【第34回】
「アイトレーナ」
視力回復に効果あり?! 3D画像を見て普段使わない眼球の筋肉をトレーニング
(99/05/17)
パソコンを長時間使っていると、目が疲れるという話はよく聞く。能率よく仕事を
こなすには適度な休憩を取りリラックスすることが望ましいと言われるが、それは目
だって同じこと。遠くの景色を眺めたり、目玉を上下左右に動かして眼球の筋肉をほ
ぐしてやろう。スポーツをして筋肉を適度に動かすことが健康にいいように、眼球周
りの普段あまり使わない筋肉を動かすことは、目のためにいいことなのだ。今回はそ
んな発想の、目のトレーニングソフトを紹介しよう。
浮かび上がる3D文字を見つけだすことで目をトレーニング
今から6~7年前、両面の視線を平行にしてテレビの“砂の嵐”のような絵を見ると、
立体的に文字や絵が浮かびあがってくる絵本や、そんな画像を作成するフリーソフト
が流行したのを覚えている人はいるだろうか。Julesz's図形と呼ばれるその3D画像を
利用して、眼球のトレーニングを行い視力回復を目指そうというのがこの「アイトレー
ナ」だ。
Julesz's図形の中に立体的に浮かび上がる文字を見つけだすには、目の力を抜いて
焦点を合わせない感じで視線を平行にする必要がある。最初はなかなかできないもの
だが、コツさえつかめば難しくはない。慣れてくれば1秒以内にできるようになる。
「アイトレーナ」ではこのJulesz's図形と真っ黒な画面とが交互に一定時間間隔で
次々と表示される。Julesz's図形の時は浮かび上がる文字を見つけだすようにし、黒
い画面のときは普通に画面を見るようにして焦点の切り替えを繰り返そう。基本は10
回を3セットだ。作者によればこのトレーニングによって、普段は使われにくい眼球
の周りの筋肉を動かし、眼球と大脳の協調機能を強化して、視力を回復させることが
できるのだそうだ。
デフォルトでは点滅時間が2,000ミリ秒(2秒)、周期は10回に設定されているが、
自分の可能なペースにあわせて変更しよう。Julesz's図形に慣れないうちは点滅時間
を10秒以上に設定するのがいいようだ。慣れてくれば点滅時間を少しずつ短く、周期
も徐々に増やしていこう。ただしあまり長時間のトレーニングは吐き気をもよおす場
合があるなど、かえってよくないそうなので気を付けよう。
なおウィンドウが縦に長いので、動作には800×600ドット以上の画面解像度が必要
だ。
過信せず目のケアを考えるきっかけに
こういった眼球運動が、視力回復という意味で実際どれくらい効果があるものなの
か、誰もが興味のわくところだろう。作者によると「感動できるくらい、即効果を確
認できる」のだそうだが、説明書には原理説明のみで、具体的な視力回復の症例や、
眼科医による専門的なコメントなどは特に書かれていない。一日中パソコンに向かっ
て仕事している筆者も最近は視力の衰えをひしひしと感じているが、このソフトを使
うようになったからといって視力が回復したような実感は今のところない。ちなみに
知人の医師数人に聞いてみた範囲では、視点移動のトレーニングが目の疲れをとる体
操になるという意味では目にいいが、視力回復につながるという医学的報告は聞いた
ことがなく、民間療法の域を出ないだろう、ということだった。
しかしJulesz's図形の3D画像を見るのは、確かに普段使っていない筋肉を使ってい
る感じはあるし、焦点を素早く切り替えるためには適度な集中力が必要でもあり、気
分転換になる。『このソフトさえあれば視力を回復できるのか!』と気負って過信す
るのではなく、こういったソフトをきっかけにして、仕事や勉強の合間に目のケアを
きちんと考えることが、目のためにはおそらく一番大事なのではないだろうか。
【著作権者】夢未来総合技術研究所
【ソフト種別】体験版フリー
【バージョン】1.21(99/05/02)
□夢未来総合技術研究所
http://www.dreamresearch.com/
(ひぐち たかし)