ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第80回】

「JPEG Cleaner」

余分なデータを削除し画質を落とさずファイルサイズを小さくするフリーソフト

(00/05/22)

 ホームページにアップロードするJPEG画像は、少しでもファイルサイズが小さいほうが表示に時間がかからず、訪問者にとってありがたいものだ。一般にJPEG画像は圧縮率を高めればサイズを小さくすることができるが、その代わり画質が落ちてしまうため、仕方なくサイズ優先で画質を我慢している人もいることだろう。だが元のJPEG画像によっては、画質を落とさずファイルサイズを小さくする方法がないわけではない。そこで今回は、JPEGの画質を落とさずファイルサイズだけを簡単に小さくできる「JPEG Cleaner」というソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……JPEGのヘッダーに含まれる余分なデータを削除する

「JPEG Cleaner」v1.21  「JPEG Cleaner」は、JPEGファイルのヘッダーに埋め込まれた余分なデータを削除することでファイルサイズを小さくする、一種の画像コンバーターだ。ファイルを指定して実行ボタンを押すだけで、元のJPEGファイルの画質を変化させずにファイルサイズだけを簡単に小さくすることが可能だ。Windows 95/98/2000で動作するフリーソフトで、現在作者ホームページからダウンロードできる。

 一般にJPEGファイルは、ヘッダーと呼ばれる領域にさまざまなデータを埋め込んでおくことができる。そのためグラフィックソフトやデジカメなどJPEGファイルを作成するソフトや機器が、縮小画像や撮影日時、コメントテキストなどのデータをこのヘッダー領域に付加していることがある。しかしそういったデータの中には、ごく一部の専用ソフトでしか利用されず、画像の表示だけを考えると無用なものが多い。「JPEG Cleaner」は、JPEGのヘッダーに含まれるデータのうち、画像表示そのものには影響しないいわば余分なデータを削除することで、JPEGの圧縮率を変えたり画質を落としたりすることなく、ファイルのサイズだけを小さくする仕組みになっている。

 使い方は簡単。基本操作はファイルやフォルダを指定してから[実行]ボタンを押すだけだ。通常は[Normal Mode]にしておけば、ソフトが自動的にどのヘッダーを削除するかを判断して処理してくれる。もし自分で削除するヘッダーを選びたい場合は、[Expert Mode]にすればチェックボックスにより個別指定ができる。いずれの場合でも複数のファイルを指定したり、サブディレクトリごと指定することでバッチ処理ができ、大量に保存しているJPEG画像をまとめて処理したいときは便利だ。処理結果はログ表示され、トータルで何バイト減少できたかがわかる。

ここがスゴイ!……簡単操作で効果てきめん、バックアップ設定も

削除したいヘッダーを個別に指定も可能  「JPEG Cleaner」のスゴイところは、とにかく操作の簡単さに比べて効果が大きいことだろう。変換後のファイルは元ファイルにそのまま上書きするか、元ファイルのファイル名の頭に「$_」をつけてバックアップしてから保存するか、フォルダを指定してすべて別の場所に保存するかを選択できるため、安心して使える。サブフォルダ以下をまとめて処理できるのもうれしい機能だが、心配性な人は一枚ずつ処理していくのもいいだろう。JPEG画像を一枚ずつ指定する場合は、処理後に[表示確認]ボタンを押すと、一時ファイルとして保存され、JPEGに関連づけられたソフトで開くので、処理後のJPEGを確かに表示できるかどうかを実際に確認できる。また保存前にどのヘッダーを削除したかが表示されるのもありがたい。

 実際に「JPEG Cleaner」を使って処理してみると、もともと余分なデータをもたないために変化のないJPEGファイルもあったが、ファイルによっては30%以上小さくなることもあった。もちろん画質はまったく変わらない。

こんな場合に便利……ホームページ用画像のアップロード前に

バッチ処理でサブフォルダ以下をまとめて処理  最近は大容量ハードディスクやMO、CD-Rといったリムーバブルメディアが安価に入手できるようになったため、空き容量に余裕のある人にとってこの「JPEG Cleaner」はあまり興味が湧かないかもしれない。しかし、WebページでJPEG画像を公開している人、特にギャラリー系のサイトを作っている人には、少しでもWebページの表示速度を速くするために「JPEG Cleaner」で事前処理しておくことをオススメしておく。もちろんリムーバブルメディアを持たず、JPEG画像をためこんだディスクの空き容量が気になっている人にもいいだろう。

使用上の注意は?……動作原理を理解してから使うべし、バックアップも忘れずに

 ただし、「JPEG Cleaner」が削除するヘッダー領域は、確かに画像の表示そのものには影響がない部分ではあるものの、まったく意味のないデータではないということに留意しておこう。たとえばヘッダー領域に含まれる縮小画像データを削除してしまうと、本来その縮小画像を用いる画像ビューワーなどではカタログ表示(縮小画像による一覧表示)が遅くなってしまうことがある。また、最近のデジカメではExifという規格により撮影日時やシャッタースピードなどのデータをJPEGヘッダーに埋め込むものが多いが、これらを「JPEG Cleaner」で削除してしまうと、Exif対応ソフトなどではExifデータを参照できなくなってしまう。サブフォルダ以下を一括処理するときは、くれぐれも本当に処理して大丈夫な画像かどうかをきちんと確認してから行うか、バックアップをとる設定にしてから行おう。

【著作権者】伊月 めい 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.21(00/05/20)

□SMALL CALL
http://www.c-5.ne.jp/~itsuki/

(ひぐち たかし)

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