やじうまの杜

「Snipping Tool」は廃止へ ~「Windows 10 RS5」でスクショの取り方はこうなる!

起動 → 領域選択 → キャプチャー → 編集・保存という作業の流れがシンプルに

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廃止が予告されている「Snipping Tool」

 「Windows 10 Insider Preview」Build 17704(RS5)では「Snipping Tool」の廃止が予告され、一部で話題になりました。

 Build 17704に搭載されている「Snipping Tool」は「画面スケッチ」の利用を推奨していますが、この「画面スケッチ」は「Snipping Tool」と比べてどこが改善されているのでしょうか。「Snipping Tool」の代わりをちゃんと果たせるアプリなのでしょうか。

矩形キャプチャー機能から「画面スケッチ」へ

「Windows 10 Creators Update」の矩形キャプチャー機能

 「Windows 10 Creators Update」以降であれば、[Windows]+[Shift]+[S]キーでデスクトップ画面の一部を矩形選択し、それを切り取ってクリップボードへコピーすることが可能です。

 しかし、この機能には大きく分けて3つの問題がありました。

  • キーボードショートカットで簡単にアクセスできるが、マウス操作で呼び出す手段がない
  • 矩形選択のみ。デスクトップ全体をキャプチャーしたり、フリーハンドでキャプチャー領域を選択することはできない
  • クリップボードへコピーすることはできるが、ファイルへ保存するには「ペイント」アプリに貼り付けるなど一工夫必要

そこで、この機能を拡充、置き換える形で、「Windows 10 Insider Preview」Build 17661に新しいスクリーンショットツールが導入されました。それが今回紹介する「画面スケッチ(Screen snip/Screen Sketch)」です。

マウス操作でも簡単に呼び出せる

“アクション センター”の[画面領域切り取り]コマンドで簡単に呼び出せる

 「画面スケッチ」の特徴の1つは、さまざまな方法で簡単に呼び出せることです。これで“マウス操作で呼び出す手段がない”という1つ目の問題が解決されました。

  • キーボードショートカット:[Windows]+[Shift]+[S]キー
  • マウス操作:“アクション センター”の[画面領域切り取り]コマンド
  • ペン操作:ボタンのダブルクリックなどで呼び出し可能

 キーボードショートカットには[PrintScreen]キーを割り当てることも可能です。スクリーンショット機能をよく使うユーザーであれば、ワンボタンで済ませることのできる[PrintScreen]キーの方が使いやすいかもしれません。

ペンのボタンクリックにコマンドを割り当て
キーボードショートカットには[PrintScreen]キーを割り当てることも可能

 ちなみに、「画面スケッチ」は「Snipping Tool」のように[スタート]画面から起動することも可能です。

「画面スケッチ」は「Snipping Tool」のように[スタート]画面から起動することも可能

デスクトップ全体のキャプチャーやフリーハンドでの領域指定にも対応

キャプチャー領域の選択画面

 キャプチャー領域の選択画面中央上部には小さなツールバーが追加され、選択領域を手書きで指定したり、デスクトップ全体を選択できるようになりました。

 これで2番目の問題もクリア。これまではデスクトップ全体のキャプチャーと選択領域のキャプチャーでショートカットキーを切り替える必要がありましたが、「Windows 10 RS5」では迷わず[Windows]+[Shift]+[S]キーを使えばOK。ずいぶんシンプルになりました。

選択領域を手書きで指定

キャプチャーが完了すると、編集・保存アプリが起動。他のアプリへの共有も

 最後の問題に対する答えは、キャプチャーしたあとに表示される編集・保存アプリです。このアプリではペンを利用した注釈機能(指も利用可能)、物差し機能、クロッピング(切り抜き)機能などが利用可能。ファイルへの保存はもちろん、クリップボードへのコピーや[共有]コマンドを介した他アプリとの連携なども行えます。

スクリーンショットの撮影が完了するとトーストで通知
「画面スケッチ」アプリが起動して、スクリーンショットを保存・編集できる

 このように、「Windows 10 RS5」では

  • キーボード・マウス・ペンによる呼び出し
  • 領域の選択(デスクトップ全体・フリーハンド選択・矩形選択)
  • キャプチャー(撮影)
  • 編集(インク機能を利用した注釈、クロッピング)
  • 保存・共有

という一連の操作(ワークフロー)がスムーズに行えるようにデザインされています。従来の“矩形キャプチャー”機能はキャプチャー処理に特化していましたが、「画面スケッチ」は編集・保存までサポートしており、「Snipping Tool」の代わりとしても遜色ありません。

「Snipping Tool」と比べたときの利点・欠点

 「Snipping Tool」と比べ「画面スケッチ」はOSと深く統合されており、瞬時に呼び出せるのは大きなメリットです。また、インク機能をサポートしており、注釈がメインであれば「画面スケッチ」の方が格段に使いやすいです。「Snipping Tool」は旧来のWin32アプリであるのに対し、「画面スケッチ」はセキュリティに優れるUWPアプリなのもアドバンテージになるかもしれません。

 一方、「画面スケッチ」はまだ未成熟で、「Snipping Tool」に比べ機能が少ない点はデメリットです。たとえば、「画面スケッチ」は特定のウィンドウ領域を指定することができません。キャプチャーまでの待ち時間(遅延)を指定できないのも、メニューやポップアップなど、ユーザーのアクションで消えてしまうものを撮影したい場合には不向きです。

 「画面スケッチ」と「Snipping Tool」は一長一短ですが、「Snipping Tool」は以前より開発があまりアクティブではありません。「画面スケッチ」の開発が順調に進み、機能が拡充されていけば、そのうち「Snipping Tool」は不要になり、[Windows]+[Shift]+[S]キーでスクリーンショットを撮影するのが当たり前になっていくのではないでしょうか。