ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第99回】

「TagPager」

愛用のテキストエディターでOK! HTMLタグ入力を自動補完する支援ソフト

(00/10/02)

 HTMLを書くとき、読者の皆さんは何を使っているだろうか。WYSIWYGタイプのHTMLエディターはワープロ感覚で使えて誰でもとっつきやすい反面、使いたくないタグを勝手に使われたり特殊なタグに対応できないといった欠点もある。そのためあえて汎用のテキストエディターを使うという人も多いようだ。筆者もその一人なのだが、テキストエディターでHTMLを書くと、たまにIMGタグのALT指定を忘れたりスペルミスを犯してしまうのが困りもの。そこで今回は、そんなHTML手書き派の人にオススメしたい、愛用テキストエディターと一緒に使えるHTMLタグ入力支援ソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……HTMLタグ入力を自動補完するソフト

「TagPager」v0.14  「TagPager」は、起動しておくとキーボードからのHTMLタグ入力を自動補完するソフトだ。自動補完とは、わかりやすいところでいえば、IE 4/5でURLを途中まで入力すると自動的に過去に入力したことのあるURLから検索して続きの文字列を補ってくれる、あの機能のこと。「TagPager」はURLではなくHTMLタグの入力を補完する。

 「TagPager」を起動しておくと、メモ帳をはじめとするどんなテキストエディターのウィンドウ内でもHTMLタグの自動補完が働き、例えばテキストエディターで単に「<A」という3文字を入力しただけで「<A href=""></A>」という風にタグの終わりまでが一気に補完される。ただし、自動補完を無視して文字入力を続けると、補完された文字列にキー入力が上書きされていくIEとは違い、「TagPager」では補完された文字列の後ろにキー入力の文字列が付加されていくので注意しよう。また、IEのように補完候補となるいくつかの文字列がリスト表示されるのではなく、候補が1つに絞り込まれた時点で確定した文字列としてテキストエディターに書き込まれる。

 HTMLタグの自動補完は“前方一致”なので、例えばTABLEタグとTRタグとTDタグのように同じ“T”で始まるタグがある場合、「<T」のように先頭の2文字をテキストエディターに入力しただけでは自動補完されない。この3つのタグに違いが現れる3文字目、例えば「<TR」までを入力したところではじめて「<TR><TD></TD></TR>」のように4文字目以降の文字列が補完され、まとめてテキストエディターに書き込まれる。この書き込みはクリップボード経由で行われるため、同じHTMLタグを続けて入力したければ[Ctrl]+[V]キーで何度でも貼り付けられる。

 「TagPager」が自動補完するHTMLタグは、TABLEタグやコメントタグをはじめとする代表的なタグ26種類があらかじめ登録されている。いずれも「<」という文字ではじまる必要があり、ほとんどのタグは終了タグとセットで登録されているが、なかには「<TR><TD></TD></TR>」という具合に複数のタグが一緒に登録されているものもある。登録されているHTMLタグの文字列は、「TagPager」のウィンドウにある[編集]、[新規]、[削除]のボタンにより自分で書き換えたり、よく使うHTMLタグを新たに追加したり、不要なものを削除することも簡単にできる。また、現在クリップボードにある文字列を登録する機能もあるため、HTML編集中に必要に応じて手軽にタグを追加したり削除できる。

 さらに、よく使うHTMLタグを“短縮ナンバー”として登録しておく機能もある。短縮ナンバーは0から9まで10個を登録でき、[<]キーに続けて0から9の任意の数字キーを1つ押し、さらに[BackSpace]キーを押すことで定型の文字列を呼び出せる機能だ。任意の定型テキストを自由に登録して、簡単なキー操作でいつでもすぐ呼び出せる。また短縮ナンバーは、同じHTMLタグを別パターンで登録して使い分けたいときにも有効だ。例えばTR・TDタグは標準で「<TR><TD></TD></TR>」のように登録されているが、これにcolspan指定を使った「<TR><TD colspan=""></TD></TR>」というタグを新規登録すると、先頭7文字の「<TR><TD」という部分がまったく同じなので、8文字目まで入力しないと自動補完が働かなくなる。そこで、「<TR><TD colspan=""></TD></TR>」というタグを例えば短縮ナンバーの1番に登録しておけば、両者を使い分けられるようになる。つまり、colspan指定のないTR・TDタグを呼び出すときは普通に「<TR」と入力して自動補完させ、colspan指定のあるTR・TDタグを使いたいときは[<]+[0]+[BackSpace]キーで呼び出せるわけだ。

 なお、もしHTMLタグを自動補完させたくない場合は、HTMLタグ入力の途中、例えば1文字目の「<」を入力した直後に一度[Ctrl]キーなどを押しておけば、「TagPager」のHTMLタグ認識は中止されるので、続く文字列を入力しても自動補完されることはない。

ここがスゴイ!……前方一致で絞り込み一発! 自分で自由にタグ登録可能

メモ帳でもHTMLタグ入力が自動的に補完される  「TagPager」のスゴイところは、前方一致で絞り込む的確さと、通常のエディット作業の邪魔になりにくい点だろうか。HTMLタグを入力しない限りは操作ミスなどで勝手におかしな文字列が入力されることはなく、愛用のテキストエディターを普段通り違和感なく使うことができる。しかし、ひとたびHTMLタグの文字列を入力し始めると、サッと入力補完されて『おおっ』と驚くことになる。まるで、タバコを吸おうと口にくわえたら横からスッと火の点いたライターを差し出されたような気分、とでもいえばいいだろうか。実にスマートな印象だ。

 また、自分で自由にHTMLタグを登録しておけるのも応用のポイントだろう。つまり一般的なHTMLタグに限らず、例えばHTMLとは似ていてもタグ仕様の異なるWML(Wireless Markup Language)のタグを登録して、AUのEZサービスのようなWAPコンテンツの作成に使うこともできるわけだ。ただし“短縮ナンバー”以外は必ず「<」で始まる文字列を登録しなければならないので、「こ」と入力するだけで「こんにちは」と補完されるような使い方はできない。

こんな場合に便利……HTML手書き派の人に、iモードページの作成に

短縮ナンバーにHTMLタグを登録  『HTMLはHTMLエディターではなくやっぱり愛用のテキストエディターでコツコツ書くに限る』という“HTML手書き派”の人にオススメしたいソフトだ。愛用のテキストエディターと一緒にこの「TagPager」をただ起動しておくだけでいいので、HTMLタグ自動補完のラクチンさを体験してみてほしい。また、iモード用コンテンツの作成に対応していないWYSIWYGタイプのHTMLエディターを普段使っている人で、iモード用コンテンツを作成するためにこれからCHTMLを覚えようという人にもよさそうだ。CHTMLタグだけを登録しておけば、CHTMLを覚えながら正確なタグを書いていくことができるだろう。

使用上の注意は?……相性の悪いソフトに注意、HTMLタグを指が覚えている人も

 実際に使ってみて最も気になったのは、ソフトの相性だ。自動補完の対象となるのはテキストエディターに限らず、メールソフトのメール送信ウィンドウなどでも有効なのだが、IEでフォーム入力を行う場合のように自動補完がうまく機能しないソフトもある。常駐させて使う場合は、相性の悪いソフトへの注意が必要だ。また、勢いあまってHTMLタグを入力しすぎてしまうことにも要注意。筆者のように指がHTMLタグを覚えていて条件反射のようにHTMLタグを入力してしまうクセがついている場合、自動補完に気付く前に指がHTMLタグを一気に入力してしまって、入力文字列が重複してしまうことがある。つまり「<A HREF=」と入力しようとして自動補完に気付かずに入力を続けると、「<A href=""></A> HREF=」となってしまうのだ。この点でIEの自動補完とは動作が少々異なるので気をつける必要があるだろう。

【著作権者】門田 稻志 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.14(00/09/15)

□!-邯鄲歩-
http://www.netlaputa.ne.jp/~toushi/

(ひぐち たかし)

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