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フリーで高機能な汎用2次元CAD「HO_Cad」v1.32

JW_CADと100%のデータ互換性をもちつつ、Windowsでの操作性を向上

(00/09/05)

JW_CADと100%のデータ互換性

「HO_Cad」v1.32  オンラインソフトにもCADソフトは数多くあるが、実際の業務で使用できるものとなると数が限られてくる。コマンド数の少ないものは作図のために複数のコマンドを組み合わせる必要が出て作業効率に影響するし、他のCADソフトとデータの互換性が低い場合は、他のCADソフトとデータを共有する際に多くの修正を必要とするからだ。この点、「HO_Cad」はDOS版で人気を博した2次元CAD「JW_CAD」と100%のデータ互換をもちつつ、Windowsでの操作性と機能の向上を実現した本格的な図面作成に十分耐えうるCADソフトだ。

 「HO_Cad」は、ファイルの読み込み・保存が独自のHOC形式のほか、JW_CADのJWC形式、CADデータのやりとりで最も多く使われるDXF形式に対応している。ただし、特殊フォントや画像データ、測量データ等、他のCADソフトでは扱えない機能もあるので、このようなデータを含む場合は「HO_Cad」独自のHOC形式で保存するほうがよいだろう。また、図形の登録や呼出しも独自のHOZ形式に加えてJW_CADのJWK形式に対応しているので、JW_CADのユーザーがこれまでに作成したデータ資産を活かすことが可能だ。

30種類のコマンドボタンで二次元CADに必要な機能を網羅

複数行を入力できるメモ帳モード  「HO_Cad」での作図は、画面左側にあるコマンドボタン群を使用して行う。30種類のコマンドボタンが用意されており、二次元CADで必要とされる基本的な機能はほとんど網羅されている。コマンドの指定はマウス操作かキーボードのショートカットで可能だ。また、描画エリアで左クリックしたまま上下左右いずれかの方向にマウスをドラッグすることで、使用頻度の高い4種類のコマンドメニューが表示されるのも便利。キーボードのショートカット割り当てはカスタマイズ可能で、ユーザーに高い操作性を提供している。コマンドを実行すると上部のメニューバーの内容が変わり、さらに項目を選択しながら作図していく。

 レイヤー[*1]に関しては、16レイヤー×16グループの計256レイヤーを使用できる。レイヤーの状況と各レイヤーにどんな描画データが存在するかは、画面下部のレイヤーグリッドに表示される。各レイヤーの数字を右クリックすることにより、作図可能な書き込みレイヤーグループを選択し、それ以外のレイヤーグループを左クリックすることにより、図の移動などが可能な読み取りレイヤーグループ、表示のみのレイヤーグループ、非表示レイヤーグループに切り替えることが可能だ。各レイヤーの数字の上には、そのレイヤーに所属する描画データの状態が三色のバーで表示される。左上の黄色のバーはそのレイヤーに線・円弧・点が存在することを表し、数字の中上の紫色のバーはそのレイヤーに文字が存在することを表し、右上の黄緑のバーはペイントか画像が存在することを表す。さらに、書き込みレイヤーグループが選択さてれいる場所で右クリックすれば、レイヤーの一覧が表示される。

 ペンは6色、線種は8種類が用意され、これに加えて画面には表示されるが印刷されない補助線も用意されている。また、文字に関しては基本設定で10種類を設定しておくことが可能で、それぞれペン・文字サイズ・フォント等を設定しておけば、文字入力の際に文字種選択ボックスまたはファンクションキーから呼び出すことができる。また、入力形式は複数行の文字列を簡単に入力できるメモ帳モードや表を簡単に挿入できる表作成モードがあり、それぞれ専用ウィンドウを使ってすばやく入力できる。印刷ではレイヤーごとの印刷のほか、グループ別の連続印刷も可能。グループ一覧を参照しながら複数のグループを選択して、任意の順番で連続印刷できる。

 また、オプションの起動環境設定で、グループレイヤーの状態や文字種、寸法、印刷、測量などの細部の環境を設定することができ、常に設定した環境で起動することが可能だ。さらに、環境ファイルを保存可能なため、必要に応じてあらかじめ設定しておいた環境ファイルを読み込んで、用途に合った環境に切り替えることができる。これはJW_CADのJWFファイルに相当する、いわばテンプレートのような機能だ。

実用的な測量コマンドとペイントも可能なハッチングコマンド

測点一覧表に座標を入力  測量コマンドでは図面上の測点[*2]を拾ったり、測点一覧表に座標を入力して図面に測点を落としたりすることが可能だ。スキャナーで読み取ってベクター変換した測量図・平面図の座標を測量結果と照らし合わせたり、測量結果から出た座標を図面にプロットする場合にも便利だ。一覧表には座標情報の他に標高や標識、備考などの情報も埋め込むことができ、この一覧表はテキストファイル(SIMA形式)で保存しておくことが可能だ。また、測量関係では逆トラバース計算[*3]対応しいる。作者によると、今後のバージョンアップではトラバース計算や画地登録や画地調整などにも対応して行く予定とのことだ。

 ハッチング[*4]コマンドでは通常のハッチングの他、ペイントの使用やBMPやJPEGの画像ファイルの貼り付け、OLEオブジェクトの貼り付けも可能だ。カラープリンターがあれば、ペイントで塗りつぶした領域や読み込んだ画像ファイルをカラーで印刷することも可能で、プレゼンテーションなどで使用できるだろう。また、画像のサイズ変更や画像上に線を書くことも可能だが、画像はラスターデータなので画像の点を選択することはできない。

JW_CADの外部変形バッチや変形マクロに対応

変形マクロに対応  変形コマンドでは、JW_CAD用の外部変形バッチ[*5]を使用することが可能だ。JW_CAD用にJgawkスクリプト等で作成された数多くの外部変形バッチを、JW_CADと同じ手順で使用できるのも「HO_Cad」の強みだろう。

 また、直線に様々な記号を挿入する線変形マクロも使用できる。例えば電気分野の作図であれば、直線の間にアースやヒューズの記号を簡単に挿入することが可能だ。作者のホームページからダウンロードできるサンプルファイルに添付された説明書を見れば、自分で線変形マクロを作成することも可能だ。作者のページにあるサンプルマクロ以外にもさまざまな線変形マクロが公開されているので、自分の分野にあったマクロをいろいろ試してみるとよいだろう。

【著作権者】岡崎 宏之(H_O'sThinkTank) 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.32(00/08/07)

□HO_Cad
http://www.urban.ne.jp/home/hiroshio/


[*1]レイヤー
 一枚の図面を作る際に、構造物、寸法、文字列など性格の異なる要素を別々に記述する階層のようなもの。不要な要素をまとめて非表示にしたり、要素の縮尺やペン設定などをレイヤー単位でまとめて変更することができる。

[*2]測点
 測量で計測した敷地の境界点など。この点を元に作図を行う。

[*3]逆トラバース計算
 座標から角度、距離、方向角を算出する計算。トラバース計算は建築や土木工事において、トラバース(多角)測量の結果から、各点の方向角、座標を算出する計算。

[*4]ハッチング
 囲まれた領域を塗りつぶす操作。CADソフトでは斜線や網掛け模様などのパターンがあらかじめ用意されていることが多い。

[*5]外部変形バッチ
 JW_CADから外部のプログラムにデータを渡し、データを加工させるマクロ。多くの外部変形バッチはjgawkというプログラムのスクリプトファイルで配布されている。

(M's)

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