【第28回】
「掲示板印刷」
大きなポスターや立て看板を作成する拡大印刷専用ツール
(99/03/29)
高校や大学の合格発表もほぼ終わり、希望のかなった人には入学式の待ち遠しい季節になった。先輩たちは新入生歓迎会やクラブ活動への勧誘の準備をそろそろ始めている頃だろう。勧誘の準備といえばポスターや立て看板の作成だ。絵の具やペンキで手描きしたポスターも味のあるものだが、枚数を作るのはなかなか大変な作業になる。今年はせっかくパソコンがあるのだから、活用できないものかと考えている人も多いのではないだろうか。
今回はそんなポスター作りに便利な、拡大印刷専用ユーティリティを紹介しよう。
A4プリンターでも用紙をつなぎ合わせて大きなポスターを作ろう
「掲示板印刷」は拡大印刷のための印刷ユーティリティだ。A4用紙にしか印刷できないプリンターでも、出力結果をつなぎ合わせて最大16倍までの大きなポスターを作ることができる。
Windows 95/98用(NTでは利用不可)のプリンタードライバーの1つとして組み込まれるため、「ワードパッド」や「ペイント」、「MS-Word」、「MS-Excel」、また「Internet Explorer」や「Netscape Navigator」などたいていのアプリケーションから利用できる。印刷時にプリンター名「掲示板」を選べば、印刷プレビューウィンドウが開き、拡大率など好みのオプション指定をして拡大印刷できるというわけだ。ただし“RAWモード”で出力する「Adobe PhotoShop」や「Adobe Acrobat Reader」などのソフトからは直接印刷できない。同様に「一太郎9」でも使えないが、そういった場合でも文書を「MS-Word」や「ペイント」などにクリップボード経由でコピーしてから印刷すればOKだ。
拡大可能な倍率は、プリンターで設定された用紙サイズの1倍、2倍、4倍(2×2)、9倍(3×3)、16倍(4×4)の5種類。分割された文書領域はプリンターの印刷可能範囲ギリギリに印刷してくれる。TrueTypeフォントやWindowsメタファイルなどのベクターグラフィックスであればギザギザのない滑らかな輪郭できれいに拡大印刷される。
また分割領域を選択して一部だけを印刷する“部分印刷”の機能もある。印刷中に不慮の事故などで一部分だけを改めて印刷したいときに嬉しい機能だろう。指定はプレビュー画面で行い、マウスでクリックした領域が網目表示され、その部分は印刷されない。プレビューを見ながら指定できるため、印刷範囲を間違うことも少ないだろ
う。
簡単かつ共通の拡大印刷機能を提供
誰でも簡単に大きなポスターが作れるのがうれしい「掲示板印刷」なのだが、その反面物足りない点もある。まずは拡大倍率の種類が限られていること。作成したいポスターのサイズに制限がないとは限らないので、サイズ調節が必要なときは元文書を調節しなければならず結構面倒だ。「掲示板印刷」側で横×縦の出力サイズをセンチメートルで指定できるといいだろう。またぜいたくを言えば、よく使うビットマップやJPEG、GIFなどのラスターグラフィックス画像を拡大するとギザギザが目立ってしまうので、拡大してもギザギザの目立たない“線形補間”の機能などがあるとありがたい。白い背景の多いポスターでも後で貼り合わせやすいよう、周囲に薄い破線で“のりしろ”をつけて印刷してくれるようなオプションもほしいところだ。
高品質で安価なカラープリンターやデジタルカメラの普及に伴い、写真や画像入りの文書を大きく印刷したいという需要は確実にある。お絵描きソフトやワープロソフトによっては類似の拡大印刷機能を備えたものもあるが、簡単かつ共通の操作性を提供してくれるこういった拡大印刷専用のツールはなかなか重宝する。フリーソフトなのでぜひ活用して、あなたもキレイで目立つポスターを作ってみよう。
【著作権者】ベアーズ 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.8(99/03/16)
□Bear Computing Co. Home Page
http://plaza18.mbn.or.jp/~bears/
(ひぐち たかし)