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Netscape Communicator


評価時: 4.0 Preview Release 2 (97/02/22)


ついに公開された「Communicator 4.0 PR2」その目指すもの

22日、Netscape社のftpサイトから、ついに Communicator 4.0 PreviewRelease 2(以降、PR2)が公開された。PR1では無かった Macintosh やUNIX 系 OS、さらに Windows 3.1版のバイナリまで提供されている、というのも大きなニュースだが、ここでは(当然ながら)Windows 95版を取り上げ、変化のあったパッケージ構成と、WWWブラウザの動作自体を検証してみよう。 なお、ここでは PR1 から PR2 への変更点等についてのみ述べる。

[パッケージ]

PR2では、PR1 のときのような「Standard Edition」という一般向けパッケージだけでなく、「Professional Edition」と称した企業向けパッケージも公開されている。

Professional Edition には、Standard Edition にない、以下のようなコンポーネントが追加されている。

このように、Professional Edition は、Communicator 自体がもつ「企業内のネットワークによるコラボレーティングのためのソフト」という位置づけを、より鮮明に打ち出すものだ。TN3270などのキーワードをからめてくるあたり、特にまだメインフレーム族が残る大企業をターゲットに絞り込んでいるのではないか、と推測される。

ただ、それだけに率直な感想を言えば、「Professional Edition はダイヤルアップ環境などで利用している個人ユーザには、あまり関係のないパッケージ」ということになる。まあ、ユーザ自身の判断で、Standard、Professional、必要なほうのパッケージを入手するのもいいかもしれない。

参考までに、Standard は 11.4MB、Professional は13.7MB。たった2MBをケチってもしょうがないか...。

[WWWブラウザとしての機能や使い勝手は?]

PR2 での新機能として、個人的に一番大きいものと感じるのは、
・Cascading Style Sheet(CSS) への対応
である。CSS とは何か、ということについては世にあまたあるインターネット雑誌に譲るとして、今まで Internet Explorer と Amaya でしかサポートされていなかったこの機能が、Netscape によっていよいよ実際にサポートされ始めたという事件は、Web コンテンツの作成者にとって、まさに福音だろう。これで、DTPなみの美しい Web ページを作成できるようになるかもしれないのだ。

とはいえ、「サポートされ始めた」と書いたように、今回のCSSへの対応については、まだまだインプリメントとして怪しいところがあるようだ。たとえば、W3C の公式ページである
Communicator v4.0 PR2 で表示
Communicator 4.0 PR2での画像
IE3.0で表示
IE3.0での画像

http://www.w3.org/pub/WWW/Style/
を、以前から CSS をサポートしている Internet Explorer 3.01J と Netscape で見比べてみると、違いがわかる(図)。個人的には、「えっ!こんなになっちゃうの?!」という感じである。

もちろん、CSS についてはサポートが始まったばかり。今後正式版へ向けて、より安定した動作をするようにブラッシュアップされていくことに期待したい。しかし...Netscapeという市場で巨大なシェアを占めるブラウザで、このような現状では、公式なホームページではCSSの利用がまだまだ先送りになるということか...;_; しごく残念なことだ。

使い勝手、という点については、PR2では以下のようにユーザーインターフェース周りでいくつかの変更が行われている;

いずれも、PR1へのバージョンアップによって施された変更(ツールバー、フローティングタスクバー)ほどの変わりようではない。

他に、機能面において、

などの修正がなされている。英文スペルチェッカはともかく、日本語のインライン入力ができるようになったことは、日本語圏へのきめこまかい対応として、かなり評価できるだろう。

「落ちやすい、落ちにくい」といった、プログラムとしての堅牢さについては、公平に判断しづらい部分なので、この稿では割愛させていただく。これを読まれている方ご自身で判断してほしい。

[全体を通じて]

PR2には、他にもここでは取り上げられなかった細かい修正等がある。
http://home.netscape.com/eng/mozilla/4.0/relnotes/windows-4.0b2.html
などを参考にするとよいだろう。 私見をまじえて総括すると、今回の PR2 では、
といった点が主なトピックだと言えそうだ。

個人的には、企業向けツールとしてブラウザの商品構成を整備しつつある Netscapeの戦略は、非常に残念な気がする。家庭で WWW を楽しんでいるユーザにとっては、メインフレームとの連携などはあまり興味がもてる機能ではない。むしろ、ブラウザとして身軽で、なおかつ堅牢、そして美しい Web ページを気軽に見ることができるようにすることに、力を注いで欲しいと感じる。1年前、2年前に比べると、パッケージもあまりにも巨大化しすぎているのではないだろうか。創業当初から同社の製品を使わせてもらっている一ユーザとしても、何か残念な気がする。とはいえそれは別の観点から見れば、Netscape が、ターゲットとする市場をきちんともった大企業へと成長してきている、ということのあらわれなのかもしれないが。

今後、2月中または3月には、対抗馬である Internet Explorer も4.0βが公開されるという噂がある。技術的にも高度化し、OSとの一体化という最終兵器をもってシェアを拡大しつつある IE に、Netscape は対抗できるのか。しばらくは目が離せない。

(Reported by しおばらひろあき)

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