【第3回】
第1章:時計ソフトを作ろう
アイコンの作成とソフトのネーミング
(00/04/28)
みなさんこんにちは、nakkaです。新しいオンラインソフトのアイデア出てきました? さて前回は仕様どおりに制作するということで、脇目も振らずとにかく当初の予定を最優先させてプログラミングに励みましたが、オンラインソフトを実際に作成していくと、いろいろと欲が出てくるものです。新しい機能がほしくなったり、予定していた動作を変更したくなったりと、最初に仕様を作ったソフトとはずいぶんかけ離れたものになってきます。
たとえば今回のように時計ソフトだったら、指定時刻にアラームを鳴らすタイマー機能がほしいとか、時間を感覚的につかみやすくするためにアナログ表示機能がほしいとか、付けたい機能はいくつでもでてきます。仕様どおりに作ることを大切にして付けたい機能があってもぐっと我慢するか、思いつくたびに機能を追加していくかはすべて制作者次第なのですが、あまりに多くの機能を盛り込むと最終的に何のソフトか分からなくなってしまうこともあるので注意しましょう。たとえば、時計ソフトにランチャー機能があったら、時計ソフトかランチャーソフトか分からなくなって、メニューも複雑になることから結局使いにくくなる場合も出てきます。
初めから拡張性のない作りにしていると、いざ機能を追加したいときに無理に機能をつめこんでしまい、プログラムのソースが複雑になって、デバッグが思いどおり進まず、結果的にソフトが不安定になることもしばしばです。こういうわけで、プログラミング中に新しい機能を思いついたら、落ち着いてソースを見直してみることが肝心です。機能を無理やりつっこむと不具合のもとですから、思いついた機能を追加できるものかできないものか冷静に判断して、追加できるのであればどの方法が最適なのかを十分考えましょう。そうすれば、あとあともプログラムの修正が少なく、理想的なプログラムになっていくはずです。
アナログ時計表示を追加
私の場合、前回まで時計ソフトを作っていて、一番ほしいと感じた機能が「アナログ表示」です。デジタル時計だとどうしても直感的に時刻を把握できないうえに、たとえば締め切りの時間まであと何分あるのかっていう時間の幅がつかみにくいんです。だから最初の仕様は大切にしながらも、これだけはほしいアナログ時計の機能を追加することにしました。とても見やすくなったので、ぜひ試してみてください。
実はこの時計ソフト、ひみつの機能もあるんです。最近はやりというか、わりと多くのソフトで採用されているスキン機能です。0から9までの数字と「:」を描いた514×48の大きさのBMP画像をEXEファイルにドラッグ&ドロップして起動すると、デジタル表示での数字の色がカラフルになります。BMPファイルを用意するだけで、誰でも好きなフォントや色に変えることができ、もちろん手書き文字も使えます。でもなぜスキン機能の設定項目がないかというと、メニューに設定項目が多いと基本機能を使いにくくなることがあるからです。何度も設定しなくてはならない項目は、メニューからGUIで設定できるほうがいいですが、一度設定すれば使わない項目は影に忍ばせておくほうが全体として使いやすいと思います。
アイコンの作成とソフトのネーミング
プログラミングがほぼ完成したときに考えなくてはならないのが、アイコンとソフト名の決定です。GUIで動作するソフトである以上、アイコンのできばえはソフト全体のできばえに関わってくると私は考えています。ソフトのダウンロードページにアイコンを貼り付けた場合、アイコンのよしあしでソフトのダウンロードしてくれるユーザー数が変わってくることもあります。
だから私がアイコンを作成するときにポイントにしている点が3つあります。そのうちの2つは“一目で機能がわかる”ことと、“かっこいい”ことです。機能が表現されていないとユーザーがソフトを使うときにアイコンをすぐに見つけられず、またかっこわるいとインストールしたくないですからね。でも上記の2点よりもさらに重要視しているのは、アイコンに“インパクト”があるかどうかです。機能の似かよったオンラインソフトが数多くあるなかで自分のソフトを選んでもらうには、まず目立つことが大切です。たとえば「ICQ」のアイコンは花の形をしていて、機能とはまったく関係ないですが、一度見たら忘れませんよね。
また、ソフト名を考えるときも3つのポイントを決めています。一番重要と考えているのが“インパクト”で、あとは“機能がわかる”ことと“作者がわかる”ことです。たとえば「WWWC」の場合は、WWW上のホームページをCheckするという意味なので機能については何となくわかると思います。ただ、インパクトと作者がわかるかどうかについては全く含まれていませんが、まあポイントのうち1つ満たしているからよしとしましょう。なかなかポイントを全部満たすのも難しいですからね。
気に入ったアイコンとソフト名が決まっても、注意しなければならないのは、今までに発表されている他のソフトとダブっていないかという点です。アイコンの場合は自分で作ればまず同じものにはなりませんが、同じジャンルのソフトと比較しておく必要があります。ソフト名の場合はもっと慎重に決めなくてはなりません。既存の名前だと商標登録されている可能すらあって、裁判で…ということにもなりかねません。私の場合は、付けようとしているソフト名を国内と海外両方の有名検索エンジンで徹底的に調べてから公開することに決めています。というか最近決めました(笑)。なお、商標は特許庁のホームページにある「特許電子図書館」で検索できます。
□特許電子図書館トップページ
http://www.ipdl.jpo-miti.go.jp/homepg.ipdl
ウィルスチェックを忘れずに
さあアイコンもソフト名も決まって、ソフトが完成しました(ということにしましょう)。いざ公開と行きたいところですが、最後にウィルスチェックが必要です。昨年ぐらいからテレビでも幾度となく報道されていますが、最近はたちの悪いウィルスがどんどん増えています。ソフトを制作しているパソコン内にウィルスに感染しているファイルがあれば、制作したソフトもウィルスに感染している可能性があります。これを防ぐためには、最新のウィルス定義ファイルが入ったウィルス対策ソフトで、ソフト制作中もリアルタイムチェックを動かしておくことと、公開前に必ずソフトをウィルスチェックすることです。無事感染していないことを確認してからホームページで公開しましょう。最善の方法は、公開前に使用したウィルス対策ソフトと定義ファイルのバージョンをホームページに掲載しておくことです。そうすればユーザーは安心してダウンロードできると思います。ただ私の場合は、残念ながらそこまで手が回っていません。
今回で時計ソフトは終了です。次回からはテキストエディターに挑戦します。Windowsのメモ帳よりもちょっとは便利なテキストエディターにするつもりです。お楽しみに!
(nakka)