。「セルを結合しないほうがいいと聞いたことがあるけれど、何がダメなのか今ひとつピンとこない」と感じている読者はぜひ読んでみてください!

問題点1:コピー&ペーストがうまくいかない

 「店舗別売上表」の例で見てみましょう。3つのセルが結合されたセルB3を含むセル範囲(①)に、セル範囲J2:K8(②)のデータをコピー&ペーストしてみます。セル範囲J2:K8を選択して[Ctrl]+[C]キーを押します。

 セルB3をクリックし、[Ctrl]+[V]キーを押してデータを貼り付けようとする(③)と、エラーメッセージ(④)が表示されて貼り付けることができません。

 結合したセルと同じサイズのセルでないと、コピー&ペーストすることができないからです。

問題点2:行や列の選択が不便

 セルを結合してしまうと、ショートカットキーを使って行や列の選択をしたい時に不便が生じます。例として、「顧客別売上表」を使ってやってみましょう。A列にある「エリア」欄(①)は、セルを結合してデータを入力しています。この表で、「とかち川産業」の行(②)だけを選択して、セルの背景色を変更したい場合を考えます。

 ショートカットキーを使って、3行目全体を選択してみましょう。セルB3を選択した状態で[Shift]+[Space]キーを押す(③)と、セルB3を含む行全体を選択できるので、やってみます。

 通常なら3行目だけが選択されるはずなのですが、3行目から8行目まで選択されてしまいました(④)。

 ショートカットキーでは、3行目のみを選択することができません。

問題点3:データの並べ替えができない

 先ほどと同じ「顧客別売上表」の例を使ってデータを並べ替えてみましょう。例として、1月の売上高が多い順にデータを並べ替えたいとします。C列の「1月」欄にあるいずれかのセル(ここではセルC3)(①)を選択して、[ホーム]タブ(②)→[並べ替えとフィルター](③)→[降順](④)をクリックします。

 通常なら、この操作で降順に並べ替えられるはずですが、実際は、画面上に「結合セルのサイズが異なるために並べ替えができない」という旨のエラーメッセージ(⑤)が表示され、並べ替えができません。

問題点4:オートフィルターがうまくできない

 最後にオートフィルターを試してみましょう。ここでも「顧客別売上表」を使ってやってみます。

 まず、表にフィルターボタンを表示させます。表内のいずれかのセル(ここではセルC3)(①)を選択して、[ホーム]タブ(②)→[並べ替えとフィルター](③)→[フィルター](④)をクリックします。

 すると、表見出し行の各セルの右端にフィルターボタンが表示されます(⑤)。

 実際に、フィルターボタンを使ってデータの抽出を行ってみます。例として、「関西エリア」のデータだけを抽出して表示します。関西エリアのデータは6件あるので、オートフィルターを行った時に6件分のデータが抽出されればよいですよね。

 セルA2の右端にあるフィルターボタン(⑥)をクリックすると、メニューが表示されるので、(すべて選択)(⑦)をクリックしてすべてのチェックマークをOFFにします。

 すべてのチェックマークがOFFになったら、[関西エリア]だけをクリックしてチェックマークをON(⑧)にします。

 [OK](⑨)をクリックしてメニューを閉じます。

 これで「関西エリア」の6件のデータが抽出されるはずですが、抽出結果には、6件あるはずのデータが1件しか表示されません(⑩)。

 セル結合をしてしまうと、結合されたセルのうち1番上のセル(ここではセルA9)にしかデータが入力されていないとみなされ、セルA9が含まれるデータしか抽出されなくなってしまうのです。これでは、思ったとおりの抽出結果が得られませんね。

1件のデータは1行で入力する

 ここまでで、セルを結合することにより生じる問題点について理解してもらえたのではないでしょうか。特に、「問題点3:データの並べ替えができない」と「問題点4:オートフィルターがうまくできない」で見たように、データの検索や抽出、集計を目的として作られた表では、セルの結合は行わないほうがよいと言えます。

 データの検索や抽出、集計を目的として表を作成する場合、先頭行の列見出しに合わせて、1件のデータは1行で入力するのが基本です(①)。

 セルの結合にはさまざまな問題点がありますが、冒頭で述べたように、使い方次第ではとても便利な機能です。メリットとデメリットを理解して、使い分けてみてくださいね!

今月のExcelTips