【第11回】
「セキュリティPlus」v1.0a
使いやすくてお手軽簡単、あなたのパソコンに安心をプラス
(98/11/10)
比較的リリースが新しく、これからの成長も楽しみなオンラインソフトにスポットを当て、その魅力などを紹介しよう。
あなたのパソコンが、他人に勝手に使われる心配はないだろうか。プライベートなメールや画像、WWWブラウザーのブックマークやお気に入り、メモなど、家族や他人には見られたくないファイルやフォルダは誰にでもあるだろう。しかし、かといって高機能なセキュリティソフトを使うにしても、日常的な使用にはかえって面倒だったりしないだろうか。そこで今回はお手軽なセキュリティ向上を目指した暗号化ソフトを紹介しよう。
意識せずに使える暗号化ソフト
「セキュリティPlus」は操作性に優れたお手軽暗号化ツールだ。指定したファイルをボタン一つで暗号化したり復活（復号化）してくれる。また日常的に使うための工夫がなされていて、誰でも簡単に使うことができるようになっている。
起動後、ウィンドウ中央には「現在のリスト」が表示される。ここに暗号化したいファイルを右側の[ファイル追加]ボタンを使って登録していく。[フォルダ追加]ボタンでフォルダ単位に指定することもできる。リスト登録が終わったら左下の[全てを暗号化]ボタンをクリックすれば、登録したファイルがすべて暗号化される。個別に暗号化したいときはリストから選んで[指定して暗号化]ボタンを押せばいい。復元したいときは大きな矢印の右側にある[全てを復活]または[指定して復活]をクリックする。基本的な操作はこれだけだ。
大きな特徴は[自動モード]だろう。自動モードにしておけばタスクトレイに常駐し、Windowsからログオフする際に自動的にリスト登録したファイルを暗号化、次回起動時に自動的に復活してくれる。あとはスタートアップに登録しておけば、いちいち暗号化や復活の操作がいらないのでとても便利だ。
また、Windowsへのログインを流用して「セキュリティPlus」でのパスワードの入力さえ省くこともできる。設定メニューで「ログインネームのチェック」を指定しておけば、暗号化したファイルの復活時にWindowsへのログイン名をチェックし、違うログイン名では復活できなくなる。「パスワードチェック」の設定をチェックしておくとファイル復活時にパスワード入力を求めるようになる。両者のうち「ログインネームのチェック」のみを指定しておけば、「セキュリティPlus」で使うパスワードにWindowsへのログインネームを使用するようになるため、いちいちパスワードを入力する必要がない。Windowsへのログイン時には正しいパスワードを入力しているはずだから、正しくログインできていればログイン名を照合するだけで十分というわけだ。
このように「セキュリティPlus」には普段から簡便に利用するための工夫がさまざまに施されているのだが、一方でそのセキュリティは必ずしも強固なものではないことに注意しておきたい。ヘルプには暗号強度について特に書かれていないが、作者に伺ったところ、元データにいくつかの変換処理を施し、それを十数回繰り返しているとのことだった。「暗号に関して専門的な知識を持つ人が処理速度の非常に速いコンピュータを使えば暗号を見破ることができる可能性がある」レベルのものということなので、重要な機密書類の暗号化などには向いていない。また友人とのファイルのやりとりに暗号化を利用したいような場合にも不向きだろう。
自転車の鍵のような感覚のセキュリティ
例えば自転車好きの人が趣味で買うような数十万円もする高価な自転車なら、盗まれないように管理の行き届いた有料の駐輪場を利用するだろうし、帰宅すれば必ず屋内に保管するかもしれない。しかし通勤通学や買い物に毎日使うような安価な自転車なら、数千円のチェーンロックを付ければ十分と考える人がほとんどだろう。その場合は自転車ごと持って行かれる可能性はあるし、大型のワイヤーカッターなどを使われればアウトなのだが、そこまで心配して自転車を管理している人は少ない。ひとくちにセキュリティと言っても、日常的な使いやすさとコストを考えたレベルがあるものだ。
「セキュリティPlus」は言わばそういった「普段使う自転車の鍵」のような感覚のセキュリティレベルを狙ったソフトだと考えていいだろう。あくまでもホームユースとして、日常的に自分のパソコンのセキュリティを少々アップさせたいという場合にピッタリのソフトなのだ。
【著作権者】山中 仁 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.0a（98/09/23）
□「セキュリティPlus」ダウンロード
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/software/win95/util/sn082340.html
（ひぐち たかし）
