特集


WindowsでUNIX気分を味わおう

UNIX用ソフトのWindows移植版やWindowsをUNIX風にカスタマイズするソフト

(00/03/21)

 UNIXはWindowsよりも長い歴史をもつOSで、もともとは企業のワークステーションなどで使われていた。しかし、最近はパソコンでも動作するLinuxやFreeBSDを始めとするフリーのPC-UNIXが登場し、UNIXが身近な存在になりつつある。とはいうものの、すでにWindowsが動いているパソコンにUNIXをインストールするのは少々敷居が高いのも事実。そこで今回の特集では、WindowsのデスクトップをUNIXのGUI環境「X Window System」風にカスタマイズするソフトや、UNIXのソフトをWindowsに移植したソフトを紹介する。これらのソフトを活用すれば、Windowsの見かけも操作感もまるでUNIXのようになること間違いなしだ。

■ UNIXを代表する定番ソフト

 UNIXにも、Windowsの「秀丸」や「Becky!」などに相当する定番ソフトがある。これら定番ソフトの中から、Windowsに移植された人気の高いソフトを紹介しよう。

編集作業をマクロで自動化できる画像編集ソフト「GIMP for Windows」

「GIMP for Windows」  「GIMP for Windows」は、UNIX用の高機能画像編集ソフト「The Gimp」の移植版。100種類を超えるブラシ、照明効果・芸術的効果・輪郭検出などの多彩なフィルター、複数の画像を重ねて扱うことができるレイヤーなどパッケージソフトに引けを取らない機能を備えている。また、特筆すべき機能として強力なマクロ言語「Script-Fu」がある。「Script-Fu」を利用すれば、画像の編集作業を自動化したり、新たなエフェクトを追加するなどの機能強化が可能だ。独自形式のXCFのほか、JPEG/PNG/BMPなどの画像形式に対応している。

 ただし、ファイルを開くウィンドウなどが「X Window System」に似ているため、やや操作にとまどうかもしれない。「GIMP for Windows」は現在のところ開発途上のソフトだが、以前と比較して安定性が向上するなど着実な成長を続けており、今後の成長が楽しみなソフトだ。

【著作権者】Spencer Kimball 氏、Peter Mattis 氏 他
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】20000215版(00/02/15)

□GTk+ and GIMP for Windows
http://www.gimp.org/~tml/gimp/win32/

多言語対応のテキストエディター「Meadow」

「Meadow」  「Meadow」は、多言語対応のテキストエディター。UNIX用の定番テキストエディター「Emacs」をベースに、日本語、英語はもちろん、中国語、タイ語、アラビア語といった多くの言語のテキスト編集を可能にしたものだ。しかし「Meadow」の魅力は多言語対応だけではない。「Emacs」から受け継いだ非常に強力なプログラミング言語の「Lisp」を搭載しており、これを利用すれば編集作業の自動化はもちろん、メールソフトやWebブラウザーからゲームにいたるまで、「Meadow」上で多彩なソフトを作成・実行することができる。C言語やHTMLのソースを編集する際に、文法に応じて色をつけたりインデントを行ってくれる機能も「Lisp」言語を利用して実現している。なお、日本語以外の言語を利用するときには、フォントをWindows Updateなどを利用して入手しておく必要がある。

【著作権者】GNU GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2準拠
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.10(99/10/16)

□Meadow and Mule for Windows Information
http://tancho.scphys.kyoto-u.ac.jp/~himi/MuleWin32/index.cgi
□Meadow (解説ページ)
http://www.ask.ne.jp/~miyoshi/Meadow/

主要なUNIXコマンドをWindowsに移植した「Cygwin」

「Cygwin」  「Cygwin」は、主要なUNIXコマンドをWindowsに移植したツール集だ。基本的なUNIXコマンド群を同梱した「ユーザーツール集」というパッケージと、「ユーザーツール集」に加え開発用ツールも同梱されたフルパッケージが配布されている。「ユーザーツール集」には「ls」などのファイル操作コマンド、UNIXでよく利用されている圧縮ファイル操作ソフトの「gzip」、テキスト処理ツールの「sed」などが含まれている。開発用ツール集には、有名なCコンパイラーの「gcc」、スクリプト言語の「tcl/tk」、デバッガーの「gdb」といったプログラミングツールが含まれており、自分でWindows用のソフトを開発することも可能だ。

 また、シンボリックリンクというWindowsのショートカットに相当するファイルを作成する機能や、複数のドライブをディレクトリとして扱うことができるマウント機能などもあり、「Cygwin」上でUNIXそっくりの環境を実現できる。

【著作権者】Cygnus Solutions 他
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】B20.1

□Cygwin
http://sourceware.cygnus.com/cygwin/

viを進化させたテキストエディター「gVim」

「gVim」  「gVim」は、独特の操作性をもつUNIX用のテキストエディター「vi」の機能を受け継ぎ機能強化したソフト。Windowsの多くのテキストエディターとは異なり、文字を入力する「入力モード」と、文字の削除やその他様々な機能を実行する「コマンドモード」を切り替えながら使う。たとえば「コマンドモード」に切り替えてキーボードで“dd”と打つだけで1行削除でき、“p”と打つだけでクリップボードにコピーしたテキストを貼り付けることができる。マウスを使うことなく軽快にテキスト編集できるようになっているのが大きな特長だ。

 また、“dd”などのコマンドを覚えていなくても、ツールバーやメニューからも操作できるため、慣れないうちはコマンドとマウス操作を併用しながら使用方法を覚えていくことができる。C言語などのソースコードの色分け表示、日本語入力のサポートなど「vi」にはない機能も多数追加されており、より使いやすくなっている。

【著作権者】Bram Moolenaar 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】5.6.12j(00/03/12)

□KaoriYa on iXeRis
http://ixeris.bios.ics.saitama-u.ac.jp/~koron/

■ ネットワーク関連ソフト

 UNIXはインターネットを生んだOSだけあって、インターネット関連ソフトが充実している。ここでは、Windowsに移植されたUNIX生まれのメールソフト・ニュースリーダーとWebブラウザーを取り上げる。

Lisp言語で作成されたメールソフト・ニュースリーダー「Mew」

「Mew」  「Mew」は、「Lisp」言語で作成されたUNIX用メールソフト・ニュースリーダーのWindows移植版だ。「Meadow」などの「Lisp」言語対応のソフト上で動作するため、メールを読み書きする際にテキストエディターの機能をフルに活用することができる。さらに、メール作成時にメールアドレスなどの入力を補完してくれる機能や、振り分け条件を設定しなくてもメールの差出人などの情報から振り分け先のフォルダを自動で判断する機能など、多くのメールを扱う上で便利な機能を備えている。

 暗号ソフトのPGPにも対応しており、暗号化されたメールを受信したときにはパスワードを入力するだけで復号を行ったり、メールの内容を簡単に暗号化して送信することができる。なお、実行には「Mew」のホームページで配布されているメール操作コマンド群「Internet Message(IM)」と、「ActivePerl」などのPerlインタープリターが必要となる。

【著作権者】Mew developing team
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.94.2(00/02/28)

□Win32 tools and documents
http://www.mew.org/Win32/
□ActiveState Tool Corp. - Professional tools for Perl developers
http://www.activestate.com/

軽快に動作するテキストベースのWebブラウザー「w3m」

「w3m」  「w3m」は、テキストベースのUNIX用WebブラウザーのWindows移植版。「w3m」は「Internet Explorer」や「Netscape Communicator」のように画像を表示したり、Javaスクリプトなどを実行することはできない。しかし、これらのソフトにはない利点もある。「w3m」はホームページのテキストのみを表示し、キーボードのみで操作できるため、画像まで読み込んでしまうWebブラウザーに比べてサクサクと軽快にホームページを閲覧することができる。画像が中心のWebサイトを閲覧するには向かないが、ニュースサイトなど文字が中心のWebサイトの閲覧には最適だろう。

 テキストベースのWebブラウザーとしては「Lynx」が有名だが、「w3m」はテキストベースでありながら、罫線を利用することで「Lynx」が対応していないテーブルやフレームなどのHTMLタグにも対応している。そのため、テーブルタグを利用したホームページもレイアウトを崩さずに表示できるのがうれしい。なお、最新版はソースコードで配布されており、「Cygwin」に含まれるツール「gcc」でコンパイルして利用できる。

【著作権者】伊藤 彰則 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-(99/10/28)

□W3M Homepage
http://ei5nazha.yz.yamagata-u.ac.jp/~aito/w3m/

■ 見た目を変更するソフト

 UNIXからWindowsに移植されたソフトを使うだけでなく、デスクトップを「X Window System」風にしてはどうだろうか。デスクトップをUNIX風にしてしまえば、もはやWindowsを使っていることさえ忘れてしまうかもしれない。

Windowsの見た目をX Window System風に変更できる「WindowBlinds」

「WindowBlinds」  「WindowBlinds」は、タイトルバーからボタンに至るまで、すべてのソフトのウィンドウデザインを変更できるソフトだ。スキンと呼ばれるデザインデータを読み込むことで、ウィンドウのありとあらゆる部分のデザインを変更できる。さらに、デスクトップの壁紙とは別にエクスプローラなどのウィンドウの背景に壁紙を貼ることもできる。指定したソフトや、ウィンドウの一部分をデザイン変更の対象から外す設定も可能だ。

 同梱されているスキンのほか、インターネット上で公開されているスキンをダウンロードしたり、自分で新しいスキンを作成して利用することもできる。「Motif」「OPENSTEP」「KDE」などUNIXでメジャーなデスクトップ環境を模したスキンを使えば、まるでWindowsがそのままUNIXに置き換わったかのような雰囲気になるだろう。

【著作権者】Stardock.net, Inc.
【ソフト種別】シェアウェア 19.95ドル
【バージョン】1.2(00/02/28)

□WindowBlinds
http://www.windowblinds.net/
□WindowBlindsのスキン
http://www.skinz.org/skins.php3?skin=Motif&area=wb (Motif)
http://www.skinz.org/skins.php3?skin=OPENSTEP+EUI&area=wb (OPENSTEP)
http://www.skinz.org/skins.php3?skin=KDE&area=wb (KDE)
http://www.skinz.org/skins.php3?skin=BlueSteel&area=wb (Enlightenment/BlueSteel)
http://www.skinz.org/skins.php3?skin=W15&area=wb (Enlightenment/W15)

NextStep風のデスクトップ環境を実現する「LiteStep」

「LiteStep」  「LiteStep」は、UNIX系OSの一つである「NextSTEP」風のデスクトップ環境を実現するソフトだ。「LiteStep」は、「NextSTEP」と同様に「Wharf(波止場)」と「Popup」というユニークなツールを備えている。「Wharf」はデスクトップに表示されるパネルで、プログラムランチャーやアプリケーションの切り替え表示機能などを備えている。一方「Popup」は、スタートメニューのようなポップアップメニューで、マイコンピュータやコントロールパネルなどにすばやくアクセスできる。また、「モジュール」と呼ばれるDLLファイルを追加することで、CPUの負荷表示や仮想デスクトップの切り替え表示機能などを組み込むことができる。「モジュール」や壁紙、配色の設定などをセットにした「テーマ」ファイルも数多く配布されており、デスクトップを様々なスタイルに切り替えることが可能だ。なお、アンインストール時には“SYSTEM.INI”ファイルやレジストリを直接編集する必要がある。

【著作権者】Francis Gastellu 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.24.5(99/08/29)

□:: LiteStep.net - Welcome ::
http://www.litestep.net/
□BLUE TOPAZ(日本語「テーマ」ファイル公開ページ)
http://www.cv.cs.ritsumei.ac.jp/~hirohisa/

(しらはた しん)

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