後藤智博のダンスミュージックStudio


【第4回】

使いたおそう!「Music Studio Standard」

(00/01/28)

 オンラインソフトでダンスミュージックを作ってしまうという、この連載。とうとう今回はMIDI編の最終回。前回まででMIDIの作曲がそんなに難しいモノじゃないってことがわかってもらえたと思うけど、作曲の現場にパソコンを浸透させたMIDIの威力をとことん味わってほしい。パソコンが好きで音楽が好きなら、MIDIに行き当たるのはもう運命! 今回もこってりとMIDIシーケンサー「Music Studio Standard」をいじくってみよう。

 今回は音程をねじ曲げる「ピッチベンド」や、音の揺れ具合を変化させる「モジュレーション」などの機能を使って音符を細かくエディットしていくから、しっかりマスターしてね。もちろんサウンドも盛りだくさんで進めていくから、Webで見ている人もメール版で読んでいる人も、Web上のサウンドアイコン()をクリックして、サウンドをチェックしながら感じをつかんでほしい。

「Music Studio Standard」でポイントを押さえた曲作り

 前回までの作曲ではせいぜい音量を変える程度で、置いたノートをそのまま発音させていた。でも、実際のギターとかの生演奏では音をふるわせたり微妙に音程をずらしたり、色々なテクニックがあるよね。もちろんMIDIだって生演奏のようなテクニックを再現することができる。そんな細かなエフェクト機能を紹介しよう。

 それではこれまでと同様に、リズムトラックから組んでいこう。トラック001を「kick+snare」、トラック002を「hihat」にして、2小節をループ再生しながら基本リズムを作った。「また?」って思う人もいるかもしれないけど、作曲するのに自分の形を作っていくことが大切なんだ。気に入ったフレーズができたので、トラックの小節部分をドラッグ選択、コピー&ペーストで4小節に増やす。3、4小節目のバスドラムとスネアドラムの位置を微妙にずらして、トラック003に「bass」を追加。ちょっとベタだけど、ベースはデロデロな音色のチョッパーベース「37:Slap Bass」でハネた感じにしてみた。

リズム&ベース♪

 今度はトラック004に「15:Tubular-bell」を割り当て、コードを入れてみる。さらに、トラック005に高めの音程でフレーズを打ち込む。音色は「3:Piano 3」だ。

ピアノフレーズを追加♪

 さて、音色の種類は増えたけど、このままでは単純すぎて面白くないので、「ピッチベンド」を使ってベースの音程をイジってみよう。「ピッチベンド」というのは、発音されている音程をグニューンとねじ曲げる機能。よくシンセサイザーの鍵盤の左側にホイールがついてるでしょ? あのホイールを動かした時と同じような変化がつけられる。ジャズなどでよく使われる「フレットレスベース」のような感じっていったら、わかる人もいるかな。

 ベースの音程をイジるときに、トラック004と005が鳴っているとベースを聴き取りにくいので、トラック番号右側の「M」のチェックをオンにする。すると、再生しても004と005が発音されなくなる。これを「ミュート」機能というんだけど、クリックだけで再生するトラックを選択できるので、フレーズを作り込む際に便利。ぜひ覚えておこう。再生させたくなったら、「M」をもう一度クリックするとミュートを解除できる。

 トラック003のピアノロールウィンドウを開き、左上の「VEL/CTRL」ボタンをクリック。エンピツボタン右のプルダウンから、「ピッチベンド」を選択しよう。後は、エンピツボタンがチェックの状態でピアノロールの下段に表示された部分をなぞっていけばOK。64が本来の音程で、数字が大きくなるほど音程が高くなる。ベース音色をピッチベンドしたら、予想どおりに音程が変化してきた。

ピッチベンドをかける♪

ミキサー機能で、より直感的に編集しよう

 次に、トラック004をもう少し凝った音にしてみたいと思う。もう少し直感的にイジっていきたいので「ミキサーウィンドウ」で編集することにする。トラック番号隣の「R」をチェックして、トラック004を録音可能状態に。そして、[ウインドウ]-[ミキサー]でミキサーウィンドウを表示。音量メーターやボリュームのスライダーなどがそろった、ミキサーっぽい画面が出てきたでしょ? ミキサーウィンドウ上段の「WAV」ボタンをオンにしておこう。

 ここで、ミキサーウィンドウ右側に表示されている丸いつまみに注目。これは左右の音量バランスを変える「パン」や、音の揺れ具合を変える「モジュレーション」などを変更できるつまみ。あらかじめ5つのつまみが用意されており、たくさんのつまみを表示することができる。ただし筆者が試してみたところでは、反応しないつまみもあるようだ。とりあえず「モジュレーション」は効いているので、トラック004をウネウネとした音に変えてみよう。

 メインウィンドウの[●Midi]と書いてあるボタンを押すと、8回のカウントの後に曲が再生される。ミキサーウィンドウでは、現在発音されている音量がレベルメーターによって表示されているハズ。再生音を聴きながら、音をうねらせたい部分でトラック004の「MOD」をドラッグする。どう? うまくいった? きちんとモジュレーションがかかっているかどうか、録音を停止してから再生して、確かめてみよう。リアルタイムにつまみの位置が変わっていくので、見た目もけっこう面白い。

モジュレーションをかける♪

 同様に、トラック005では「PAN」つまみで音を左右に動くような感じに、「VOL」スライダーで音量の変化も加えてみた。ヘッドホンで聴くとわかりやすいかな。

スライダーで音量を変化♪

配布用MIDIファイル作成の極意!

 前回、作った曲をWebブラウザーなどで聴くための配布用MIDIフォーマット「SMF」での書き出し方法を紹介した。でも、あの手順だと曲の頭に必ず2小節の空白ができちゃう。曲自体のクオリティには関係ないけど、やっぱりファイルを開いたらすぐに曲が鳴り始めるほうがイイよね。そこで、とっておきの方法を教えちゃおう。

 前回行ったSMF形式でのファイル保存の手順には、1つだけルールがある。トラックの初期化情報を入れる前に音源の初期化情報を入れろ、ということ。前回は念のために2小節の空白部分を作ったけど、うまくやれば1小節で充分。曲の頭に1小節の空白部分を作ったら、トラックの初期化情報を[1 4 0]、つまり1小節目の4拍目に入れよう。それと、今回作成した曲の場合は「MOD(モジュレーション)」と「ピッチベンド」をオンにしなきゃね。

 そしてもう1つ大事なのがテンポトラック。[0001:01:000]でテンポを最高の500にして、[0001:04:000]で曲の部分のテンポの130を入力する。つまり、初期化情報しか入っていない1小節目は、最高速ですっとばしちゃおうという設定。で、最後にMIDI音源の初期化情報を1小節目のいちばん頭に入れればOK。こうやって書き出せば、曲の頭の空白部分はこんなに短くなる。

空白部分をとばす♪

【ソフト名】Music Studio Standard
【著作権者】Frieve 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】2.40(99/12/28)

□Frieve Home Page
http://www.yk.rim.or.jp/~frieve-a/

 さて、今回でMIDI編は最終回なワケなんだけど、MIDIシーケンサーでの曲作り、どうだった? シーケンサー専用機や市販MIDIシーケンサーソフト、それにもちろんオンラインソフトも含めて、世界中にはまだまだたくさんのMIDIシーケンサーがある。思わず目移りしちゃうだろうけど、まずは「Music Studio Standard」を使い込んで、MIDIでの作曲をじっくり研究することをおすすめしたい。Webブラウザーで再生できるSMF形式のMIDIファイルを作るときはもちろん、外部音源としてサンプラーやシンセサイザーを同期させるといったプロと同じ作曲方法でも、これまで紹介したMIDIのテクニックが役に立つハズだ。

 次回からは、AMIGAというパソコン上で生まれ、今も世界中に数多くのマニアックなファンを持つ音楽ファイルフォーマット「MOD」を使った曲作りについて解説していきたいと思う。では、Keep on music!

後藤 智博


 記事中の楽曲は後藤 智博氏によるものです。著作権は、後藤 智博氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページにリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。
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