特集


iMacでWindowsオンラインソフトの動作実験!

“iMac+PCエミュレーター”でWindowsソフトはどのくらい動くか?

(00/04/25)

iMac DV(ライム)  かわいい外見にひかれて購入したiMac。とても満足しているのだけれど、時にはWindowsのゲームや最新のWindows版ソフトを使ってみたい…。こんな希望をかなえてくれるのが「PCエミュレーター」だ。iMac上でWindows 98を動かすようにできる、いわば黒子のような存在のPCエミュレーターを使えば、iMac上でWindows用のソフトを使ったり、ゲームを楽しむことができるのだ。そうなるとPCエミュレーターがどの程度実用に耐えられるのかが気になるところ。

 そこで今回、Connectix社の「Virtual PC 3.0日本語版」とFWB software社の「RealPC 1.1日本語版」という2つのパッケージ版PCエミュレーターをiMac DV(G3 400MHz)にインストールし、その中に別に用意した「Windows 98」を載せて、9種類の定番Windowsオンラインソフトがどの程度動くのかを実験してみた。なお、英語版のPCエミュレーターにはオンラインで入手できるものも存在するが、いずれもうまく動作しなかったため、今回はあえてパッケージ版を使用した。

■ PCエミュレーターを使うメリット

その1:Windows版ソフトがMacintosh上で使えるようになる

 WindowsはMacintoshと比べてオンラインソフトの種類も数も多いため、Windows用のソフトが使えるとなれば選択肢が一気に広がることになる。また、両対応のソフトでもWindows版が先行リリースされることが多く、最新ソフトを一刻も早くさわりたいMacintoshユーザーには、PCエミュレーターが必須アイテムとなるかも!?

その2:iMacで作成したホームページをWindows版のWebブラウザーでチェックできる

 ホームページは見る側の環境、特にWebブラウザーの種類によって表示が異なることが多い。そうならないためにも、ホームページを作った後はMacintoshとWindowsの両方のWebブラウザーでチェックしておきたいもの。こんなときに、わざわざ別にWindowsマシンを用意しなくても、iMac上でWindows版Webブラウザーでの表示を確認することができる。

その3:ファイル共有がとても簡単

 MacintoshとWindowsとの間でのファイル共有は、RealPCではMacintoshのフォルダをWindowsのドライブに割り当てる共有フォルダ機能を使っている。一方Virtual PCでは何とドラッグ&ドロップで実現されている。これはMacintoshとWindowsを別々のマシンで動かしているよりもはるかに簡単。小規模のLANならPCエミュレーターをインストールしたMacintoshを中心に、WindowsとMacintoshのファイルを共有するのもひとつの方法だ。

■ Windowsが動作するまで

 セットアップの流れを簡単に説明しておこう。まず初めにMacintoshにPCエミュレーターをインストールする。これでDOS/V環境が立ち上がり、WindowsフォーマットのCD-ROMやフロッピーディスクが読めるようになり、あとはPCと同じ要領でWindowsをインストールする。インストール後は、PCエミュレーターを起動すると同時にWindowsが立ち上がり、Macintosh画面の中にWindowsのウィンドウが開く。ウィンドウの中だけを見るとPCのWindowsと全く同じ構造になっており、Windowsの終了も[スタート]ボタンから[Windowsの終了]で行う。

■ よく使うソフトを試してみる

 まずは職場で毎日使うような定番オンラインソフトをインストールし、実用度と操作性をチェックしてみた。

メールソフト「Becky! Internet Mail」
~「デバイスマネージャ」のキーボード設定がポイント~

キーボード設定がポイント  まずは「Becky! Internet Mail」をインストール。試してみる前はインストール作業の途中にどこかでエラーが出たりするのではないかと勝手に考えていたのだが、拍子抜けするほどスムーズに進行。インストール前に「Lhasa」を使った解凍作業もすんなり完了し、メールの送受信についても特別な設定は不要だった。さすがに、起動やウィンドウを開くのにかかる時間はPCよりも長かったが、PCとの違いを感じたのはこの時ぐらいだ。あとは「デバイスマネージャ」のキーボード設定で「101キーボード」が選ばれていると、キートップの文字と実際に入力された文字が一致せず、「@」キーを押すと違う文字が入力されてしまうという問題があったが、これも「106キーボード」を選び直すことで解消した。

□窓の杜 - Becky! Internet Mail
http://www.forest.impress.co.jp/library/becky.html

テキストエディター「秀丸エディタ」
~[半角/全角]キーがないため入力モードの切り替えが面倒~

[半角/全角]キーがない  テキストエディター「秀丸エディタ」では、テキスト入力を中心にチェックした。その結果、英数字はスムーズに入力できたが、ひらがな入力や漢字変換ではキー入力と画面表示との間に若干のタイムラグを感じた。また、iMacのキーボードに[半角/全角]キーが付いていないため、入力モードの切り替えをマウス操作で行わなければならないのがわずらわしい。頻度の高い操作なので、キー割り当てを変更できるソフト「秀Caps」などを使ってIMEを起動するキーの割り当てを行うか、スペシャルキーの利用も考えてキーボードを交換するほうがよさそうだ。そのほか、文字入力に使われる日本語入力について調べてみたところ、Virtual PCではWindows上のIMEが使われ、RealPCではWindows上のIMEとiMac上のIMの両方を利用することができた。

□窓の杜 - 秀丸エディタ
http://www.forest.impress.co.jp/library/hidemaru.html

インターネットに便利な英単語辞書「Babylon」
~右クリックを多用するなら2ボタンマウスとの交換をおすすめ~

キーボード設定がポイント  インターネットには簡単に接続することができ、IE5でホームページにアクセスしてみたが、PCと比べて表示速度が落ちるといったようなこともなかった。そこで、右クリックで単語を翻訳するソフト「Babylon」を試してみた。シンプル操作がウリのソフトだが、iMacの標準マウスは1ボタン式のため、当然のことながら右ボタンがない。そこであれこれいじってみたところ、代用キーが用意されていることがわかった。Virtual PCでは[Ctrl]キーを押しながらクリック、RealPCでは[Command]+[R]キー、もしくはテンキーの[=]キーが右クリックの代わりとなっている。「Babylon」でもこの代用キーで翻訳操作を行うことができた。とはいえ、Windowsの右クリックになれている人にとっては、わずらわしいことに変わりはない。根本的に解決したいなら、iMacに対応した2ボタンマウスを別途購入し、標準マウスと交換することを考えたほうがよいだろう。

□窓の杜 - Babylon
http://www.forest.impress.co.jp/library/babylon.html

■ 家族みんなで使えるの?

 次に、家族みんなで一台のパソコンを共有している場合を想定し、家計簿ソフトやゲーム、MP3プレイヤーなどの動作状況をチェックしてみた。

家計簿ソフト「家計簿,出納簿ひかる」
~ママ大喜び! PCと変わらぬ快適さを実現~

PCと変わらぬ快適さ  ホームユースのソフトから、家計簿ソフトの定番「家計簿,出納簿ひかる」を選んでテストしてみた。「ひかる」はツールバーやメニューボタンが充実しており、主な作業はマウスクリックとテンキー入力だけですませることができる。そのため、マウスとキーボードの入力装置の違いを意識することはほとんどなかった。また、基本的にテキストや2次元グラフを表示する程度なので、使い心地はとても快適。iMacを操作していることを忘れそうになるほどだった。

□窓の杜 - 家計簿,出納簿ひかる
http://www.forest.impress.co.jp/library/hikaru.html

サウンドがかわいいマウスアクションゲーム「Pop Star」
~音声によるCPUへの負荷も大きな影響はなし~

PCで動かしたときとほぼ変わらないレベル  「Pop Star」は、光のステッキをマウスで動かし、上から降ってくる星を囲んで取るゲーム。ステッキを使ったときのサウンドがCPUに負荷をかけて、動作にもなんらかの影響があるのではないかと思われたが、実際にプレイしてみたところ、もともと動きがゆったりしていることもあってスムーズに動いた。ときどきもたつく感じはあるがプレイに影響はなく、PCで動かしたときとほぼ変わらないレベルだった。「Pop Star」がほぼ問題なく動作することから考えると、画面の書き換えが激しくないパズルゲームやシミュレーションゲームなら、十分楽しむことができるだろう。

□プログラムラボ / MASA2001
http://www.vector.co.jp/authors/VA018597/

3Dシューティングゲーム「イディナローク」
~3DグラフィックゲームでiMac+PCエミュレーターの限界をはかる~

3Dアクセラレーションは厳しい  「イディナローク」は、3Dの戦闘機が画面全体を動きまわり、シーンに応じて迫力のあるサウンドが流れるシューティングゲーム。これはさすがにキツイのではないかと予想していたが、やはり厳しい結果となった。Virtual PCでは操作が重くて、ゲームを楽しむといった感じではなく、RealPCでは起動するだけでもかなりの時間を要した。ここまで試したソフトは、いずれも動作は重くなりがちだったが、使用に差し支えるほどではなかった。3Dゲームのように、3DアクセラレーションやCPUパワーを必要とするソフトの場合は限界があるようだ。

□Namikaze Project
http://www.namikaze.org/

MP3プレイヤー「Winamp」
~iMac+PCエミュレーターでもクリアなサウンドを実現~

クリアなサウンドを実現  「Pop Star」でも触れたが、サウンドの再生はCPUパワーをかなり消費する。そこで、MP3プレイヤーの中から定番「Winamp」を使い、音質や再生状況がどうなるかをチェックしてみた。その結果、起動やウィンドウの表示に多少時間はかかるものの、音質が落ちるといったようなことはなく、十分満足できるレベルだった。また、再生もスムーズに行われ、途中で音が途切れたりスローダウンすることもなかったため、違和感なく使うことができた。

□Welcome to WINAMP.COM Home
http://www.winamp.com/

ペイントソフト「Pixia」
~マウスやタブレットで入力したなめらかな曲線がカクカクに~

なめらかな曲線がカクカクに  iMacでWindowsのペイントソフトを使うシーンは少ないかもしれないが、ペイントソフトは線を描く際にマウスを自在に動かさなければならないなど操作方法が独特であるため、あえてペイントソフト「Pixia」を使ってみた。基本的に2Dグラフィックしか使用しないので問題なく操作でき、Macintosh用のタブレットを使って作業することも可能だった。ただ気になったのは、マウスやタブレットで線を描くときに、あまり速く移動させると線がとぎれたり、なめらかに描いたはずの曲線がカクカクになることがあった。

□Pixia Home Page
http://www.tky.3web.ne.jp/~ikami/pixia/

■ 実際のスピードは?

ベンチマークソフト「HDBENCH」
~テスト結果は流動的、体感速度は3~4年前のPC程度

テスト結果は流動的  気になる動作スピードだが、何につけても重いというのが正直な感想だ。特に、起動時やウィンドウを開くときの動作は、3~4年前のPCを使っているようで、とても快適とはいえなかった。そこで動作速度を客観的に見るため、ベンチマークソフト「HDBENCH」を使い、パフォーマンスを測定してみた。すると、Virtual PCではCPUを「PowerPC 603e 100MHz」前後、RealPCでは「PowerPC 200MHz」前後と見なす測定結果が出た。ただし、実際に操作してみたかぎりでは体感スピードにあまり差はないように感じた。また、iMac側でPCエミュレーターのメモリ割り当てを増やし、パフォーマンスが変化するかどうかを確認してみたところ、Virtual PCではメモリを増やしてもベンチマーク結果に変化はなかったが、RealPCではメモリを増やすと数値が格段に上がった。ただしこれも体感的にはあまり変わっていないように思われた。

□窓の杜 - HDBENCH
http://www.forest.impress.co.jp/library/hdbench.html

■ iMacならWindowsのオンラインソフトが十分使える

 以上のようにオンラインソフトを試した結果、3Dグラフィックを必須とするような高いマシンパワーを必要とするものでない限り、PCエミュレーター上でWindowsソフトが問題なく動作することがわかった。また、PCで使える機能はPCエミュレーター上でも再現可能で、再起動・強制終了がPCと比べて多くなることもなかった。

 あくまでもPCエミュレーターなので、全般的に動作が重くなるという問題はあるし、キーボードやマウスといった入力環境の違いにより、買ってきたiMacそのままでは使いにくいケースがあることも事実。ただ、もう一台PCを買うことを考えれば価格的にも安く、iMac上でWindows用ソフトが気軽に使えるのは大きなメリットだ。気になるパフォーマンスの問題も、今回試したG3 400MHz搭載のiMac DVの場合では、3Dグラフィックを表示するものは実用的ではなかったが、テキストや2Dグラフィックを表示したり、サウンドを再生する程度なら特に問題はなかった。動作が安定していることも含め、十分実用レベルに達していると言えるだろう。

iMac DVと周辺機器

(小泉 茜)

トップページへ


Copyright(C), 1996-2000 Impress Corporation.
編集部への連絡は mado-no-mori-info@impress.co.jp まで