【第55回】都市建設シミュレーション「Pharaoh」
エジプトの大地に巨大ピラミッドを築け
（99/10/13）
都市というのは、一種の生き物なのかもしれない。誕生し、成長し、そして衰退していく様は、生物の一生にも似ている。破綻しないように育て、発展させるのは、とても難しい…。というわけで今回は、古代エジプトを舞台にした異色の都市建設シミュレーション「Pharaoh」を紹介しよう。
古代エジプトの都市を再現
都市建設シミュレーションといえば、近代から未来の都市を扱う「シムシティ」、そして古代ローマ帝国を舞台にした「シーザー」がよく知られている。これらの作品との最大の違いは、「Pharaoh」が古代エジプトという宗教国家を舞台にしている点だ。「シムシティ」の場合は、鉄道や道路など交通インフラの整備とエネルギーの確保が重要なポイントになる。「シーザー」の場合は、交易と軍備の増強が成長の鍵を握るといっていいだろう。しかし「Pharaoh」では、宗教施設の建設が重要な意味を持つ。巨大な神殿やピラミッドの建設が支配者としての威信を高め、また都市の成長そのものにもなるからだ。
シナリオの条件と目的が示される。ここでは穀物倉庫を作る
ナイルの河口に広がる三角州。スタート時点では道があるだけ 人口の増加とともに賑わいはじめた街並み 都市建設シミュレーションということもあり、操作は「シムシティ」や「シーザー」とよく似ている。マウスを使って建設したい建物を選び、マップ上に配置していくだけでいい。建物を作るには相応の空き地と費用が必要である点も、これらのゲームとまったく同じ。メニューから選ぶだけでいいので、操作そのものに戸惑うことはないだろう。スタート直後にまず行わなければならないのは、道をつくること。適当な平地を選んで、そこに1本の道を引く。さらに交差する何本かの道を引き、区画を作ろう。どのような街にするかはプレイヤー自身が決めることだが、とりあえず1区画が4×8マス程度の大きさになるように区切ってやればいいと思う。あまり細かく分けると土地がムダになってしまうし、大きな建物を建てられなくなってしまうので注意しよう。
続いて適当な間隔に井戸を配置し、さらに居住区を設定する。するとどこからともなく移住者が現れ、次々に新しい家が建てられていくはずだ。人口が増えると建設できる建物の種類が増えていくので、街の拡大に合わせながら施設の拡充を計る。中心部にはバザーを開き、ところどころに防災用の施設や宗教施設を配置。食料生産のための農場や穀物倉庫も必要だ。農場は建設できる場所が限られているため、優先的に作るよう心がけよう。いまの街に何が足りないかは、画面上部にあるアドバイザーメニューで教えてくれる。
まず肝心の操作性だが、とても良好に感じた。道路の建設も楽に行えるし、建物の配置も簡単に行える。CPUパワーやビデオカードの能力にあまり依存しない作品なので、ノートパソコンを含むほとんどのパソコンでプレイできるところもうれしい。BGMや効果音は「いかにも」エジプトといった雰囲気で盛り上がるし、ゲーム中に登場する建物やユニットにも、このゲーム独自の味わいを感じることができた。ただ、ちょっと文字が読みにくい。演出のためにわざと古くさい書体を使ったのだろうが、日本人の目には馴染まないのではないかと思う。
バザーや神殿など生活に必要な場所や建物を建設する 街の成長をグラフで確認。目的の達成を目指せ!!
デモ版では、キャンペーンシナリオを2本だけプレイすることができる。「人口を300人以上に増やし、なおかつ穀物倉庫に麦を満たすこと」といった具合に、具体的な終了条件が示されるので、それをクリアできれば次の面へと進む。ただし、ゲームデータのロード/セーブができないので、ある程度進むとやり直すのは難しい。都市建設シミュレーションのエッセンスを楽しむことはできるが、外敵との戦いやピラミッドの建設など「Pharaoh」ならではの魅力は、いまひとつ見えにくいかもしれない。もちろん製品版にはこういった制限はなく、様々なキャンペーンやマップコンストラクション用のツールも使えるようになるとのこと。日本語版の発売については、残念ながらいまのところ未定だ。
メインメニュー。デモ版ではロード/セーブができない
英語版 発売元 Impressions Games 価格 未定 発売日 10月発売予定 （99/10/04、PharaohDemoSetup.exe、54MB、ゲームデモ）
□Pharaoh ホームページ
http://www.pharaoh1.com/
（駒沢 丈治）
Copyright (c) 1999 Impressions Games <http://www.impressionsgames.com>
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