やじうまの杜

Windowsのフォント描画を改善する「MacType」プロジェクトに再始動の兆し

“GitHub”でソースコードが公開される

「MacType」のソースコードが“GitHub”で公開

 2013年の大晦日を最後に開発が止まっていた「MacType」プロジェクトが、再始動の兆しを見せている。

 「MacType」はシステムに代わりフォントレンダリングを独自に行うことで、デスクトップ全体のフォントの表示品質を向上させるツール。Windowsのフォント描画は汚い、Macのようなアンチエイリアスの効いたフォント描画の方が好きだというユーザーにとっては必須ともいえるツールだ。

 「MacType」は元々“Google Code”で公開されていたが、Googleはこれを廃止。プロジェクトは“GitHub”へ移されたものの、長い間“README.md”が一つ置かれただけの“もぬけの殻”だった。

 しかし去る5月30日(日本時間)、突然ソースコードが公開され、ダウンロード可能な状態となった。依存関係がいくつか欠けているとのことでそのままビルドすることはできなさそうだが、丸2年半なんのアクションもなかったことを考えれば大きな前進といえるだろう。

 そもそも、Windowsのフォントが“汚い”のにはそれなりの理由がある。というのも、昔のハードウェアは今と比べると格段に貧弱で、フォントにアンチエイリアスをかけて高速に描画するなど到底不可能だった。そこで、Windowsではそれなりの品質で高速にレンダリングする方法がとられた。現在のハードウェアスペックならば、多少の速度を犠牲にして美しくレンダリングすることも不可能ではない。しかし、Windowsではアプリケーションの互換性を維持するため、高品位なフォントレンダリングをシステムレベルで行うことはせず、基本的に各アプリケーションの判断と責任で行うことになっている(その点、Macは途中で互換性を捨てており、その辺のしがらみがなかったのだろう)。実際、WPFやUWPなどをベースとした比較的新しいアプリケーションのフォントレンダリングはそれなりに美しい(使われているフォントの品質や、それがユーザー好みであるかはまた別問題として)。

 しかし、このことがかえって「MacType」などのフォントレンダラ―ツールの開発を難しくしている。膨大な数のアプリケーションの互換性をチェックし、安定して動作させるのは並大抵の労力ではない。「MacType」プロジェクトが持続するかどうかは、ユーザーの貢献にかかっているといえるだろう。MicrosoftもWindowsのフォントが“汚い”問題は認識しており、解決に取り組んでいるとのことなので、こちらにも期待したいところだ。

 なお、現行版の「MacType」はメンテナンスされておらず、ベースとしている「FreeType」のバージョンが古い。当然、脆弱性の修正をはじめとするアップデートが反映されていないので、利用の際は十分注意してほしい。特にこのようなソリューションを必要としない人は、安易に導入しないことをお勧めする。