【第74回】
「朝刊太郎」
見出し作成やレイアウトも簡単な新聞作成用DTPソフト
(00/03/27)
学生は春休みに入り、社会人は人事異動や転勤のシーズンだ。これから新人歓迎のコンパやお花見などのイベントも多くなることだろう。イベントの後は、デジカメ写真などでその様子を伝えるWebページを作成するのもいいものだが、社内報や学級新聞を作るのも楽しいものだ。オフィスや教室の掲示板に壁新聞として張り出しておけば、忙しい上司や来客者にも気軽に見てもらえるだろう。今回はそんなミニ新聞を作るための、ユニークなDTPソフトを取り上げよう。
どんなソフト?……新聞作成用のDTPソフト
「朝刊太郎」は、新聞紙面を作って印刷するための専用DTPソフトだ。日本語ワープロソフトと違って最初から新聞作成を念頭に置いてデザインされているため、縦書きはもちろん、新聞独特の文章の流し方やレイアウトが簡単にできるのが特長になっている。Windows 95/98/NT 4.0で動作するフリーソフトだ。
「朝刊太郎」を使うには、まず素材となる記事と画像を用意する。記事はメモ帳などでテキストファイルに、画像はBMP形式にしておけばよい。JPEG画像は読み込めないのでデジカメ写真はグラフィックソフトでBMPに変換しておこう。用意ができたら「朝刊太郎」を起動して、紙面を大ざっぱにレイアウトしよう。「朝刊太郎」では、紙面の要素となる記事/見出し/画像を、それぞれ独立して複数配置することができる。
見出しは[SHIFT]キー+マウスドラッグで位置と大きさを決め、文字列やフォントの種類、サイズなどを細かく設定できる。改行入りの見出しも作れるほか、行ごとにフォントを変えることも可能だ。画像は、マウスで位置と大きさを決められるほか、上下左右にコメントもつけられる。記事本文は、テキストファイルから読み込み内蔵エディターで編集したあとで、紙面に配置することができる。レイアウトした記事と記事の区切りには、[Ctrl]キーとマウスドラッグで縦罫線を引くといいだろう。これらの操作を繰り返し、全体のバランスを調節すれば新聞紙面の完成となる。
ここがスゴイ!……小見出し作成からレイアウト、記事流しも自由自在
「朝刊太郎」のスゴイところはやはり、新聞作成のために特化されたさまざまな工夫や機能が盛り込まれていることだろう。例えば一般に新聞のような紙面を作る場合には“流し”や“畳み”と呼ばれる記事レイアウトがポイントになってくる。“流し”は記事の開始位置から段組みに沿って文章を隙間なく詰め込んでいくことで、“畳み”は各段にスペースを空けて記事が指定段数までまたがるよう調節するというもの。新聞らしく読みやすいレイアウトにはこれらをうまく使う必要があるが、「朝刊太郎」なら“流し”や“畳み”はもちろん、記事前半を流して後半を畳む“流し畳み”もマウスのクリック操作だけで簡単にできるようになっている。
こんな場合に便利……学級新聞や社内報、家庭内ミニ新聞、結婚祝いにも
どこの学校にも新聞部というのはあったと思うが、そういった新聞作成の経験のある人でなくても誰でも手軽に見栄えのするミニ新聞を作成できるのが「朝刊太郎」の特長だ。学級新聞や社内報にたずさわっている人でなくても、仲間内のちょっとしたイベントのあとに新聞を作ってみると意外とウケるかもしれない。もちろん文章力も必要だが、こういった新聞は派手な見出しと目立つレイアウトによるインパクトが勝負という面もあるので、気軽に挑戦してみよう。回を重ねてやがて定期的に発行できるようになれば、あなたも立派な新聞編集長だ。
また、友達や同僚の結婚や出産といった出来事を記事にして新聞号外のように配布すれば、きっと喜ばれることだろう。
使用上の注意は?……操作には多少の慣れが必要、複数ページや横書きには未対応
ただ、新聞作成に便利な工夫がなされている反面、操作方法は独自のものになっていることに注意しておきたい。最初から何も見ずに感覚的に使えるタイプのソフトではないので、初めて使うときはまずヘルプを読みながら操作を覚えるようにしよう。そのかわりヘルプには新聞作成の流れに沿ったチュートリアルも用意されているので、一度覚えてしまえば使いこなすことは難しくないはずだ。
なお「朝刊太郎」では今のところ1ページのみの新聞編集を想定しており、複数ページの同時編集や、複数ページにまたがる記事の編集には対応していない。また横書きの見出しは可能だが、本文の横書きには対応していない。
【著作権者】ふくなが 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.75(00/02/20)
□desktop_9(@ガッテン)
http://www.inh.co.jp/~kei/freesoft/desktop_9.html
(ひぐち たかし)