後藤智博のダンスミュージックStudio


【第9回】

「Modplug Tracker」でXMのMODファイルを制作

(00/03/24)

 今日も前回から引き続いて「Modplug Tracker」、ぼちぼち使えるようになって来たかな。ダンスミュージックの作曲が楽しくなってきた人、専門用語が難しくてワケわかんなくなっちゃった人、いろいろな人がいると思う。でも、ちょっと強引だけどぶっちゃけた話、ダンスミュージック制作なんてシーケンサーやトラッカーで音さえ出せちゃえばこっちのモノだ。オリジナルのひらめきやアイデアで、MODの世界に飛び込んでみて。

「ModPlug Tracker」でMODファイルを作ろう! XM編

 今回も、前回に引き続き「ModPlug Tracker」でのサウンド制作に挑戦していこう。今回は“XM”形式でのサウンド制作だ。前回作曲した“S3M”との違いは、16bitサンプリングが使用できるようになった点や音色のファイルサイズ制限が4GBまで拡張されたことなど、数値的にも魅力的なことばかりだけど、一番の大きな違いは“Instrument”という機能の追加によって音色の表現力が増大したこと。手順も“MOD”や“S3M”などとは若干変わってくるので、その点に注意しながら制作を進めていこう。

 今回の曲作りに利用した音ネタは全部で9種類。ちょっとオーバードライブ気味のバスドラム「kick.wav」、スネアは「snare.wav」、バシャーン! というクラッシュ・シンバルの「crash.wav」。それから、ベース音が「bass01.wav」から「bass06.wav」までの6種類。これは、レゾナンスフィルターをイジりながらフレーズを演奏させた「bassloop.wav」というサンプリングデータを、第7回で紹介した「GoldWave」でバラバラにしたもの。これを利用して、全く違うベースフレーズを組んでいこうと思う。長いフレーズを細切れにして新たなフレーズを作り出すテクニックは、前回のリズムでも使ったよね。

kick.wav snare.wav crash.wav bassloop.wav

bass01.wav bass02.wav bass03.wav bass04.wav bass05.wav bass06.wav

 さあ、さっそくシーケンスに入ろう。Modplug Trackerを起動して、[File]-[New]-[XM]。「General」の設定で、[Tempo (bpm)]を140にしておこう。今回は少し速めだ。そして、[Samples]から9種類のWAVEデータを読み込み。ここまでは前回とほぼ同じだね。それから[Instruments]タブをクリック。4つのアイコンボタンが並んだ右側、[1]と表示されている部分の上下の矢印ボタンを押しながら、9種類のWAVEデータと同じ名前を入力していこう。[Instruments]では、同じサンプルデータに様々な効果を与えて、違う音色として使用することができる。今回は使わないけれども、ファイル容量の節約にはすごく便利な機能だ。余裕があったらぜひ研究してみよう。

 それから[Patterns]をクリック。毎回毎回1パターンのループじゃちょっと飽きちゃうだろうから、今回はイントロのパターンを作ってみよう。四つ打ちのバスドラムにスネア、クラッシュ・シンバルのベタな連打でベースフレーズなしのフレーズを組んでみた。

クラッシュ・シンバル連打でベースフレーズなしのフレーズ♪

 次に、クラッシュ・シンバルを抜いて本チャンのベースフレーズを入れたパターンを追加するんだけど、まずは[Shift]-クリックでノートを全部選択しておいてからコピー。そして[Samples]の時と同じように、[Module1.xm]ウィンドウの左上に並んだアイコンボタンの一番左、[Insert Pattern]をクリックして空白のパターンを用意してあげるんだ。空白パターンができたら[Channel 1]-[1]を選んで貼り付けよう。[Channel 3]のみを[Shift]選択で選んでからカットしてしまおう。あとは、バラバラに切り分けたベースフレーズを感覚的に配置していけばいい。今回サンプリングしたベースフレーズは、もともとBPM=140に近いモノだったけど、バラバラに切り分けたおかげで、ざっと作っただけでもタイミングのズレなどは感じられない。イイ感じ。

本チャンのベースフレーズを入れたパターンを追加♪

 最後に、[Patter name]の下の部分、“0”の隣の“---”の部分をクリックして、“1”を入力する。その右隣も“1”にしちゃおうか。こうするとイントロを4小節続けた後にメインフレーズを8小節演奏するってことになる。

イントロとメインフレーズ♪

【ソフト名】ModPlug Tracker
【著作権者】Olivier Lapicque 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.09.0091(00/02/10)

□MODPLUG.COM - MODPlug Central / Castle X
http://www.modplug.com/

 「ModPlug Tracker」の説明は今回でおしまい。欲を言えばもう少し突っ込んで説明したかったところだけど、いままでMODを作ったことのなかった人が「自分にもできるかも知れない」って思うキッカケになってくれれば幸いだ。キー操作などがとてもWindows的で使いやすい「ModPlug Tracker」は、MOD初心者から毎日MODのことしか考えてないコアなMODマニアまで、すべてのWindowsユーザーにオススメできる。

 いよいよ次回はこの連載の最終回。最近ボクが気になっているMODトラッカーを2本紹介してみたいと思う。ギタリストが曲によって色々なギターを使い分けるように、曲調によって「Modplug Tracker」とその他のトラッカーを使い分けるっていうのも、個性の違うサウンドを作れて面白いんじゃないかな。では、Keep on music!

後藤 智博


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