後藤智博のダンスミュージックStudio


【第8回】

挑戦! 「Modplug Tracker」

(00/03/17)

 さて、今回からはいよいよMODトラッカーでの作曲作業に入ろうと思う。トラッカーソフトは英語の専門用語がたくさん出てくるし、使い方がわからない…なんて声をよく聞くけど、使い方は基本的にはMIDIシーケンサーと同じようなモノ。専門用語に関しても、この連載を読んできた人ならわかる言葉ばかり。頑張って!

「ModPlug Tracker」でMODファイルを作ろう!

 「ModPlug Tracker」は、Windows版トラッカーソフトの代表格。MOD、S3M、XM、ITのMODファイルで作曲することができる。MODの再生に第5回で紹介した「Modplug Player」を使っているなら、相性は特にバッチリだ。

 前々回からクドクドと書いてるけど、MODでの曲作りに大事なのは音ネタ! 今回は以下の4種類を用意してみた。バスドラム音の「kick.wav」、ハイハット音「hihat.wav」、アナログ風シンセサイザーの和音「synth.wav」、それからバスドラムとハイハットがセットになった「rhythm.wav」だ。音を聴いてもらうとわかると思うけど、今回の「rhythm.wav」みたいなワンショット以上1小節未満の長さのサンプリング音をうまく使うと、ブレイクビーツのようなグルーヴを出しつつ好きなリズムパターンを組むことができるので一石二鳥。

kick.wav hihat.wav synth.wav rhythm.wav

 今回はXMやITに比べて機能が単純でわかりやすいS3Mで作曲をしてみようと思う。「Modplug Tracker」を起動して、[File]-[New]-[S3M]。「Module1」というウィンドウが出たでしょ? ここに曲を作っていく。デフォルトでは125BPMになっているので、そのままの速さでOK。

 まずは用意した4種類のサンプリング音色を使えるようにしたいので[Samples]タブをクリック。左から2番目の[Import sample]アイコンをクリックして、WAVEファイルを取り込もう。真ん中あたりの[Name]にWAVEファイルの名前が表示されているはず。ウィンドウ下側の黒い部分に波形が出てる? 音色は右から6番目の音符アイコンで再生できるので、チェックしてみて。それから注意。次のサンプリング音色を取り込むには、一番左の[New sample]アイコンをクリック、いちいち空サンプルを用意してあげてからじゃないと上書きになっちゃうので、覚えといてね。ボクの場合はABC順に読み込んだのでサンプル番号[01]-“hihat”、[02]-“kick”、[03]-“rhythm”、[04]-“synth”になった。

 それではシーケンスデータを組んでいこう。[Patterns]タブをクリックだ。上段には再生ボタンや音色情報、下段には音符情報が入るグラフのようなものが表示される。左側には0から63までの数字が出てるでしょ? その数字1つが16分音符。つまり全部で4小節ってこと。[Channel 1]の0の部分をダブルクリックすると[Note Properties]ダイアログがあらわれる。[Note]を“C5”、[Instrument]を“03:rhythm”にしよう。これで音符を置いた状態になった。同じように[Channel 2]は4を[Instrument]-“02:kick”[Channel 3]の6を[Instrument]-“01:hihat”に。[Note]は全部“C5”でOK。上段左から3つ目の[Replay Pattern]アイコンをクリックすると、打ち込み終わった半小節のリズムが再生される。

 さあ、このパターンをコピーして、8の部分からペーストしよう。複数のノートの選択は、[Shift]を押しながら。この状態が1小節。そのまま、16、24、32…と、8の倍数の部分にペーストしまくって、パターンすべてで音が鳴るようになればリズムは完成。いまは4小節なので、[Patter name]の下の部分、“0”の隣の“---”の部分をクリックして、ここも“0”にしちゃおう。パターンを繰り返すので、8小節の曲になる。わかる? 混乱しちゃったら、Web上の画像を参考にしてみて。いまのサウンドはこんな感じ。

リズムを組み合わせた基本のサウンド♪

 次に、[Channel 4]に“04:synth.wav”で上モノをのせてみた。リズムのおしりの部分からハイハットを抜いて、バスドラムで簡単なブレイクを作る。あ、そうそう、そのチャンネルですでに一度[Instrument]が指定してあれば、以降は“C-5”だけ打ち込んであげればいいんだけど、ノートを置きたい部分をクリックした状態はアルファベットがすべてショートカットになっているので、[A]ボタンで“C-5”のノートを置こう。作り込んでいくときに便利。

バスドラムで簡単なブレイクを作成♪

 いまの状態、なんかヘンじゃない? そう、ヘッドホンで聴いている人は一発でわかると思うけど、Channelにはデフォルトでそれぞれ微妙にパンが効いているので、リズムとシンセ音が左右からバラバラに聴こえちゃうんだ。[General]タブを押してリズム音の[Channel 1]、シンセ音の[Channel 4]をそれぞれ[Pan]-“128”、左右均等に音が出るようにしよう。その他のチャンネルは面白い効果になってるから、そのままでいいや。あまりピチッと真ん中に寄せると、音の広がりが狭く感じちゃうからね。で、最終的にはこんな感じに。

パンを調整して左右の音を均等に♪

【ソフト名】ModPlug Tracker
【著作権者】Olivier Lapicque 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.09.0091(00/02/10)

□MODPLUG.COM - MODPlug Central / Castle X
http://www.modplug.com/

 やっと「Modplug Tracker」で作曲するところまで来たけれど、感触はどうかな?そんなに難しくないでしょ? 次回はもう少し突っ込んだ使い方をしてみたいと思うので、それまでガシガシと使い込んでおいてほしい。では、Keep on music!

後藤 智博


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