【第32回】
新天地アルファケンタウリの覇者を目指せ!!!
「Sid Meier's Alpha Centauri」
(99/04/21)
シド・マイヤー氏といえば、ゲームデザイナーのスターとして知る人ぞ知る存在。大胆なデフォルメと絶妙なゲームバランスには定評があり、アメリカはもとより、日本国内にも熱烈なファンが多い。古くは「F-15ストライクイーグル」や「サイレントサービス」、最近なら「シヴィライゼーション」や「コロナイゼーション」で眠れぬ夜を過ごした人も多いのではないかと思う。そこで今回は、シド・マイヤー氏の最新作「Sid Meier's Alpha Centauri」を紹介しよう。
「Sid Meier's Alpha Centauri」は、「シヴィライゼーション(IとII)」の続編に当たる作品だ。「シヴィライゼーション」は文明の発展をテーマにしたゲームで、その勝利条件のひとつが、宇宙船を建造して地球を離れ、アルファケンタウリに植民すること。この作品は、地球を飛び立った植民船がアルファケンタウリに到着し、最初の基地を建てるところから始まる。ちなみに、アルファケンタウリというのは太陽にもっとも近い恒星系で、地球型の惑星があるかもしれないと言われている。いつの日か人類が太陽系を巣立つときが来るとしたら、有力な候補地になるだろう。そういう意味では、このゲーム、かなり現実的(?)な設定と言えるかもしれない。
デモ版は、オープニングムービー付きの50MB版と、ムービーを省いた20MB版の2種類が用意されている。アルファケンタウリまでの到着を描いたムービーは叙情的で見応えがあるのだが、ゲーム自体を楽しむだけなら20MB版でもOKだ。このゲームはターン制のゲームシステムを採用し、“大戦略”のようにマス目に区切られたフィールド上で、人型の「Scout Patrol」や探索機「Colony Pod」などの自国のコマ(ユニット)を移動させながら進めていくシミュレーションゲーム。1ターンにすべてのユニットを1回ずつ移動させることができ、デモ版でプレイできるのは植民開始後100ターンまで。ネットワーク対戦機能(マルチプレイ機能)やイベント用ムービーも省かれている。しかしその他の機能は製品版とほとんど変わらず、「Sid Meier's AlphaCentauri」がどのような内容であるかを知るには十分だ。実際このゲームは最初の100ターンが勝敗を決めると言っても間違いではなく、ちょうど「おいしいところをガブリと一口!!」という感じだろうか。
ダウンロードしたファイルは自己解凍形式で、標準設定のままインストールすればプレイ可能だ。バリバリの3Dグラフィックスを扱うわけではないので、求められるスペックもPentium 166MHz以上とそれほど高くはない。ただしBGMとムービーの再生にはDirectX 6.0以上が必要なので、サウンドとビデオは対応のものを用意すること。Windows NT 4.0にも対応しているが、その場合はService Pack 3以上が組み込まれていることが条件となる。なおゲームの解像度は、800×600ドットと1,024ドット×768ドットの2種類で、DirectXによって自動的に切り替わる。
さてゲームは、地球からの植民船が惑星に到着し、7つのポッドに別れて着陸するところから始まる。同じ植民船で到着した仲間同士が一転して敵となるわけで、なかなかシビアな設定だと思う。故郷は同じでも7つの勢力はそれぞれ目指す目標と思想が異なり、たとえば惑星の調査を第一に考える者、科学技術の発展に全力を傾ける者、他の国家を支配しようとする者など様々だ。勝利条件も5種類用意されており、プレイヤーはどの勝ち方を目指してもかまわない。デモ版はシングルプレイのみだが、製品版では最大7人がLANやインターネット経由で接続し、それぞれの国家のリーダーとしてプレイすることができる。コンピューターとの対戦でも十分おもしろいが、相手が人間ならさらに燃えるのは確実だ。
SFライクにアレンジされているものの、画面のデザインや操作方法、ユニットの位置づけは「シヴィライゼーションII」にとてもよく似ている。最初に建設した基地を振り出しにして、その周囲に新たな基地を建設。戦闘や開拓用のユニットを生産するかたわらで科学技術の研究を行い、より有利な武器と施設を手に入れる。生産するユニットはプレイヤーが細かく指示することもできるが、慣れないうちは自動設定のままにしておいたほうがいいだろう。移動も、「Automatic(SHIFT+A)」を選んでおけばムダがない。「シヴィライゼーションII」を遊んだことがあるプレイヤーなら、マニュアルを読むことなく、いきなり遊べてしまえるほどそっくりだ。
最初のうちはユニットが少ないのですぐに30ターンぐらいが過ぎてしまうが、ある程度領土が広がると、他の勢力のユニットと接触するはずだ。こちらからの返答は選択式で、表示されたものの中から適当なメッセージを選んでクリックするだけでいい。友好的に接して技術の交換を行ってもいいし、高圧的な態度でオドシをかましてもかまわない。軍事力で勝る場合は自分側主導で交渉することができるが、逆に相手側が有利な場合は一方的な注文を押しつけられることもある。ゲーム序盤は無理な戦いを避けたほうが賢明だが、条件がよければ一気に宣戦布告し、敵が力を貯える前にたたきのめしてしまうという手もあるだろう。どう戦うかは、国家のリーダーであるあなた次第。あるときは敵を利用し、またあるときは敵を踏み潰して、新天地での覇権を目指す。それがこのゲーム、「Sid Meier's Alpha Centauri」の遊び方というわけだ。
製品版(英語版)はすでに発売されているが、現状では輸入ゲームを扱う専門店に足を運ぶしかなさそうだ。製品版には5種類の勝利条件と32種類の科学技術(ムービー付き)、より多くの種類のユニット、マップのカスタマイズ機能、BGMとアニメーションが含まれるとのこと。気になる日本語版の発売予定だが、エレクトリック・アーツ・スクウェアに問い合わせたところ、残念ながら「現時点では予定なし」との返事だった。奥の深い、素晴らしいゲームであるだけに、ぜひ今後の検討を期待したい。
(99/04/19、smac_demo1_1.exe、21.0MB、ゲームデモ)
□Sid Meier's Alpha Centauri 英文サイト
http://www.alphacentauri.com/index2.html
□Sid Meier's Alpha Centauri デモ版ダウンロードページ
http://www.alphacentauri.com/downloads.html
(駒沢 丈治)
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