特集


オンラインソフトで卒業論文を完成させよう!

軽快動作ソフトの組み合わせでサクサク卒論作成

(99/11/09)

 年末も差し迫り、大学4年生は卒業論文の準備に忙しいことだろう。余計な機能が多く、動作が重いワープロソフトだけで論文を作成しようとしてはいないだろうか。実はワープロソフト一本より、テキストエディターや今回紹介する小技の効いたオンラインソフトを使えば、快適に論文を執筆できるのだ。オンラインソフトでテキストや文献リストなどを作成し、最後にワープロソフトでレイアウトを整えれば完成だ。

テキストファイルを構造化して編集「構造化エディタ」

「構造化エディタ」  「構造化エディタ」は、テキストをセクションごとのツリー構造にして編集できるアウトラインプロセッサー。論文の章や段落をセクションとして記述することで、論理的な文章を作成しやすい。ある行にブックマークを設定したり、セクションのタイトルを指定することも可能で、各ブックマークやセクションに素早く移動できるジャンプ機能もある。また、ファイルの形式は一般のテキストファイルとして保存されるので、ほかのエディターやワープロソフトとの親和性が高い。テキストエディターで記述したメモやデータをもとに、「構造化エディタ」で論文を練り上げ、ワープロソフトなどで整形や印刷するといった方法がよいだろう。

【著作権者】松崎 暁 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.30(99/09/18)

□松崎 暁 HP
http://club.pep.ne.jp/~momotan/
□窓の杜 - エディター
http://www.forest.impress.co.jp/editor.html#structurededitor

文献リスト作成・管理データベース「Bunso」

「Bunso」  「Bunso」は、論文作成には必須の参考・引用文献のリストを作成して管理するデータベース。著者の姓名の順番や、複数の著者の併記方法などの表記スタイルを選択できたりと、文献管理に特化した細かい機能がある。Word文章中に「Bunso」で割り振った文献のID番号を埋め込んでおくことで、文末にすべての文献番号や文献名、著者、発行年のリストを自動追加し、ID番号を文献番号に一斉置換する機能もある。ファイルはMediline形式やCSV形式に対応しているほか、“PubMed”などの文献検索ページの検索結果や(株)図書館流通センターのホームページから週刊新刊案内のデータを読み込むこともできる。

【著作権者】Kazuhiro Sasaki 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】3.631(99/10/19)

□文想工房
http://www.vector.co.jp/authors/VA005818/
□Advanced PubMed Search
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrez/medline.html
□(株)図書館流通センター
http://www.trc.co.jp/

統計データを解析する統計テストソフト「PasTAN for Windows」

「PasTAN for Windows」  「PasTAN for Windows」は、様々な統計データを解析する統計テストができるソフト。データがワークシート形式で表示されるため、表計算ソフトと同様の感覚で操作できる。平均や分散、中央値といった基本統計量はもちろん、U-テスト、重回帰分析、一元配置分散分析など20種類の統計テストが可能だ。また、データが統計的に有意かどうか判断できるp値(有意確率)をほとんどの統計テストで算出できるのも特長。ファイルはCSV形式やテキスト形式に対応し、Excelなどの表計算ソフトとはクリップボード経由でデータをコピー&ペーストできる。なお、実行にはVB6のランタイムが必要。

【著作権者】澤口 俊之 氏
【ソフト種別】シェアウェア 4,000円
【バージョン】1.6(99/07/15)

□MicroToshi
http://member.nifty.ne.jp/MicroToshi/
□窓の杜 - 計算・統計処理
http://www.forest.impress.co.jp/calc.html#pastan

様々な辞書が配布されている辞書検索ソフト「Personal Dictionary for Win32」

「Personal Dictionary for Win32」  「Personal Dictionary for Win32」は、辞書をパソコンで引ける電子辞書ソフト。一文字ずつ入力するごとに検索候補が絞りこまれていくインクリメンタルサーチが採用され、標準では760語のみのサンプル英和辞書データが付属する。「Personal Dictionary for Win32」で利用できるフリーの辞書データが数多く配布されているのも特長のひとつで、約57,350語を収めた英和辞典の「GENE一般英和辞書」をはじめ「ライフサイエンス用語辞書」、「土木用英日専門用語辞書」などの専門的な辞書もダウンロードできる。

【著作権者】TaN 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,000円
【バージョン】4.18(99/09/06)

□窓の杜 - 辞書・語学関連
http://www.forest.impress.co.jp/dict.html
□ライフサイエンス辞書プロジェクト
http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/index-J.html

科学論文データベースから参考文献を探し出す「Pubmedia」

「Pubmedia」  「Pubmedia」は、必要な参考文献を海外の論文データベースから探し出す検索ソフト。米国国立図書館(NLM)の国立バイオテクノロジーインフォメーションセンター(NCBI)が収集した900万件に及ぶ医学を中心とする科学文献データベース“PubMed”から必要な文献情報を高速に検索し、検索結果をキーワード別に保管できる。単語や著者名で条件検索した結果はABSTRUCT(要旨)付きで保存され、市販の「EndNote」や前述の文献管理ソフトに取り込んで活用することも可能だ。検索結果はテキストデータとして保存されるため、オフラインでゆっくり閲覧できる。またローカルに構築されたデータはPerl正規表現を使ってキーワード検索し、英文用例集として適切な英語表現を探し出すことができる。

【著作権者】taikumi 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.901β(99/07/31)

□The Medical English Virtual Library
http://plaza27.mbn.or.jp/~dmsoftmcsoft/

2次元グラフならおまかせ「KyPlot」

「KyPlot」  「KyPlot」は、実験などで収集したデータを解析し、正確な2次元グラフを描くためのツール。折れ線グラフや棒グラフ、円グラフ、散布図など多種多様なグラフ表現に対応しており、発表用スライドにも向いたカラフルなグラフが作成できるというのが特長だ。データはテキスト形式やExcel形式のファイルから読み込むことができ、数式による表計算や任意の数式からの線形最小二乗法によるフィッティング、フーリエ変換など高度な数値計算と解析が可能。グラフには凡例や±誤差線を表示したり、X・Y軸に切れ目(ブレーク)を入れることもできるので、わかりやすく見やすいグラフを描ける。描いたグラフはクリップボード経由でWindowsのメタファイル形式やビットマップ形式にしてワープロソフトに貼り付ければOKだ。

【著作権者】吉岡 耕一 氏
【ソフト種別】β版フリーソフト
【バージョン】2.0 Beta 6(99/10/27)

□KyPlot
http://www.qualest.co.jp/Download/KyPlot/kyplot_j.htm
□窓の杜 - グラフ・プレゼン
http://www.forest.impress.co.jp/graph.html#kyplot

3次元グラフ化には「C-Graph 3D」

「C-Graph 3D」  「C-Graph 3D」は、3次元グラフを描くためのソフトだ。技術計算や実験計測などで得た3次元データを簡単にグラフ化してくれる。視点の水平角と俯角を自由に設定し見やすいグラフにできるのはもちろん、XZ断面、YZ断面を表示したり、断面を見ながら注目したい箇所にクロスヘアカーソルによるポインターを表示することも可能なので、プレゼンテーションの際も便利。グラフの大きさがウィンドウサイズにあわせて自在に変化するのもうれしい。設定したグラフスタイルは保存していつでも呼び出せる。こちらも作成したグラフはメタファイル形式かビットマップ形式でクリップボードにコピーすれば、ワープロの文書に簡単に貼り付けられる。

【著作権者】堀之内 克彦 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】6.0(99/05/04)

□窓の杜 - グラフ・プレゼン
http://www.forest.impress.co.jp/graph.html#cgraph

グラフからデータを読み込む「DataPicker」

「DataPicker」  「DataPicker」は、グラフ化ソフトとは逆にグラフをデータにするソフトだ。つまり画像としてパソコンに取り込まれたグラフを読み込み、数値データ化してくれる。参考文献にする論文などで、グラフのみが示され数値データが載っておらず『このグラフを別の手法で解析したい』といった場合に、グラフの図をスキャナなどで読み込みBMP/JPG/GIF形式の画像にすれば、数値データに変換することができる。変換したデータの値はテキスト出力されるので、表計算ソフトに読み込ませることも容易だ。ただしあくまでちょっとした簡易解析用にとどめ、実際にデータを論文に使いたい場合にはオリジナルの論文の著者に連絡を取り正確なデータをもらうようにしよう。

【著作権者】青塚 瑞穂 氏
【ソフト種別】シェアウェア 500円
【バージョン】1.0(99/10/27)

□作者: 青塚 瑞穂
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an019223.html

(齋藤 正穂/ひぐち たかし)

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