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NURBSやメタボールが使える3D CGソフト「NfModeler」v1.10

複数のモデリング手法が選べる高機能3D CGソフト

(00/08/15)

複数のモデリング手法が選べる3D CGソフト

「NfModeler」  3D CGのオブジェクト制作には、ポリゴン(多角形)をつなぎ合わせて成型する手法やスプラインと呼ばれる関数曲線を組み合わせて面を貼る手法、メタボールと呼ばれる球状のオブジェクトを組み合わせて成型する手法など、いくつものアプローチがある。大まかに分けると、くっきりしたエッジを表現したい場合にはポリゴン、有機的で滑らかな曲面を表現したい場合にはスプラインやメタボールが向いていると一般的には言われている。

 「NfModeler」はポリゴン(本ソフト内ではポリメッシュと呼ばれる)、スプラインの一種であるNURBS、メタボールによるモデリングと、オブジェクトのレンダリング、仮想空間を移動するウォークスルーアニメーションを作成できる3D CGソフト。非商用目的にのみ利用できるシェアウェアだ。

NURBSモデリングとメタボールモデリング

NURBSによるモデリング  「NfModeler」の最大の特長は、NURBSによるモデリングをサポートしている点だ。NURBSとは“Non Uniform Rational B-Spline”の略で、自動車など工業製品用のモデリングソフトに多く使われている曲線・曲面のこと。形状をコントロールする制御点(コントロールポイント)が少なくても正確な形状をつくれるという利点がある。市販の3D CGソフトでもNURBSモデリングをサポートするものはあるが、プロ向けの高価な製品であることが多い。この点で「NfModeler」は、フリーの3D CGソフト「Blender」とともに、低価格でNURBSモデリングをサポートしているという点で、特筆すべきソフトだ。

 NURBSモデリングでは、球や三角錐といった“プリミティブ”と呼ばれる基本的なオブジェクトも、NURBSで作られたものがはじめから用意されていて、プリミティブ同士を組み合わせたり、プリミティブの制御点を移動したりして、オブジェクトの形状をつくりあげることができる。そのほかにも、ポリゴンでできたプリミティブやポリラインと呼ばれる直線でつくられたオブジェクトをNURBSに変換する機能を備えている。通常NURBSの制御点はオブジェクトの表面から離れてしまうが、「NfModeler」ではポリゴン、ポリラインからNURBSに変換する場合に、オブジェクトがもともとの制御点から離れないモードや、オブジェクトの形状を変化させずにNURBSに変換するモードを選択できる。オブジェクトの形状を整える機能としては、制御点を直接移動するほかに、ねじる、まげる、先細りさせるなどといったコマンドが用意されている。また、曲面だけでなくエッジを立てたい部分を明示すれば、角張った形状の作成も可能だ。

 NURBSモデリングのほかに、3D空間上で互いに引き合って融合したり反発し合うようなオブジェクト“メタボール”によるモデリングも可能だ。メタボールを使うと、複数の水滴や水銀の球をひとつに合わせたとき、表面がなめらかに融合するようすをうまく表現できる。「NfModeler」には球状のメタボールだけでなく、楕円状、円柱状などのメタボールが用意されている。メタボールでつくられたオブジェクトを、視界に入る光線の軌跡をシミュレートするレイトレーシング以外の手法でレンダリングする場合は、通常は一旦ポリゴンに変換する必要がある。そのため、レンダリング時にメタボールを必ずポリゴンに変換するソフトも多いが、ポリゴンの分割数が少ない場合に表面がカクカクした状態になってしまう。「NfModeler」のレンダリングでは、メタボールの状態のままでレイトレーシングによってレンダリングできるので、このような形状の変化が抑えられる。

OpenGL対応の3Dビュー上で3Dペイント可能

ウォークスルーアニメーション  オブジェクトのモデリングや配置を確認する3Dビューは、分割できない1画面タイプで、マウスドラッグで視点を回転できる。3D表示のAPIはOpenGLで、使用中のビデオカードがハードウェアアクセラレーションに対応していれば、快適に動作する。この3Dビュー上では、モデリング、レンダリングのほかに、VRMLのように仮想空間を移動するウォークスルーアニメーションをつくることも可能だ。また、3Dビュー上でオブジェクトの表面をペイントソフトのようにマウスでなぞって着色する3Dペイント機能も搭載されている。この3Dペイント機能は、市販ソフトでもなかなか備えていない機能だ。

 操作体系に目を向けると、コマンド操作はおもにウィンドウの左右上下に配置されたツールバーから行う。オブジェクトの移動、回転や配置など、ほとんどの操作は数値で正確なパラメーターを入力できる。また、3D CGソフトではコマンド名が英語の場合が多いが、「NfModeler」では「分割」「切断」「ねじる」「つまむ」など日本語のコマンド名が多く採用されているのもわかりやすい。

 筆者が操作性の面で気になったのは、キーボードショートカットが少ないこととメニューの階層が深いことの2点だ。モデリング時にはなるべくソフトの操作のことを頭から排して、自分のイメージをオブジェクトにストレートに反映させたいものだ。しかし、キーボードショートカットがないといちいちメニューにカーソルを合わせて階層を下って…という作業が入り、思考が中断してしまうことが多い。「NfModeler」にはよく使うメニューをツールバー上にボタンとして配置するカスタマイズ機能があるので2点目の階層の深さは克服できるのだが、キーボードショートカットもカスタマイズできる機能もほしいところだ。

【著作権者】(有)ストーンブレイン
【ソフト種別】シェアウェア 3,045円
【バージョン】1.10(00/08/14)

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http://www.stbrain.com/

(望月 貞敏)

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