Winゲームデモ!


【第93回】

ネットワーク対応マルチプレイRPG「風の王国」

いま、韓国製ネットワークRPGの風が吹く

(00/08/02)

タイトル画面

 ネットワーク対応のマルチプレイRPGというと、どんなタイトルを思い浮かべるだろうか。「ディアブロ」や「ウルティマオンライン」? 筆者の場合は「レジェンド・オブ・ケズマイ」だが、いずれにしても欧米でデザインされた西洋的ファンタジーになるかと思う。実際これらはみな傑作で、完成度も高かった。しかし今回紹介する「風の王国」は、古代朝鮮半島を舞台にした東洋的なファンタジーRPGだ。本場韓国では絶大な人気とのことだが、さてその内容はいかに?

三国時代の朝鮮半島で生きる

自分の分身となるキャラクターを作る
自分の分身となるキャラクターを作る。神獣から守護神を選ぶあたりが、なんとも東洋っぽい

 「風の王国(The Kingdom of The Winds)」は、韓国のマンガ家キム・ジン氏が「デンギ」という雑誌に連載しているマンガを原作にしているとのこと。筆者は原作を読んだことはないが、絵を見る限りでは線の細い少女マンガ系の作品で、美形のキャラがたくさん登場しているようだ。ストーリーの背景となるのは、朝鮮半島に高句麗、百済、新羅が成立した三国時代。4世紀~5世紀ごろで日本では飛鳥時代初期、ちょうど仏教が伝えられたころに当たる。プレイヤーは高句麗、もしくは扶余国の住民としてこのゲームに参加し、自らの目指す「道」を見つけるのが目的だ。なお「風の王国」は現在無料でプレイすることができるが、近い将来有料化が予定されている。

「初心者の部屋」で操作の基本を学ぶ

高句麗城内の宿場に集うプレイヤーたち
高句麗城内の宿場に集うプレイヤーたち。わからないことがあったら、どんどん質問してみよう。ただし礼儀を忘れずに

「ネズミの洞窟」で腕試し
「ネズミの洞窟」で腕試し。無理せず、早めの体力回復を心がけること

 ゲームのクライアントソフトは、「風の王国」のホームページからダウンロードすることができる。ただこのとき、住所・氏名・電話番号を含むデータを入力して、会員登録を済まさなければならない。いずれ有料化が決まった際に、このデータを元に連絡するつもりなのだろう。クレジットカードの番号を求められることはないが、登録フォームが暗号化されていないのがちょっと気になる。参加者のプライバシー保護のためにも、早急な改善を望みたい。

 インストールを済ませたら、ゲームを起動し、まず最初にキャラクターを作成する。キャラクターの国籍は、高句麗と扶余のどちらか一方に。守護神は、朱雀、玄武、白虎、青龍の4つの中から選ぶ。選んだ守護神によって何がどの程度変るのかは、謎に包まれている。キャラクターが誕生すると、最初は「初心者の部屋」と呼ばれる場所から始まる。ここではキャラクターの操作方法やアイテムの使い方などを順に教えてくれるので、マジメに付き合ったほうがいいと思う。ちなみに、キャラクターの移動はカーソルキーで操作。[Enter]キーを空打ちすると、チャット用の入力窓が開く。このゲームにはRPGの名作「ローグ」並の豊富なショートカットキーが用意されているが、慣れないうちは無理せずマウスを使ってコマンドを実行したほうが楽だ。

 無料公開中ということもあって、参加者は結構多い。さすがに昼間はまばらだが、夜11時を過ぎてテレホーダイタイムに入ると、街の宿場周辺はびっしりとキャラで埋めつくされる。参加者の評判も上々で、結構はまってプレイしている人も多い。


高句麗全図を眺める
高句麗全図を眺める


転職は慎重に

レベルが5になったら、4種類の中から好きな職業を選んで転職
レベルが5になったら、4種類の中から好きな職業を選んで転職。筆者は魔術師を選んでみたのだが…
 ゲーム序盤のプレイの流れを説明すると、まず最初は「初心者の狩り場」と呼ばれる場所で動物を狩りながら経験値を貯める。1匹につき10ポイントが手に入るリスを中心に、ウサギを混ぜるといいだろう。ウサギを倒した後に手に入る肉塊は、回復にもってこいのアイテムだ。こうしてレベルを上げたら、次にシカを狙う。鹿の角はそこそこの価値があるので、これを高句麗城内の南西部にある故買屋で売却し、お金をゲット。故買屋の近所には服や剣、ヘルメットなどを売る店もあるので、必要なものを買い揃えて行く。なお、最初に入ることができるダンジョンは、城内の西側にある「ネズミの洞窟」だ。

 レベルが5になったら、いったん冒険を止めて“職業”を選ぶ。「風の王国」には、戦士、義賊、魔術師、仙人の4種類があるが、一度職業を決めると変更することができないので慎重に選ぶこと。望む職業によって、転職を願い出る場所も異なるので、こちらも注意すること。いずれの職業にも長所と短所があるが、単独での戦闘が不向きな仙人は、どちらかというと上級者、もしくはパーティプレイ向きのキャラだと思う。無難にレベルを上げたいのなら、戦士がいいかもしれない。ちなみに筆者は魔術師を選んでみたが、まだ強力な魔法が使えないので苦労の連続だ。戦士か義賊にすればよかったカモと、ちょっと後悔している。

チャットや掲示板で仲間を作るべし

小銭を稼いだら、城内のショップで武器や防具を買い揃える
小銭を稼いだら、城内のショップで武器や防具を買い揃える。ただし手に入るのは安物ばかり
 なんせまだようやくレベル7になったばかりなので、このゲームの全体像について語ることはできない。正直、今後どんな冒険が待ち受けているのか、見当もつかない状態だ。しかし、ゲームバランスは悪くないと思う。転職するまでの間は単調な経験稼ぎを繰り返さなければならないが、そう長い時間ではない。ゆっくりレベルを上げながら、ゲーム内のチャットや掲示板で仲間を作り、ゲームの情報を教えてもらったり、余ったアイテムを譲ってもらうといいだろう。どの職業を選んでも、単独プレイではいずれ限界にブチ当たる。信頼できる仲間を見つけてこそ、このゲームの真のおもしろさを体感できるのではないか。

ふと感じる懐かしさ

ゲームプレイ中に、シームレスに掲示板を読み書きできるところが便利
ゲームプレイ中に、シームレスに掲示板を読み書きできるところが便利。これはいいシステムだ
 うーむ。このゲームをプレイしていると、なんというか、妙に懐かしい気持ちになる。10年ちょっと前。そう、ちょうどPC-9801が全盛だった時代の国産ゲームに、どことなく似た雰囲気を感じるのだ。たとえばキャラクタのデザインや色使い、BGMなどが、あの当時人気を集めていたアクションRPGを思い出させる。そのせいか、移植版であるにもかかわらず、実にすんなりとプレイに没頭することができた。もちろん、丁寧に日本語化されているのも、その理由のひとつだろう。ゲームの舞台が古代朝鮮であることを除けば、これが海外の作品であるとは思えないぐらい自然だ。

 アメリカ製の派手なネットワークRPGも悪くはないが、ジャパニメーションと2Dゲームキャラで培われた文化を素直に引き継ぐなら、こういうスタイルのほうが、自然かもしれない。ひょっとするとこの10年間、日本のゲーム業界はハードウェアの進歩に振り回され、自分たちならではのスタンスを見失っていたのではないか…なんて思ったりもする。

プレイに制限のないプレリリース版

“平日の深夜だというのに200人近くが参加していた
いま誰がアクセスしているのかも、一目瞭然。平日の深夜だというのに200人近くが参加していた
 今回紹介した「風の王国」は、“デモ版”というよりも、まもなく開始される予定になっている有料サービスのPRを兼ねた、プレリリース版といった感がある。プレイに制限はなく、その気になれば相当先まで進むこともできる。実際、コミュニティで知り合った人の中には「オイオイ、いったいどこで手に入れたんだ?」という、レアアイテムで全身を固めた高レベルのプレイヤーもいた。ちまちま機能を制限するのではなく、商品をドンと丸ごと公開し「ま、気に入ったら有料になっても遊んでくれよ」と言わんばかりの姿勢は、アッパレというほかない。サービス内容に自信があるからこそできる、究極のデモンストレーションだと思う。

 なお気になる有料化についてだが、8月21日より有料サービスがスタートする。「風の王国」のホームページに掲載されている情報によると、料金は月額1,000円で、クレジットカードや銀行振り込みによる決済を準備しているとのこと。ゲームをプレイするためのクライアントソフトは、今後もフリーで提供され、ゲームを開始した月は無料でプレイすることができる。

発売元ネクソンジャパン
価格1,000円/月
発売日8月21日

(kaze467.exe、12.2 MB、ゲームデモ)

□「風の王国」のホームページ
http://www.nexon.co.jp/kaze/

(駒沢 丈治)


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