【第1回】

第1章:時計ソフトを作ろう

ソフト制作は仕様が大切

(00/04/14)

nakka

 みなさんこんにちは、プログラマーの“nakka”です。オンラインソフトを作っていると、ユーザーの人から「この機能も追加してほしい」や「これからも頑張ってください」などのメールが送られてきて、新しい人との出会いがあっておもしろい。だけど、機能を追加するためのいい方法がなかなか見つからなかったり、WindowsのAPIが理解しづらかったりと、辛いことが多いのも事実。そこで今日から10回にわたって、実際にオンラインソフトを作成しながら、プログラミングをしていくうえで知っておくと便利なポイントを紹介していきます。

 ところでnakkaって誰だ? っていう人もたくさんいるでしょうから、ちょっとだけ自己紹介します。実はオンラインソフトを作りはじめてまだ4年の24歳。1996年に公開したホームページの更新チェックソフト「WWWC」(だぶだぶだぶしー)がなぜだかウケて、いろんな人の助けを借りながらなんとかオンラインソフトを作り続けてきました。プログラミングを趣味としているけど、どこにでもいるフツーの社会人で、見た目は…。まあその辺は似顔絵を見てもらって自由に想像してください。

 この連載でオンラインソフトを制作するにあたって、「Microsoft Visual C++」という開発環境を用います。理由は私が普段オンラインソフトの作成に使っているからです。この連載では、実際のプログラミングテクニックを紹介するというよりは、オンラインソフト制作の手順や心構えなどを中心に紹介していくので、ほかの開発環境を使用している人もきっと役に立つと思います。作成中のソフトとソースコードは、Webからダウンロードできるようにしておきますので、実際の動作とソースコードを確認しながら進めてください。それでは一緒に始めましょう!

ソフト制作は仕様が大切

 ソフトのアイデアはいろんなときに生まれてきます。パソコンを使っていないときに突然「こんなソフトがほしい」と出てくることも多い。で、ソフトのアイデアが出てきたら、いきなりプログラミングを開始するのではなくて、まず仕様を考えることにしています。仕様とは、どんなソフトをつくるかという企画書のようなもの。仕様がきっちり決まっていないと、ソフトを作っているときにどう進めていくか悩んだり、機能を拡張しにくくなったりとプログラミングがスムーズに進まない原因になります。

 「とにかく作りたい!」と思っても、少し我慢してソフトの仕様をじっくり考えることが大切です。仕様といっても別に誰にでもわかるきれいなものを作る必要はありません。自分が後から見てわかれば、ソフトがどのような画面でどのように動くというアイデアを文章にした程度でOK。とにかく自分がプログラミングしていくときに迷わないような手順書代わりになればいいんです。

 機能や操作方法を考えることのほかに、設定項目やソフトで作成したデータの保存形式についても考えておくと、実際にプログラミングするときに進めやすくなります。逆に全く考えていないと、機能拡張しづらくなって結局最初から作り直しなんてことにもなりかねません。WWWCのようにね…。ある程度作りこんだソフトを一から作り直すとなると、データを移行することにも気を使わなくてはならず、とても面倒です。

こんなソフトが作りたい

 今回は時計ソフトを作りたいと思います。時計ならタスクトレイにあるけど、もうちょっと機能があったらいいなと思いませんか? ということで第1作目は時計ソフトに決定。時計を見るのは時間が気になるわけだから、時間が気になるビジネスマン向けに世界時計機能を付けましょうか。日本のほかにまずはニューヨークとロンドンが表示できるようにしましょう。きっとノートパソコンで使ってもらえるハズ…と、こんな感じでどんどんほしい機能をメモっていけばいいんです。このとき誰かアイデアを相談できる人がいればすごくはかどります。思いついたアイデアをより具体的につめたり、自分では思いつかないアイデアを自分のソフトに組み込めるので、汎用的なソフトを作ることができます。

どんなソフトでも基本は同じ

 どんなソフトでもウィンドウのなかにタイトルバーがあって[閉じる]ボタンがあってと、基本的な部分はだいたい同じです。そこでプログラミング開始時に使える自分用のテンプレートを用意しておくと便利です。テンプレートの時点では、何もないウィンドウが表示されるだけのソースですが、ここからボタンやエディットなどを貼り付けて、それらに対応する処理を記述していくことでソフトができていきます。私が使用しているテンプレートをダウンロードできるようにしておきました。ただ自分が使うために作っていますので、みなさんにとって使いやすいかどうかわかりません。これを参考にして、自分なりのテンプレートを作成しましょう。

nakka用のテンプレート

ダウンロード
(13KB)

時計ソフトの制作開始

 先ほどのテンプレートを利用して、いよいよソフト制作の開始です。先ほど決めた仕様のとおりに進めていけばOKです。もちろん慣れないうちはいったりきたりを繰り返すことが多いのですが、気にしなくていいんです。ソフトを作っていく過程自体を楽しんでいるんだから、ちょっとくらい制作時間が長引いたって問題ありません。こうしてできたものがコレです。まだデジタル表示するだけで、リサイズも世界時計もない時計だけど、デザイン的には悪くないでしょう。そう、デザインが気に入らないとソフト制作にも気持ちが入らないですからね。

時計ソフトの制作開始

ダウンロード
(14KB)

 次回は今回決めた仕様を、もっと具体的に実装していきます。作っている途中に仕様変更もあるかもしれませんが、それは作ってみないとわかりません。それでは、また来週!

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