【第87回】
「PS-PLAYER」
PHS用の着メロデータとMIDIを再生・相互変換するプレイヤー兼コンバーター
(00/07/10)
利用者数ではすっかり携帯電話に水をあけられてしまった感もあるPHSだが、料金の安さや音質の良さ、データ通信速度など、PHSならではの魅力からあえてPHSを選んでいる人もたくさんいることだろう。しかし、携帯電話に比べれば利用できる着メロサービスや着メロサイトはまだまだ少ない。そこで今回は、本来互換性のないPHS各社の着メロデータを相互変換したり、MIDIから変換して着メロにできるというPHS専用の着メロソフトを紹介しよう。
どんなソフト?……PHS用の着メロデータとMIDIを再生・相互変換
「PS-PLAYER」は、PHS用の着信メロディデータやMIDIデータをPC上で再生・相互変換するプレイヤー兼コンバーター。DDIポケットやNTTドコモ、アステルなど各社PHS用の着メロデータやMIDIファイルを読み込み、パソコン上で再生したり、単音のメロディに自動で伴奏をつけて再生することができる。読み込んだメロディからはサビなど一部分だけを取り出して保存することも可能だ。また読み込んだデータ形式とは異なるデータ形式で保存して相互にデータ変換することもできる。Windows 95/98で動作するフリーソフトで、現在作者のホームページからダウンロードできる。
「PS-PLAYER」が対応している着メロは、DDIポケットのPメロディ、NTTドコモのきゃらメロディ、アステルのMOZIOメロディ。Pメロディでは、PメールDXのインターネットメールに添付されるALSファイル(*.ALS)をそのまま再生できる。きゃらメロディの場合は、きゃらメロディ方式で書かれたテキスト形式のファイル(*.cmd)を読み込んで再生する。またMOZIOメロディの場合は、同じ作者の公開しているフリーソフト「AN-X30」を使い、アステルのPHSから受信したMOZIOメロディファイル(*.mmd)を再生できる。そのほか標準MIDIファイルや独自フォーマットのMML(Music Macro Language)ファイルを読み込んで再生することができる。
これらの着メロデータやMIDIファイルは、読み込んで再生した後、各形式で書き出すことができるので、コンバーターとしても利用できる。書き出した着メロデータはPHSの機種ごとに決められた手順でPHSに転送すれば、簡単に着メロとして利用できる。たとえばDDIポケットのPメロディやNTTドコモの623Pの場合は、保存したファイルをメールに添付し、PHSのメールアドレス宛てに送信すればよい。NTTドコモのきゃらメロディの場合は、保存したファイルをメモ帳などで開いて、内容をコピー&ペーストでEメールの本文に貼り付け、きゃらメールのメールアドレス宛てに送信するといった具合だ。ただしDDIポケットのPメロディやNTTドコモの623Pについては、PHS側で正しく受信できるように、最初にメールソフトのファイルタイプを設定しておく必要がある。ファイルタイプの設定ができないメールソフトの場合は、ヘルプに方法が記載されているので参照しよう。
「PS-PLAYER」では、和音の含まれたメロディデータから任意のパートを取り出したり、メロディの一部分だけを取り出して保存するといったことも可能だ。曲の再生中にウィンドウ内に表示される“カウンタ値”を見て取り出す範囲を決め、保存時に開始と終了の“カウンタ値”を入力すれば、その部分だけを保存できる。MIDIファイルからそのまま変換すると、着メロデータの制限サイズを越えてしまう場合があるが、サビの部分だけをうまく取り出せばそういった心配もなくなるというわけだ。このほか、ファイル変換の詳細設定で[単音メロディーに伴奏を付ける]オプションを選ぶと、単音メロディに伴奏を自動でつけて再生してくれる。シンプルな単音の着メロを和音にできる面白い機能だ。
ここがスゴイ!……MIDIファイルからの部分読み込みと自動伴奏付加
「PS-PLAYER」のスゴイところは、各社PHS用の着メロデータを簡単に相互変換できるというのはもちろんだが、なによりもMIDIから部分的なメロディ読み込みができることが挙げられるだろう。インターネットなどでフリーで公開されているMIDIファイルから、いとも簡単に着メロを作れてしまう。しかも和音データから主旋律を取り出し、サビの部分だけを選んで着メロにするといったことが簡単にできてしまうのだ。
また非常にユニークなのが自動伴奏付加機能だ。単音メロディに自動的に和音の伴奏をつければ、まだまだ公開データの少ない和音の着メロが誰でも簡単に楽しめる。和音の着メロに慣れてしまうと単音の着メロはいかにも素っ気なく感じてしまうものだが、自分で単音メロディを作った場合でも「PS-PLAYER」で伴奏をつけてから着メロに設定すれば、十分に“サマになる”だろう。
こんな場合に便利……着メロの交換や自作の着メロをWebで公開したいときに
契約しているPHS会社の違う友達同士で着メロを交換したいときや、異なるPHS機種向けの着メロサイトから着メロデータを流用したいときはもちろん、気に入っている手持ちのMIDIファイルを手軽に着メロに設定したいときなどに便利だろう。また、自作の着メロデータをMIDIファイルや他の着メロ形式に変換すれば、Webで公開して多くの人に聴いてもらうこともできるだろう。
使用上の注意は?……着メロの新規作成はできない、623Pのエフェクトは無効
基本的にこのソフトは、着メロ作成ソフトではなく、再生と形式変換を行うためのソフトであることに留意しておこう。このソフトだけを使って一から着メロデータを作成、つまり作曲することはできない。MIDI作曲ソフトなどを使うか、このソフトがサポートしているMMLを覚えてメモ帳などで作成する必要がある。同じ作者が公開している着メロ作成ソフト「MELODY NOTE」を使ってもいいだろう。そのほか、623P用の着メロデータの場合、623P独自のエフェクトなどは無視されることにも注意しよう。また、着メロデータを他人に配布する場合は音楽著作権にも十分気を付けよう。
【著作権者】APO 氏
【ソフト種別】フリーソフト(要メール)
【バージョン】4.00(00/07/07)
□PHSをちょい研究!
http://www.asahi-net.or.jp/~wj3a-fji/phs/phs_menu.html
(ひぐち たかし)
お詫びと訂正:
記事掲載時に「アステルのPHSからインターネット経由で受信したMOZIOメロディファイル」とお伝えいたしましたが、「アステルのPHSから受信したMOZIOメロディファイル」の誤りです。また、「ASLファイル」とお伝えしましたが、正しくは「ALSファイル」です。お詫びとともに訂正させていただきます。