魔法を駆使して塔を登るファンタジーアクション「MAGICAL×SPIRAL」

　『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、3Dアクションゲーム「MAGICAL×SPIRAL」をご紹介する。

　本作は有償の同人ゲームで、執筆時現在はパッケージ版やダウンロード版を購入可能。販売価格はダウンロード版で1,944円（税込み）など。作者サイトにて体験版も公開されている。

魔法を駆使して塔を登る横スクロール（縦もあり）アクション

塔の外周をぐるぐる回るようにして登っていく

　「MAGICAL×SPIRAL」は、塔を登ってゴールを目指す3Dアクションゲーム。円柱形の塔の外周をぐるぐる回りながら登っていくイメージで、プレイ感覚としては横スクロールアクションゲームになっている。

　ゲームはミッション単位の進行になる。1つのミッションは3ステージ構成となっており、前半の2ステージは最上部にあるゴールに到達するとクリア。道中の敵や仕掛けを突破して進んでいく。3ステージ目はボスが登場し、戦って倒せばミッションクリアとなる。操作は左右の移動と2段ジャンプ。攻撃はロッドで殴るほか、精霊の力を借りて発動する魔法もある。

　基本的にはひたすら先へ（上へ）と進んでいくだけだが、迷路のようなステージ構成になっているところもあり、一筋縄ではいかない。またステージによっては強風が吹いていて思うように進めない場所や、一定間隔で落雷があるもの、水中を泳いで進むものなどバリエーションも豊富だ。

　ボス戦では1対1の戦いになる。真正面からロッドで殴り合って戦えるボスもいるが、特定の手順を踏まないとまともにダメージを与えられないなど、特殊な仕掛けがあるボスもいる。最初はどう対処していいものかわからずにやられてしまうこともあると思うが、特別な準備をせずとも必ず対処できる。色々と試しながら頭を使ったバトルが楽しめる。

　ステージを進んでいくごとに、精霊の力を得て新たな属性の魔法が使えるようになる。魔法は属性ごとに初期状態で2つずつ用意されており、後述のコインを使って新たな魔法を会得することも可能だ。

　敵の攻撃や罠によってHPが減り、0になるとゲームオーバー。コンティニューは無制限にできる。高い塔を登る際には、足場を踏み外して落下してしまうこともあるが、落下によるダメージはない。またフィールド外に落ちるような仕掛けもないので、落下しても慌てずまた登って行けばいい。

足場から足場へジャンプして渡りながら上を目指す

敵はロッドで殴って倒す

魔法で遠距離から攻撃もできる

ステージにはさまざまな罠が待ち受けている

落雷に触れるとダメージを受けてしまうステージもある

塔を登っているのになぜか水中を泳ぐシーンも

ボスとの戦いは真正面から殴り合っても勝てない場合もある

覚えた魔法を駆使して攻めの糸口を見つけていく

成長要素と“無理やり登る”アクション。遊び込むとわかる面白さ

敵や宝箱からはコインが得られる

手に入れたコインは主人公の成長に使う

　本作には成長要素もある。敵を倒したり、落ちている宝箱を開けたりすることでコインが得られることがあり、ミッションをクリアした時にも、攻略時間や内容に応じてコインが得られる。このコインを消費することで、能力の成長や新たな魔法の会得、回復薬等の消費アイテムの購入が可能となっている。

　能力の強化では、HPやMP、ロッドや各魔法属性の威力、防御力などを強化できる。新たな魔法は画面全体に攻撃する魔法や体力を回復する魔法など、属性ごとにタイプの異なるものが数種ずつ用意されている。覚えた魔法は各属性2つずつボタンにセットして使う。魔法の属性は随時切り替えることが可能だ。

　前のミッションに戻ってやり直しも可能で、ボス戦は省略されるがコインも獲得できる。進もうとしているステージが難しいと思ったら、前のステージでコインを集めて主人公を成長させた後に再挑戦することも可能だ。そうしてやり込んでいくことで、キャラクターを成長させていくという面白さもある。

　やり込むことで気付く面白さは、ステージの攻略部分にもある。魔法の中には一定時間浮遊して移動するものや、入力した方向に突進していくものがある。これらの魔法は2段ジャンプ後にも使用できるので、実質的に2段ジャンプ以上の高さの場所にも登ることができるようになる。

　ステージ攻略にかかる時間が短いほどスコアが上がり、コインも多く手に入る。コイン集めのために以前のステージをプレイする際には、コインの量が多い特定の宝箱だけを開けてさっさと登り切ってしまう方が効率がいい。道中の敵は突進する魔法で突破したり、最高ランクの全体攻撃魔法で一網打尽にしたりすれば、あっという間に攻略できてしまうステージもある。魔法を駆使して自在に塔を攻略できるようになると、アクションの幅も広がり、面白さもぐっと増す。

　魔法を使うとMPが消費される。MPは時間経過によって回復していくが、強力な魔法を連打しているとすぐMPが枯渇してしまう。そんな時にも便利なのが精霊召喚だ。魔法を使うと、その属性の精霊とのシンクロ率が上昇していき、最大まで溜まると精霊を召喚できる。1回使用するとシンクロ率は0に戻ってしまうが、広い範囲に大ダメージを与えられる強力な攻撃なので重宝する。

新たな魔法もコインを使って覚える

フィールド全体にダメージを与える強力な魔法も覚えられる

ステージ攻略に便利な移動系魔法。一定時間、空中を自由に動けるものがある

突進して攻撃するスキルは空中でも発動可能。高い位置へ登るのにも使える

スキルを使用していくと、画面右下のシンクロ率が溜まる。最大まで溜まるとカットイン演出でお知らせ

シンクロ率が最大まで溜まると、精霊を召喚して強力な攻撃を発動できる

夢見る学生の腕試し、では終わらないストーリーが見どころ

優等生の少女メディアンヌ。おとぎ話を信じて勉強を続け、ついに天上界への手がかりを掴んだ

もう1人の主人公、ソーベル。こちらは落ちこぼれの生徒だが、彼も塔を登る理由を抱えている

　本作はアクションゲームとしても十分に遊び応えのある作品だが、同じくらい注目してほしいのがストーリーだ。

　主人公は15歳の女学生、メディアンヌ＝フィルティア。おとぎ話として知られている天上界に執着し、古代文字を学んで、ついにその入り口となる夢幻の塔を突き止める。塔に入ったメディアンヌは、火の精霊サラマンダーと出会い、天上界に至るための魔法試験に挑戦する。

　魔法試験は、精霊の力を借りて魔法を使いながら、塔を上へ上へと昇っていくというもの。試験を突破すれば、魔法使いが住む天上界に行くことができる。メディアンヌは塔を登る中で精霊達に力を試され、その試練を突破して天上界へと近付いていく。

　……という展開で物語が進んでいくのだが、序盤を過ぎると話の方向性が変わる。ネタバレになるので詳しくは言えないが、塔の試練を突破して天上界に到達してめでたしめでたし、というストーリーではないことはお伝えしておく。

　またゲームを進めていくと、もう1人の主人公となる少年ソーベルが登場する。こちらも塔にやってきて魔法試験に挑むことになる。操作感はメディアンヌとさほど変わらないが、最初に力を貸してくれるのは水の精霊ウンディーネとなり、ストーリーやステージ展開もメディアンヌとは違うものになる。

　2人の物語が展開されることで、本作の全貌が見えてくる。メディアンヌ編をクリアしただけではまったく終わらない作品なので、じっくり遊んで物語の結末を見届けていただきたい。実際のところ、遊び始めればそんなことは言うまでもなく、物語の先が気になって最後までやってしまうこと間違いなしの作品なのだが。

序盤からすぐネタバレに触れるためストーリーの詳細は書けないが、作品のイメージががらりと変わるような驚きの展開が待っている