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【第95回】

麻雀シミュレーション「雀道V」

初心者でも楽しめるカンタン麻雀ソフト

(00/08/16)

タイトル画面

 どんなものでも、極めればそこに「道」がある。麻雀もまた然り。どのように役を育て、どのように牌を打つかは、まさに人生の縮図といってもいい。作家の阿佐田哲也は、その著書「麻雀放浪記」の中で「奴は死んだ…つまり、負けたんだ。負けた奴は裸にならなくちゃいけねいさ」と書いた。たかが麻雀。されど麻雀。「勝負する以上は、常に本気で挑め」ということなのだろう。これはこれで、なかなかカッコいい。

 とはいっても、麻雀もまたゲームなのだから、気楽に楽しみたいときもある。スリリングな対戦もいいが、ちょっとした暇つぶしに打ちたいときもあるだろう。というわけで、今回は一人でも気楽にプレイできる麻雀シミュレーション、システムソフトの「雀道V」を試してみた。

定番ソフトの最新作

メインメニュー
メインメニュー。モードごとに雀荘の名前が違っているところがおもしろい

 麻雀のもつ真のおもしろさは、なんといっても、人間相手の駆け引きだ。たとえば、ここ一番の大勝負に強気で危険牌を打つか、それとも安牌を切ってベタ降りするか。共に卓を囲む3人の打ち筋や性格を読み、一手一手を瞬時に決めていかねばならない。勝ち方もさまざまだ。小さなアガリでコツコツ点を稼ぐ人もいるし、大物を一発狙いする人もいる。麻雀は結果が全てであり、勝った者が常に正しい。

 それゆえ、麻雀はコンピューター化が難しいゲームでもある。単に確率だけで決まるのではなく、プレイヤーの心理が勝負の流れを大きく変えるからだ。理論では割り切れない哲学や美学があるからこそ、アルゴリズムを組み立てにくいのだろう。今回紹介する「雀道V」は、こうした麻雀の難しさ、そして奥の深さをできるだけリアルに再現することを狙った作品だ。これまでも「雀道」シリーズはPC用の麻雀シミュレーションの秀作ソフトとして高い評価を受けてきたが、その最新作「雀道V」のできはどうだろうか?

チュートリアル完備で初心者でも安心

有効にしたいものと無効にしたいものを指定可能
さまざまな役の中から、有効にしたいものと無効にしたいものを個別に指定可能

 ダウンロードしたファイルを実行すると、「雀道V体験版」というフォルダが生成される。この中の「Jandou5」というアイコンをダブルクリックすると、デモ版が起動する。システムにインストールすることなく、手軽に試せるのはありがたい。またデモ版が不要になったらフォルダごと削除してしまえばいいため、扱いも楽だ。「雀道V」に限らず、すべてのゲームソフトがこうならいいのにと思う。

 さて、ゲームが始まったら、まず最初にユーザーの登録を行う。デモ版で用意されている「顔」の画像は男性のもの1点しかないので、これを選ぼう。名前を入力し、必要なら性別や年齢、音声ファイルを指定する。メインメニューは大きく5つに分かれているが、このうちデモ版で選べるのは“雀荘「憩い」”“雀荘「都の西北」”“初心者倶楽部”の3カ所。すでに麻雀のルールを知っている中級以上のプレイヤーなら“雀荘「憩い」”を、麻雀のルールや役づくり、点数計算に自信のない初心者なら、とりあえず“初心者倶楽部”を選ぶといいだろう。“雀荘「都の西北」”については、後ほど改めて説明したい。

 “初心者倶楽部”では、麻雀のルールや遊び方、そして役の作り方や点数計算について勉強することができる。麻雀はとてもルールが複雑なテーブルゲームなので、独学で覚えるのは大変だ。「雀道V」に用意されているヘルプとドリル形式で学ぶ点数計算は、ルールを学ぶうえでとてもいい教材になる。ひととおりルールを覚えたあとは、模擬戦で腕を磨こう。状況に合わせて何をすべきか的確にアドバイスしてくれるため、何度か繰り返しているうちに打ち方や役の作り方など、麻雀の基礎の基礎を身につけることができるだろう。

 “雀荘「憩い」”のほうは、ある程度打てるプレイヤーがゲームを楽しむための場所だ。登録されているキャラクターの中から3人を選び、自分を含めた4人で卓を囲む。後は実際の麻雀と同じようにシャイツ(サイコロ)を二度振りして場所と風を決め、対戦に入る。ルールは標準的なアリアリで、ヤキトリ、割れ目、ウマはなし。配給原点25,000点の30,000点返し。もちろん、必要ならカスタマイズすることも可能だ。


アドバイス機能を使えば、次に切る牌や哭くタイミングを教えてもらえる
アドバイス機能を使えば、次に切る牌や哭くタイミングを教えてもらえる


日本全国のローカルルールに対応

実際にプレイしながらルールを覚える
“初心者倶楽部”では、実際にプレイしながらルールを覚えることができる
 ところで、麻雀のルールは場所によって大きく異なる。一応競技用のルールはあるのだが、膨大な数のローカルルールが存在し、極端な話、囲まれている卓ごとに違うといっても過言ではない。筆者が通っていた千葉の大学ではクイタン、クイピン、サキヅケ(アトヅケ)、カンウラなしの穏やかなルールだったが、最近は負けるときはトコトン負け、勝つときはトコトン勝つ、なんでもアリのインフレ麻雀が主流になりつつあるし、関西では赤ウーピンが使われるとも聞く。したがって、自分がふだん打っているルールと同じか近いルールでなければ実践的なトレーニングにはならないし、カンをつかむのも難しいわけだ。

 「雀道V」ではこの点に注目し、さまざまなルールに対応している。個別のアガリ役の有効無効はもちろん、オリジナルの役を登録することもできる。“ヤキトリ”や“ウマ”、原点など点数関係の設定も変更可能だ。また、メインメニューから“雀荘「都の西北」”を選べば、北海道から九州まで日本各地のローカルルールでプレイすることができる。仲間内で打つ麻雀とは一味違うゲームを、手軽に体験できるのも楽しい。

場所を選ばずどこでもプレイ

麻雀のルールと遊び方を簡潔にまとめたヘルプ
麻雀のルールと遊び方を簡潔にまとめたヘルプ。ドリル形式で学ぶ点数計算も役立つ
 定番のシリーズだけあって、「雀道V」は細かいところがよくできている。まず第一に、フル画面表示ではなくウィンドウ表示でプレイできること。他のアプリケーションと同時に動かすことができるため、たとえばファイルをダウンロードしている間の暇つぶしやチャットのバックグウンド、仕事の合間(?)など、場所を選ばずに楽しめるところがいい。

 マウスとキーボードを併用する操作も、シンプルでわかりやすい。パッドを使うコンシューマー系の麻雀ゲームより楽に牌を打てるし、ノートパソコンでプレイする場合はカーソルキーを使ってサクサク楽しめる。画面の解像度に合わせて、卓のサイズを大・中・小の3段階に切り替えられる点も重宝だ。

なんでもアリの豊富なオプションが魅力

アガリ点の計算と点棒の移動は、こんな感じで行われる
アガリ点の計算と点棒の移動は、こんな感じで行われる
 完成度はとても高い。没頭してプレイするというタイプのゲームではないが、一度始めるとついついあとを引くおもしろさがある。デモ版では中級レベルまでしか試すことができないため、コンピューター側の実力を試すことはできなかったが、中級レベルでもそれなりに打ち筋がよく、緊張感のあるプレイを楽しむことができた。オプションも豊富で、BGMやアニメーションの設定、メッセージやアドバイスの表示を好みに合わせて変更できる点もよくできている。

 しかし、全体的にこじんまりとまとまり過ぎて、ゲームとしてのインパクトに欠けるのも事実だ。もしキャラクターの個性を重視するのであれば、「ぎゅあんぶらあ自己中心派」のような派手な演出があってもいいと思うし、逆に正統派を目指すのであれば余計な遊びは一切取り払い、思考ルーチンの鋭さ第一にしてもよかったのではないか? 初心者から上級者まで楽しめるバランスのよさは素晴らしいが、このゲームならではの個性が欲しかった。前作「雀道4プロフェッショナル」との違いが、ほとんど感じられなかったのも残念だ。

初心者用の教材としても使える

日本各地のローカルルールに対応
日本各地のローカルルールに対応している点も「雀道V」の魅力
 デモ版でプレイできるのは、東場のみ。もっともレベルが高い上級者用の雀荘「トップ」と、ネットワーク対戦用の雀荘「四連刻」への入店もできない。登場するキャラクターも4人に制限されている。ちょっぴり制限が厳しく感じるが、とりあえずはこのゲーム「雀道V」の基本的な機能を試すことはできるだろう。ヘルプ機能やアドバイス機能は製品版とほぼ変らない内容なので、麻雀のルールや役、点数計算を学ぶ教材としても役立つに違いない。なお製品版はすでに発売中で、価格は9,800円。Windows 95/98のほか、Windows 2000にも対応しているとのこと。

発売元(株)システムソフト
価格9,800円
発売日発売中

(JD5trial.exe、13.0MB、ゲームデモ)

□「雀道V」のホームページ
http://www.systemsoft.co.jp/game/products/jd5.html
□「雀道V」のダウンロードページ
http://www.systemsoft.ab.psiweb.com/AM/LIB/JD5trial.html

(駒沢 丈治)


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