【第84回】「Sirius NetKids System Monitor」
オンラインサポートや端末監視に！ システム情報や画面をWeb公開するサーバー
（00/06/19）パソコン経験の浅い人からパソコントラブルの相談を受け、困った経験はないだろうか。自分が出向いて行って直接問題のPCを見られるならまだしも、距離や時間的な事情からやむを得ず電話で教えるような場合、どんなソフトがインストールされていてどんなソフトが常駐しているのか聞き出すのにさえ時間がかかり、もどかしい思いをするというのはよくある話だ。そこで今回は、インストールしたPCのデスクトップ画面やさまざまなシステム情報をWebで簡単に見ることができるという、オンラインサポートやシステム管理に便利なソフトを紹介しよう。
どんなソフト？……PCのシステム情報やデスクトップ画面を公開するWebサーバー
「Sirius NetKids System Monitor」は、インストールしたPCのシステム情報やデスクトップ画面をWebに公開する、一種のWebサーバーソフトだ。起動しておくとそのパソコンについて、メモリやドライブ、ネットワーク環境や実行プロセスなどの各種システム情報と、現在のデスクトップ画面を自動的にHTML化し、同時にWebページとしてインターネット上に公開する。つまり、システム情報を見たいPCに「Sirius NetKids System Monitor」をインストールすれば、別のPCからIEやNetscapeなどのWebブラウザーを使って簡単に閲覧できるのだ。閲覧する側のPCにはWebブラウザーのほかに特別なクライアントソフトのインストールを必要としない点もポイント。「Sirius NetKids System Monitor」を複数のPCにインストールしておけば、一台のPCで複数のPCのシステム情報を監視することもできる。
公開されるシステム情報は細かく多岐にわたる。例えば物理メモリや空きメモリなどのメモリ情報、全HDD容量や空きHDD容量などのドライブ情報、通信量やMACアドレス、IPアドレスなどネットワーク関連の情報、現在開いているウィンドウタイトルなどのウィンドウ情報、実行中のプロセス名やDLLモジュールのバージョン、インストール済みソフトウェアの情報、OSのバージョンや環境変数などなど。これらの各種システム情報がグラフや一覧表として表示されるため、トラブルの原因をより早く調べられるだろう。
もちろんシステム情報をWebブラウザーで誰でも閲覧できるようになるため、プライバシーやセキュリティの問題は気になるところだ。「Sirius NetKids System Monitor」では、ポート番号を特に指定しない通常のWebアクセスではシステム情報が表示されないよう、使用ポート番号がhttpで一般的な80ではなく、7080が標準値となっている。またポート番号は設定で任意の値に自由に変更することもできる。このようにポート番号を適宜変更した上で、さらにこのソフトを常時起動するのではなく必要な時だけ起動するようにすれば、ポート番号を教えていない第三者に“覗き見”される可能性は低いと言っていいだろう。
使い方は非常に簡単で、基本的にはインストーラーにしたがってインストールし、起動しておくだけ。ポート番号を標準値の7080以外に変えたい場合は、タスクトレイのアイコンをクリックしてオプションメニューからポート番号を変更しておこう。なお設定変更後は「Sirius NetKids System Monitor」を再起動する必要があるので注意。あとは先ほど設定したポート番号と、動作させるPCのIPアドレスを組み合わせて「http://IPアドレス:ポート番号/」というURLをWebブラウザーに入力してみよう。サーバーになったPCについて、現在のデスクトップ画面の縮小画像や、システム情報などの一覧がWebページで表示されるはずだ。
「Sirius NetKids System Monitor」のスゴイところは、さまざまなシステム情報を外部から簡単に一覧できるという点にあるだろう。PCの動作にかかわるシステム情報は通常、いろいろなウィンドウを開いたりメニューをたどったりして調べなければわからない。たとえば空きメモリ状況ならシステムツールのシステムモニター、ドライブ情報ならマイコンピュータから各ドライブのプロパティ、インストールソフトならコントロールパネルの[アプリケーションの追加と削除]を開いて、プロセス情報ならKernel Toysをインストールして…などと、情報を調べるための操作がまちまちだ。冒頭に書いたような電話サポートの場合、こういった操作を一つ一つ指示して調べていくと、それだけで非常に時間がかかってしまう。しかしこのソフトなら、起動しておくだけで外部からホームページを見るような感覚で必要なシステム情報を簡単に閲覧できる。
会社や大学などでネットワーク管理者やパソコン管理者などが電話でサポートを行うような場合で、電話でのやりとりだとらちが明かないようなとき、相手に了解を得た上でこのソフトを使ってもらうと良さそうだ。特に会社内のパソコンなど、プライバシーをあまり気にする必要がなく業務が優先されるような環境では、パソコンサポートをする側にとって重宝するだろう。
また少々特殊な使い方としては、デスクトップ画面の閲覧ができるため、パソコン研修や学校の授業などで“余計なこと”をしている生徒がいないかどうかをときどきチェックといった、端末監視の用途にも使えるだろう。ただしその場合は、すべてのパソコンをTCP/IPのネットワークでつなぎ、監視される側のPCそれぞれに「Sirius NetKids System Monitor」をインストールして動作させる必要がある。
このソフトの最大の長所、すなわち“システム情報をWebブラウザーで簡単に閲覧できる”という点は、セキュリティとプライバシーの面で言えば最大の欠点でもある。すでに述べてきたように、ポート番号を変更したり必要な時だけ動作させるということに気を付けていても、それで十分とは決して言えない。特殊なポートスキャンソフトなどによる悪意ある不正アタックを受ける可能性もゼロではないからだ。ダイヤルアップ接続の個人ユーザー同士が短い時間に一時的に利用するような場合や、企業などの厳重なファイヤーウォール内でのみ利用する分にはまず問題はないと思われるが、使い方は十分に気を付けたい。
もちろん利用する当事者同士においてもプライバシーの問題があるため、パソコンサポートに使う場合も、端末監視に使う場合も、どういった情報が公開されるのかを事前に互いに了解を得た上で利用するべきだろう。
なお、編集部で試した限りでは、環境によってWebブラウザーで表示をリロードしてもデスクトップ画面の画像が更新されないことがあったので注意。
【著作権者】（株）シリウス
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.00（00/05/09）□ネットワーク管理ツール 「Sirius NetKidsシリーズ」
http://www.siriusnetkids.com/
（ひぐち たかし）
