特集


デュアルCPU対応のオンラインソフト勢揃い

2月18日発売のWindows 2000でデュアルCPUを始めよう!

(00/02/15)

 Windows 2000の発売がいよいよ2月18日にせまってきた。Windows 2000の目玉機能の一つに、CPUを2つ搭載したデュアルCPUマシンに対応させるマルチプロセッサー機能がある。デュアルCPUの利点をオフィスでの仕事に例えてみると、同じ量の仕事をこなす場合に、1人で仕事するよりも2人で仕事するほうが速く進むのと同じことだ。しかし実際には、仕事をうまく2人に振り分けないと2人分の仕事をこなせない。

 パソコンのソフトでも同様で、ほとんどのソフトはデュアルCPUでの動作に最適化されていないため、デュアルCPU環境のWindows 2000で実行しても実行速度が向上しないことが多い。デュアルCPUの真価が発揮されるのは、複数のCPUに効率よく処理を振り分けるデュアルCPUに対応したソフトを実行したときだ。今回はデュアルCPUに対応しているソフトを紹介しよう。

■ データ変換が高速になるエンコードソフト

 最近流行のMP3やMPEGなどのファイルは、マルチメディアのデータは元ファイルのサイズが非常に大きいために圧縮変換したファイルになっており、この変換処理にはかなりの時間を要する。こうした膨大な処理を高速にこなすには、デュアルCPUに対応したエンコードソフトがうってつけだ。

MP3ファイルを高速に作成できる「午後のこ~だ」

「午後のこ~だ」  「午後のこ~だ」は、WAVファイルをMP3ファイルに変換するフリーのMP3エンコードソフト。オプション設定で[マルチプロセッサエンコードルーチンを使用する]という項目を有効にすると、デュアルCPUを活かした変換処理が行われるようになる。作者のホームページで行われている「午後のこ~だ」を利用したベンチマークのランキングによると、デュアルCPUにすることで1.6~1.8倍ほどの速度向上が見られるようだ。デュアルCPUならば、エンコード時間を気にせず高音質のMP3ファイルを作成することが可能となるため、出かける前でも気軽にCDからMP3ファイルを作成して、携帯MP3プレイヤーに取り込むこともできるだろう。

【著作権者】PEN@海猫 氏、へるみ 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.25(00/02/03)

□With Unz
http://homepage1.nifty.com/herumi/

AVI形式の動画をMPEG-1/2形式に変換できる「TMPGEnc」

「TMPGEnc」  「TMPGEnc」は、AVI形式の動画ファイルをMPEG形式に変換するフリーのエンコードソフト。「Windows Media Player」さえあれば誰でも見られるMPEG-1形式と、DVD-Videoでも採用されている最新のMPEG-2形式の動画ファイルを作成できる。環境設定の[マルチスレッド使用]という項目を有効にすることでデュアルCPUの威力が発揮されるようになる。作者のホームページのサポート掲示板では、デュアルCPUにしたことでエンコード時間が6割程度に縮まったというユーザーからの報告が寄せられている。ビデオカメラからパソコンに動画を取り込むと巨大なサイズのAVIファイルができてしまうが、デュアルCPUならコンパクトサイズのMPEGファイルに高速変換して、自分のホームページで公開することも可能だ。なお、動作にはDirectX 6が必要。

【著作権者】堀 浩行 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】β11b - 0.11.19.87(00/02/12)

□Hori Homepage
http://www.ingjapan.ne.jp/hori/

■ 膨大な計算が必要なデータをデュアルCPUで高速解析

 膨大な計算が必要になるデータ解析や暗号解読には、デュアルCPUの効果が大いに期待できる。世界規模で行われているデータ解析プロジェクトにデュアルCPUで参加すれば、賞金獲得や歴史に名を残す人物への近道になる!?

地球外知的生命体の発した電波を探索する「SETI@home Client」

「SETI@home Client」  「SETI@home Client」は、地球外文明の知的生命体を探すためのデータ解析ソフト。常に宇宙を監視し続ける電波望遠鏡が、地球上の電子機器や自然界にないはずの電波を観測すれば、地球外文明と生命体が存在するのでは…という仮定のもとに、インターネット経由で電波望遠鏡からデータの一部を受け取り、地球外知的生命体の痕跡を探し出す。すでに世界中の170万人以上のユーザーによってデータ解析が進められており、「SETI@home Client」のホームページでは全世界の解析の進捗状況がグラフ付きで掲載されているほか、自分の解析速度も確認できる。同クロックのシングルCPUと比較した場合、デュアルCPUのマシンで参加する方が原理的に短時間でデータを解析できることになる。地球外知的生命体の痕跡を発見できれば、歴史に名を残すのも夢ではないかもしれない。

【著作権者】SETI@home, UC Berkeley
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.02

□SETI@home: Search for Extraterrestrial Intelligence at Home
http://setiathome.ssl.berkeley.edu/

“分散コンピューティング”でデータ解析を行う「distributed.net client」

「distributed.net client」  「distributed.net client」は、膨大な量の計算を世界中のコンピューターに少しずつ振り分けて同時に処理し、高速に計算を行う“分散コンピューティング”を実現するソフト。「distributed.net client」を使って「distributed.net」ホームページで開催されている分散コンピューティングのプロジェクトに参加すると、解析用のデータを少しずつインターネット経由でダウンロードして、データ解析の結果を専用のサーバーに送信するという処理を繰り返し行う。デュアルCPUでは同時に2個の解析用データを並行して処理でき、同クロックのCPUが1つの場合に比べて原理上処理時間を半分近く短縮できることになるため、次々に新しい解析用のデータをダウンロードして解析を続けることができるだろう。なお、これまでに“RC5-56”暗号や“DES”暗号、“CSC”暗号の解読コンテストなどいくつもの合法的な暗号解読コンテストが「distributed.net」ホームページで開催され、暗号を解読する正解鍵を探し当てたユーザーには賞金が贈られた。現在は“OGR(最短ゴロム定規)”というNP完全問題に挑戦するプロジェクトが進行中で、“OGR”問題を解決したユーザーには20ドルの賞金が贈られる。

【著作権者】distributed.net
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】v2.8007.458b(00/02/13)

□distributed.net Node Zero
http://www.distributed.net/

■ その他、マルチプロセッサー機能を活かしているソフト

 3Dバリバリのアクションゲームでは、CPUに要求される処理も多いため、デュアルCPUであればよりリアルにゲームを楽しむことができる。また、ベンチマークソフトの場合、デュアルCPUの性能が数値ではっきり表示されるため、自分のマシンがいかに速いか実感できる。

ネットワーク対戦型アクションシューティングゲーム「Quake III Arena」

「Quake III Arena」  「Quake III Arena」は、3Dアクションシューティングゲームの代表作「Quake」シリーズの最新作。前作同様デモ版が用意され、ゲームの醍醐味をあますところなく体験できる。本作ではシングルプレイを省き、ネットワーク対戦に特化したため、ゲーム性とリアリティがさらに向上している。光と影が渦巻く美しい3Dグラフィックのなか、カンのよさと素早さを頼りに対人バトルを繰り広げる。デュアルCPUと高性能のグラフィックカードを組み合わせれば、よりリアルな動きの3Dグラフィックで快適にゲームをプレイできるだろう。なお、製品版はP&Aより販売中だ。「Quake III Arena」に続いて、今後もデュアルCPUに対応した3Dゲームが登場するのを期待したい。

【著作権者】id Software, Inc.
【ソフト種別】ゲームデモ
【バージョン】-(99/12/17)

□Quake 3 Arena
http://www.panda.co.jp/games/quake3arena/

総合ベンチマークソフト「HDBENCH」

「HDBENCH」  「HDBENCH」は、デュアルCPUマシンに対応したフリーのベンチマークソフト。CPUやメモリ、ハードディスクの処理速度、グラフィックの描画性能などパソコンの性能を測定できる。ハードディスク以外のベンチマークはすべてデュアルCPUに対応しており、グラフィックの描画テストでは画面を左右に分割してCPUごとにテストを行う。作者ホームページの「ベンチ結果の部屋」では、デュアルCPUマシンのペンチマーク結果が多数報告されており、他のデバイスの影響を受けにくい浮動小数点演算や整数演算では、同クロックのシングルCPUマシンと比べて、2倍近いベンチマーク結果となっている。高いベンチマーク結果を出したハードウェア構成も詳しく紹介されているので、これからデュアルCPUにする人はパワーアップの参考にするとよいだろう。

【著作権者】EP82改/かず 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】3.22(99/12/21)

□EP82改/かずのホームぺージ
http://www.lares.dti.ne.jp/~ep82kazu/
□窓の杜 - HDBENCH
http://www.forest.impress.co.jp/library/hdbench.html

(齋藤 正穂)


お詫びと訂正: 「distributed.net client」の紹介文中で、「distributed.net client」の機能および“OGR”について誤解を招く表現があったため、2月29日に紹介文を差し替えさせていただきました。深くお詫び申し上げます。

(窓の杜編集部)

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