パソコンで読書できる! 「青空文庫」対応ソフト
自由に読める文学作品を集めた電子図書館で、一足早く読書の秋を満喫しよう
(00/09/12)
「青空文庫」というサイトをご存知だろうか。著作権の保護期間が過ぎた文学作品や「自由に読んでもらってかまわない」とされた文学作品を、ボランティアがHTML形式や「青空文庫」形式、エキスパンドブック形式というファイルにして掲載しているサイトで、石川啄木、宮沢賢治、芥川龍之介などの作品を始めとして、およそ1,000作品にもおよぶファイルが登録されている。
「青空文庫」形式やエキスパンドブック形式のファイルは、ルビや脚注などの情報を含んでいるのが特長。今回の特集では、「青空文庫」のルビや脚注などの表示に対応しているテキストビューワーに加えて、「青空文庫」形式のテキストを作成するソフトを紹介する。紙の本のようにスペースがかさまず無料で利用できる「青空文庫」の作品をパソコン上で楽しんで、一足早く読書の秋を満喫してみてはいかがだろうか。
□青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/
好みのレイアウトで文学作品を読めるテキストビューワー「T-Time」
「T-Time」は、テキストのフォントや行間、段組などのレイアウトを自在に変更できるテキストビューワー。読み込めるファイル形式は、テキストファイルに加えエキスパンドブック形式や「T-Time」専用形式のTTZファイル、BOOKファイルなど。これらの形式のファイルは見慣れないユーザーも多いと思うが、テキストや画像などを1つのファイルの中にまとめておくことができ、ファイルサイズが小さく、漢字にルビを振ったり脚注を設定できるといった特長がある。
「青空文庫」では、「青空文庫」形式のテキストファイルやHTMLに加え、エキスパンドブック形式の3形式のファイルで公開している。エキスパンドブック形式に対応している「T-Time」を利用すると、縦書きで表示したり漢字にルビを振ったりとテキストを本により近い感覚で表示できるため、「青空文庫」の文学作品がさらに読みやすくなるだろう。また、長編作品を読むときには「自動栞」機能が役に立つ。これはファイルを閉じる際に読んでいるページを自動で記憶し、ファイルを再度開いた際に前回読んでいたページを開く機能だ。
なお、シェアウェア未登録の場合は対応ファイル形式がエキスパンドブック形式、TTZファイル、BOOKファイルに限定されているが、シェアウェア登録して機能制限を解除すると、HTML形式やPDF形式のほか、通常のテキストファイルも読み込める。HTML形式のファイルの場合、単にテキスト表示するだけではなく、RUBYタグやIMGタグが埋め込まれているとルビや画像も表示できるようになっている。
【著作権者】(株)ボイジャー
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】2.2.1(00/08/23)
□T-Time トップページ
http://www.voyager.co.jp/T-Time/
ページをめくるアニメーションで実際の読書の雰囲気を味わえる「窓の中の物語」
「窓の中の物語」は、本を模したデザインのウィンドウでテキストを表示するソフト。ファイルやクリップボードから読み込んだテキストファイルを、縦書きや横書き、新書スタイルなど自分の好みに合わせた形で表示できる。「青空文庫」形式のルビにも対応しているほか、ウィンドウの背景に羊皮紙や樹木などの画像を指定し、ウィンドウを文庫本のようなデザインにすることも可能だ。
また、本を読んでいる雰囲気を再現する仕掛けがいくつか用意されているのも「窓の中の物語」の特長だ。多くのテキストビューワーは、テキストをスクロール表示する場合がほとんどだが、「窓の中の物語」はテキストをスクロールせずにウィンドウ上でページをめくるアニメーションをしたり、さらにはページをめくっている音まで再生されるようになっている。音楽CDやMIDI/MP3ファイルを再生する機能もあるので、BGMを再生しながら読書することもできる。
【著作権者】BE-i 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.42β2(00/09/05)
□■BE-iノ住む街■
http://www10.pos.to/~bei/
どこでも電子読書ができるWindows CE用テキストビューワー「RubyReader」
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「RubyReader」で縦書き表示 |
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90度回転して縦書き表示 |
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「RubyReader」は、Windows CE上で動作するテキストビューワーだ。作品を縦書きや横書きで表示でき、文字を90度回転させた状態にして表示することもできるため、Windows CE端末を横倒しにした状態で作品を読むことも可能。「青空文庫」形式のテキストファイルに対応しており、ルビも表示できる。
ウィンドウの左半分をタップすると次のページに向かってスクロールし、逆に右半分をタップすると前のページに向かってスクロールするようになっており、キーボードのないパームサイズPCでも簡単に操作できる。さらに「RubyReader」終了時に読み進んだテキストの位置を記憶し、再度同じテキストファイルを開いたときに前回の位置を自動で表示する機能もある。
【著作権者】片山 功士 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.5.4(00/02/25)
□文学索引辞典
http://www.sanderpuzzle.com/bungak/
青空文庫形式のテキストファイルを作成できる「O's Editor」
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アンチエイリアスできれいにテキスト表示 |
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青空文庫形式のテキストを編集中 |
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「O's Editor」は、「青空文庫」形式のファイルの編集に対応したWYSIWYGタイプのテキストエディター。印刷結果に近いレイアウトでテキストを編集でき、ウィンドウデザインには、あらかじめ大学ノートや原稿用紙、A4用紙などの「スタイル」が用意されている。縦書きや横書き、文字間隔や行間隔などを簡単に切り替えられる上、ウィンドウ上での表示イメージをそのまま印刷できる。
また、大きいフォントサイズでテキストを表示している場合に、文字の輪郭のギザギザを目立たないように補完して文字を美しく表示するアンチエイリアス機能も備えており、この機能を利用すると難しい漢字でも見やすくなる。さらに、「青空文庫」形式のテキストファイルを編集するときは、文字にルビを振ったり、脚注を挿入するといった操作を右クリックメニューから素早く行えるなど、「青空文庫」のテキストを作成する際に役立つ機能も充実している。
【著作権者】おぬま ゆういち 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,000円
【バージョン】3.30(00/08/25)
□O's Page
http://ospage.com/
(白畑 真)