ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第98回】

「EDITPIC」

クリック一発で背景を差し替え! 部分修正もラクラクの画像合成ソフト

(00/09/25)

 デジカメなどで撮った写真画像を自分でさまざまに加工できるのは、パソコンを使った画像処理の面白さの1つだ。特に画像の合成では、気に入らない背景を取り替えたり、自分がジョン・レノンと並んで歩いているようなコラージュ写真を作るなど、実用からお遊び、果ては現代アートまでさまざまな用途がある。しかし、思い通りの画像合成を行うには、レイヤーを使ったり自由曲線での細かい範囲指定が必要になるなど、画像処理に慣れた人でもなかなか手間のかかるものだ。そこで今回は、Windows標準のペイントしか使ったことがないような画像処理初心者にも簡単に画像合成を楽しめるソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……画像2枚の合成を簡単確実に行える合成専用ソフト

「EDITPIC」v1.00  「EDITPIC」は、画像2枚の合成を誰でも簡単確実に行えるように開発された画像合成専用のソフトだ。合成に使うオブジェクト領域をはみ出さないよう正確に範囲指定するといった細かい作業は基本的に不要。人物写真など合成に使うオブジェクトを含む“オブジェクト用画像”と、風景写真など合成の背景に使う“背景用画像”を用意し、オブジェクト用画像の背景をマウスでクリックするだけで、オブジェクトと背景の境界を自動的に判断し、背景の領域だけを背景用画像に差し替えてくれる。例えば、人物写真の背景の青空を公園の風景に差し替えたい場合なら、青空を背にした人物の画像ファイルと公園風景の画像ファイルを「EDITPIC」で読み込み、青空をクリックするだけで、人物の背景が公園の風景になった合成画像ができあがるわけだ。

 基本的な使い方は至ってシンプル。まずオブジェクト用画像のファイルと背景用画像のファイルをそれぞれ「EDITPIC」ウィンドウ上部にあるボタンで読み込む。ただし読み込める画像形式はBMPとJPEGの2種類のみ。オブジェクト用画像はウィンドウの右側に表示され、背景用画像はウィンドウ中央左側に縮小されたサムネイルで表示される。次に合成処理の方法をプルダウンメニューから選択し、ウィンドウ右側のオブジェクト用画像の背景部分をクリックするか、選択したメニューによっては[処理開始]ボタンを押す。すると数秒後にはウィンドウ右側のオブジェクト用画像が、処理後の合成画像に切り替わる。

 合成の方法は、[抽出色を中心に合成]や[指定色を中心に合成]などいくつか用意されているが、ほとんどの場合はデフォルトの[抽出色を中心に合成]のままで間に合う。これを選び、オブジェクトの周囲の背景部分をマウスでクリックすると、クリックした場所の色を基準に同系色が背景領域として認識され、背景用画像に差し替わる。例えばオブジェクト用画像が背景の青い証明写真のような人物画像なら、青いところをクリックすると、青色が背景領域として自動的に認識され、そこだけが背景用画像に差し替わる。ただし、写っている人物が青と同系色の服を着ている場合は、服も背景だと認識されて背景用画像に差し替わってしまうこともある。この場合はウィンドウ左側にある光の三原色である赤色、緑色、青色の認識許容範囲指定を0~256の間で適宜変更することで、自動認識される背景領域の範囲を調節することができる。

 三原色の許容範囲指定を変えて合成を何度かやり直してみて、どうしても余計な部分まで背景用画像に差し替わってしまうような場合でも、あきらめるのはまだ早い。このソフトでは、オブジェクト用画像を“処理画像”、背景用風景を“壁画像”と呼んでいるのだが、合成方法のプルダウンメニューで[処理画像書き込み]を選択して、ウィンドウ右側の合成画像の上をマウスでドラッグしてみよう。するとドラッグした軌跡の部分が、“処理画像”、つまりオブジェクト用画像に戻っていくはずだ。逆に、[壁画像書き込み]を選択して合成画像の上をドラッグすると、軌跡が“壁画像”である背景用画像に差し替わる。デフォルトの[抽出色を中心に合成]の機能を使った結果、服まで背景用画像に差し替わってしまった場合は[処理画像書き込み]で元に戻し、背景用画像にうまく差し替わらない部分があれば[壁画像書き込み]で手動で差し替えるなど、細かく修正することができるわけだ。

 そのほか合成の方法には、マウスクリックで背景の色を抽出するのではなく、始めから数値で色を指定して背景領域を決める方法や、合成ではなく直接、任意の色を画像に描き込むこともできる。また、オブジェクト用画像の上から網かけのように背景用画像を重ねる合成処理も可能で、網目の違う2種類が用意されている。気に入った合成画像ができあがれば、[保存]ボタンでファイルに保存しよう。保存形式はBMPのみなので、ホームページ素材などに使いたい場合は画像形式をJPEGやGIFに変換するソフトが必要だ。

ここがスゴイ!……面倒な範囲指定がクリック一発でOK、修正も簡単

細かい修正は[処理画像書き込み]で  「EDITPIC」のスゴイところは、やはり[抽出色を中心に合成]で行う合成範囲の自動認識だろう。マウスクリック一発で合成が簡単にできる点は、“画像合成は意外と面倒くさい”というイメージを払拭するものだ。また合成画像の、意に反した部分までが背景用画像に差し替わってしまった場合でも、[処理画像書き込み]と[壁画像書き込み]で修正が簡単にできる点や、操作のわかりやすさは高く評価したい。

こんな場合に便利……背景の差し替えやコラージュに

網掛けのような重ね合わせで半透明に  恋人とツーショットで写した写真の背景を、外国のお洒落な街並みや大自然の美しい風景に差し替えて部屋に飾ってみるといったちょっとした遊びに使うのもいいし、飼っているペットと同じ身長になって並んで記念撮影したような、実際にはあり得ないコラージュ写真を作って友達と見せ合ったりするのも楽しいだろう。とにかく合成処理が手間をかけずに手軽にできるので、あとはアイデア勝負でさまざまな用途に利用できそうだ。

使用上の注意は?……画像形式や2枚の画像サイズに注意

 「EDITPIC」のコンセプトは十分に面白いのだが、実際に使ってみると気になる点がいくつかある。まず、オブジェクト用画像には、差し替える背景領域と残したいオブジェクト領域の色がハッキリ違うものを選ぶようにしよう。これらの領域が同系色だったりコントラストが低い場合、背景の中に差し替わらない部分が混じったり、残したいオブジェクト領域の中が複雑に背景用画像と混じってしまい、修正作業が大変になることがある。さらにこのソフトは基本的に合成処理だけを行うソフトなので、たとえば画像の拡大・縮小や合成する画像の位置合わせといったことはできない。合成する2枚の画像は必要に応じてあらかじめ他のグラフィックソフトでサイズと位置を合わせておかなければならないことに留意しておこう。将来的には「EDITPIC」単体でも画像の拡大や縮小、位置合わせ程度はできるようになることを望みたい。

【著作権者】YUUKI 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,000円
【バージョン】1.00(00/09/07)

□ゲームの街灯
http://www.ctk.ne.jp/~ikuuyume/main.htm

(ひぐち たかし)

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