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知っておきたいコンピューターウイルスの知識


【第2回】

コンピューターウイルスの被害
感染しただけでも被害

(98/12/11)

 テレビや新聞などでセンセーショナルに伝えられるコンピューターウイルスは「パソコンが破壊される」ような被害か「文字が落ちる」「音がなる」と言った視聴に訴えるものばかりだが、どちらの被害もコンピューターウイルスの「発病」を紹介しているだけにすぎず、感染しただけでも大きな被害だということは伝わってこない。

 第2回目では、コンピューターウイルス被害について説明する。

感染しただけでも被害

 コンピューターウイルスの中には発病をしないものも数多く存在するがテレビや新聞では「ある時刻にパソコンを破壊する」という大きな被害を与えるものばかりが取り上げられている。また、雑誌や新聞でコンピューターウイルスの被害を紹介するとデータやディスクの内容を破壊するような動作はビジュアルで見せにくいことから、画面の文字を落としたり、画面にメッセージを表示させたり、音楽を演奏するようなコンピューターウイルスを紹介することが多い。

 そのため、コンピューターウイルスに感染しても「感染しただけだから大丈夫」とか「発病しないから被害はない」などの誤解をしたり、コンピューターウイルスを見て「かわいい」とか「データを書き換えないから大丈夫」などの間違った考えをもってしまう人もいる。

 しかし、コンピューターウイルスとはプログラムを書き換えて内部に入り込むもので、感染しただけでもプログラムが破壊されることが多く、たとえ発病しないコンピューターウイルスであってもプログラムが動作しなくなったり、パソコンが起動しなくなるなどの異常や、パソコンは使えるもののプログラムが頻繁に停止したり、一部の機能だけが使えないなどの気付きにくい異常を起こすこともあるのだ。

発病しても気がつかないことも

 数年前、非常に多くの感染事例があった「ヤンキードゥードル」は、毎日午後5時に音楽をならすという症例のコンピューターウイルスだが、感染者の中には発病をしていても「メーカーがサービスでアラームを入れてくれた」と思っていた人もいた。

 コンピューターウイルスの説明として発病事例を紹介されるため、コンピューターウイルスの動作だと理解できるものの、実際に感染し発病されても原因がわからないこともある。視聴に訴える発病でも、なかなかわかりにくいものなのだが、パソコンの処理速度を低下させたり、ワープロの文章保存時に内容を書きかえたり、ファイルを1つ1つ消していくようなゆっくりとした発病はさらに気がつきにくいので、発見が遅れることもあるのだ。

 また、ディスクの内容を破壊するという発病はテレビや新聞で紹介されているのでご存知の方も多いかもしれないが、発病と同時にコンピューターウイルス自身も消えてしまうことはあまり知られてはいない。実際にコンピューターウイルスが発病をしても、パソコン内からコンピューターウイルスが発見されることはないため、原因がわからないままの事例はあったと思われる。

発病よりも恐いコンピューターウイルスの被害

 コンピューターウイルス対策をする場合に、被害にあわないようにするにはどうすればいいのかだけを考えがちだが、自分が被害にあう以上に恐いのは、他人に感染させてしまうことなのだ。第1回で93年8月に起きた雑誌の付録フロッピーにコンピューターウイルスが感染していた事件を紹介したが、この事例では創刊号で被害を出し、翌月の第2号でお詫びとともにコンピューターウイルス駆除ソフトを配布をしてそのまま廃刊になってしまった。

 たとえ悪気がなくても、他人のコンピューターにコンピューターウイルスを感染させ仕事などに支障を与えることは、コンピューターウイルスの対策に落ち度があるということで、その責任は重大で、信用を失うこともあるのだ。

 このように「コンピューターウイルスの被害」とは発病だけなのではなく、感染しただけでも大きな被害を与える。また、発病をしてからではコンピューターウイルスを発見することはできないこともあるので、コンピューターウイルス対策は常に行うようにすべきなのだ。

(山崎 真裕)

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