【第19回】
「GzEditer」v1.00
多彩なフィルターを備えた画像レタッチツール
(99/01/18)
比較的リリースが新しく、これからの成長も楽しみなオンラインソフトにスポットを当て、その魅力などを紹介しよう。
デジタルカメラの普及に伴い、写真画像のレタッチや加工はプロでなくとも多くの人がグラフィックソフトに求めている機能だ。拡大/縮小、ガンマ補正、シャープ化、コントラストや明度の調整などに加え、エンボスやモザイク加工などもよく使われる処理だろう。かつては数万円以上するグラフィックソフトでなければ満足なレタッチ処理ができなかったものだが、現在では非常に安価なソフトも登場している。今回はわずか800円という安価ながら、豊富で本格的なレタッチ機能を備えたグラフィックソフトを紹介しよう。
プレビューを見ながら多彩な画像レタッチ・加工が可能
「GzEditer」は処理フィルターの豊富さが特長の画像レタッチツールだ。前述の標準的なフィルターはもちろん、メディアン、ポスタライズ、ノイズ、ソラリゼーション、エッジ強調、各種空間フィルターなどの特殊なフィルターも数多く備えている。
目立った特長をいくつか挙げると、最もよく使うと思われる画像の縮小を「リサンプリング」できれいに縮小することができ、細かい文字等もつぶれにくい。リサイズは数値指定のほか、ウィンドウ枠をマウスで好きな大きさに調節することで枠サイズにあわせた拡縮にも対応している。多くのフィルターはプレビュー画面を見ながらスライドバーで微調整でき、範囲指定は矩形だけでなく楕円、丸形長方形、フリーハンドから選択、指定範囲内のみにフィルター加工を施すことが可能だ。またエンボスはエッジの方向を8方向から選択、エッジの高さも数値指定できるなど、かゆい所に手が届く仕様となっている。
面白いところでは対称写像のつくれる「画像変化」があげられる。画像の右半分を左半分に写して左右対称の画像を作ったり、同様に上下対象の画像を作ることができる。また画像の4分の1、すなわち右上・右下・左上・左下のいずれかを回転対称にした画像も簡単に得ることができる。また「塗料」の画像処理も面白い。いわゆる油絵風になるフィルターで、写真を元に油絵で描いたような画像が簡単にできるのだ。これらを組み合わせれば、花の写真などを素材にしてちょっとしたモダンアート風の画像も簡単に作れるだろう。
平均以上の優等生的レタッチソフト
ただし、まだ初期リリースから間もないためか、不満な点もないわけではない。早期改善を望みたい点としては、第一にアンドゥがないこと。プレビューがあるとはいえ、やはり処理の取り消し機能はぜひともほしいところだ。できれば無限回数のアンドゥやリドゥに対応してほしい。またファイルのドラッグ&ドロップもごく基本的な機能としてあるべきだと思われるし、増減色処理がないのも気になった。LZW圧縮を含むGIF形式への対応も強く望まれるところだろう。将来的には複数のファイルを一度に処理するためのバッチ機能もあるとありがたい。これらのうちいくつかはすでに作者も利用者からの要望により認識しているようなので、今後に期待したい。
グラフィックソフトはすでにさまざまなオンラインソフトが出回っているが、どれも一長一短という印象を筆者は持っている。そんな中で登場した「GzEditer」は、特にこれといったインパクトのある機能的特長をもっているわけではないものの、逆に致命的な欠点や不足がなく、機能的にも操作性においても全体的に平均以上の優等生という印象を受けた。シェアウェアだが登録料は安価であり、コストパフォーマンスは抜群だろう。今後の開発次第ではレタッチソフトの定番に成長する可能性も大きい、今年注目のソフトだ。
【著作権者】岡田 三郎 氏
【ソフト種別】シェアウェア 800円
【バージョン】1.00(99/01/10)
□画像編集ソフト(GzEditer)
http://www.asahi-net.or.jp/~yw5s-okd/vecter/GZEDIT/
(ひぐち たかし)