オンラインソフト最前線！
新しいアイデアや高度な技術がつまったオンラインソフトに注目
（99/10/14）明日10月15日でメール版窓の杜が創刊1周年を迎え、窓の杜のWebサイトは開設からちょうど3年となる。窓の杜のWebサイトが開設された頃、オンラインソフトは「小さなお役立ちツール」という印象が強かったが、最近ではパッケージソフトをしのぐ高度な技術を駆使したオンラインソフトや、今までにない新しいアイデアを採用したオンラインソフトが続々と登場してきている。今回は、窓の杜が注目しているWindows用ソフトの“最前線”を走るオンラインソフトを集めてみた。
AVI形式の動画をDVD-Videoと同じMPEG-2形式などに変換できる「TMPGEnc」
「TMPGEnc」は、AVI形式の動画ファイルをMPEG形式の動画ファイルに変換するソフト。動画ファイルとして頻繁に使われるMPEG-1形式に加え、DVD-Videoなどで利用されている、高画質・高圧縮率を誇るMPEG-2形式に対応しているフリーソフトだ。パッケージソフトを上回る設定の豊富さも特長で、目的のMPEGデータの画質やフレームレート、ファイルサイズなどを細かく調整しながら変換できる。使い方も簡単で、変換元のファイルを指定してボタンを押すと、ウィンドウに変換中の動画データが刻々と表示される。そのほか、動画の圧縮率を表すビットレートや、量子化行列、GOP構造、インターレースなど専門的な細かい設定が可能。また、MMX/SSE/3DNow!に対応したCPUではより高速に変換できる。動作にはDirectX 6が必要だ。
【著作権者】堀 浩行 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】β10m5 - 0.10.18.56（99/10/06）
□Hori Homepage
http://www.ingjapan.ne.jp/hori/
「VMware」は、PC/AT互換機のハードウェア自体をエミュレートするWindows NT 4.0とWindows 2000用のソフト。パソコンの中にもう一つ「VMware」という仮想的なパソコンを作り、DOSやWindows 3.1/95/98/NT 4.0/2000、LinuxやFreeBSDといったUNIX系のOSなど、PC/AT互換機上で動作する多くのOSを「VMware」にインストールして、実際のOSと同じように動作させることができる。現在使用しているOSの上で、一つのアプリケーションとしてOSが動くというかたちになり、マウスやキーボードを操作し、インターネットに接続してWebページを閲覧するといったことも可能だ。「VMware」にインストールしたOSの動作は実際のOSの動作より低速だが、様々なOSをインストールして試したり、特定のOSでしか動作しないようなアプリケーションを実行するときに、便利に利用できるだろう。なお、「VMware」にはOSが同梱されていないため、「VMware」で動作させるOSは別途必要となる。
【著作権者】VMware, Inc.
【ソフト種別】シェアウェア 99ドル
【バージョン】1.0 build-294（99/09/07）
□Welcome to VMware, Inc.
http://www.vmware.com/
「VOICEPRO 1.0 START」は、コンピューターに接続されたマイクからの音声入力によって、ひらがなやローマ字を入力できるソフト。あらかじめ自分の声で“あいうえお”50音を登録することで、マイクで吹き込んだ音声を認識して文字を一文字ずつワープロソフトなどに文字入力できる。これまでにも音声認識するソフトはいくつかリリースされているが、「VOICEPRO 1.0 START」は単純に音声認識するだけでなく、入力された音声の声紋を識別するため、音声登録した本人以外の声では正しく音声入力できない仕組みになっている。IMEを起動すれば日本語の文字入力が可能で、日本語変換や文字確定の操作はキーボードから行う。また、IMEを起動していないときには、ローマ字がアルファベットで入力される。
【著作権者】ライフツリー（資）
【ソフト種別】シェアウェア 4,200円
【バージョン】1.05（99/09/18）
□作者: ライフツリー合資会社
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an018278.html
「terragen」は、山岳や海に浮かぶ島などの景観を3D CGで描画するソフト。他の多くの3D CGソフトでは表現の難しい波間に浮かぶ島々や山の向こうに沈む夕日などを、簡単な操作で実写と見間違えるほど美しく再現できる。基本的な操作は、ベースとなる地形を自分で作成するか自動生成したあとに、カメラポジションを決めて“Render Image”ボタンを押すだけでOK。好みに応じて海水面の水位や波の高さ、太陽の位置、大気の状態などを細かく設定できる。数多くリリースされている支援ソフトと組み合わせれば、インターネットで公開されている実在の地形データをもとに風景画を作成したり、ヘリコプターから撮影したようなアニメーションムービーを作ることも可能だ。
【著作権者】M.P.Fairclough 氏
【ソフト種別】シェアウェア 79ドル
【バージョン】0.7.28（99/09/13）
□Planetside, the home of Terragen
http://www.planetside.co.uk/
「VRND: Notre-Dame Cathedral Demo」は、パリのノートルダム寺院内を自由に散歩できる3Dバーチャルリアリティソフト。3Dアクションシューティングゲーム「Unreal」のグラフィックエンジンを用いて作られており、寺院内を歩くと美しいグラフィックがなめらかに動作する。ステンドグラスやシャンデリア、絵画など寺院内のあらゆる部分がきめ細かく描写され、歩き回るほどに心を奪われる。床の上だけでなく空中も自在に歩くことができるので、実際には見ることのできない眺めを楽しむことが可能だ。気に入ったシーンはスクリーンショットを保存することもできる。このほか、フロリダの湿地帯「エバーグレイズ」やオーストラリアの「グレートバリアリーフ」の制作も進行中とのこと。世界中の名所をパソコンの中だけで観光できる日も、そう遠くないのかもしれない。
【著作権者】Digitalo Studios, Inc.
【ソフト種別】フリーソフト（デモ版）
【バージョン】1.01（99/08/31）
□VRND: NOTRE-DAME CATHEDRAL
http://www.vrndproject.com/
「HyperMatter」は、OpenGLによる3Dで描かれた文字や顔、カーペットをリアルに動かせる3つのソフト。アルファベットの“H”の形をした3Dオブジェクトをマウス操作で壁に投げつけて、ゴムが飛び跳ねるように動かすことができたり、一見銅像のような男性の頭部をゼリーのようにプルプル揺らしたり変形させることができる。また、薄いカーペットをマウスでドラッグすると、まるで本物の布のカーペットのようにヒラヒラたなびいたり、柔らかく折れ曲がったりする。現実の世界の物体の動きをシミュレーションして忠実に再現した、高度なソフトだ。
【著作権者】One Picture Limited
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-
□One Picture Limited - Home page
http://www.hypermatter.demon.co.uk/
「SETI@home Client」は、電波望遠鏡が宇宙を観測して得たデータをインターネット経由でダウンロードし、データ解析するためのソフト。地球上の電子機器や自然界にない電波が観測されれば、地球外文明の知的生命体が放出した電波の可能性があるという仮定のもとに、観測データの中にこの電波が存在するかどうかを「SETI@home Client」を使って解析し、地球外知的生命体の手がかりをみつけるのが目的。世界中のユーザーがそれぞれのコンピューターでデータを一部分ずつ解析することで、膨大な量の観測データを高速に処理するという壮大な計画だ。観測データのダウンロード、データ解析、解析結果のアップロードという3段階の手順が繰り返される仕組みで、スクリーンセーバーとして動作させたり、通常のアプリケーションとしてウィンドウ表示で動作させる。「SETI@home Client」を使えば、いずれ自分が地球外生命体を発見する世界で初めての人物（のひとり）になることも夢ではない。
【著作権者】SETI@home, UC Berkeley
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.06
□SETI@home: Search for Extraterrestrial Intelligence at Home
http://setiathome.ssl.berkeley.edu/
（窓の杜編集部／齋藤 正穂）
