【第5回】
オリジナルソングを作曲する!
(00/10/20)
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フォトレタッチ、3D CG、ビデオ編集…マルチメディア系のオンラインソフト“だけ”でネットアイドルをプロデュースしよう! 窓の杜のネットアイドルだから、略して“杜ドル”だ。歌って踊れるネットアイドルのプロモーションビデオをつくってストリーミング配信するまでの奮闘記!! 今回はオリジナルソングの作曲編。
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オンラインソフトを使って窓の杜のネットアイドル=“杜ドル”をプロデュースするこの企画。第3回で大発表したように“杜ドル”は歌って踊れるネットアイドルを目指す。ということはその「歌」もつくらなきゃいけない。今回は“杜ドル”のイメージにピッタリと合ったオリジナルソングをWindows用のオンラインソフトを使ってDTMで作曲だ!
“杜ドル”の名前、ついに決まりました!
ついに「まどの もりこ(仮名)」から(仮名)の文字が取れる日が来た。といっても“杜ドル”の名前が「まどの もりこ」に決まったわけじゃない。皆さんから寄せられた“杜ドル”の名前候補の中から、厳正な審査の結果ワタクシことモッティが選ばせていただいたのだ! ご応募いただいた読者の皆様には大感謝。本当にあがとうございました。無事、この子に名前をつけることができてプロデューサーとしてもうれしいっス。
では、大発表。“杜ドル”の名前は…、
「まのり」!
えー、誰が何と言おうと“杜ドル”の名前は「まのり」。ま・の・り。応募の傾向としては、「もり まどか」とか「もりの まどか」という「窓の杜」に引っ掛けた名前が多かった。この「まのり」も「まどのもり」から「ど」と「も」を抜いただけだけど(失礼!)、ひらがな3文字で何かいい感じだったのでこれに決定! ちなみに「まのり」を考えていただいた“ぷぅ”さんには、「まのり ども」というフルネームを送っていただいたのだが、勝手ながら「ども」の方は却下させていただいた(再び失礼!)。なお、佳作は清井さんに送っていただいた「水野ミドリ」と、telaさんに送っていただいた「杜 香澄」という名前に決定。この連載ともども「まのり」をよろしくお願いします!!
3分間の勝負。アイドル風オリジナルソング制作作戦!
“杜ドル”のプロモーションビデオの中で、まのりは歌って踊って3D CGと共演するわけだが、ありモノの歌をバックに歌わせたりすると、著作権に思いっきり引っかかる→窓の杜にクレーム殺到→編集部Y氏K氏より火の出るようなお叱り→連載中止→ワタクシことモッティのライター人生おしまい、とまぁ最悪の事態を招きかねない。それに、ほかの人の歌を歌わせるのもつまらないので、オリジナルソングをつくる方向に突き進むことになった。でも、今回のプロモーションビデオは、通常のミュージシャンがCDの販売促進のためにつくるビデオと違い、はじめからビデオ制作が中心というスタンスで制作する。だから、実際の曲づくりの前にプロモーションビデオとしてのスペックを固めることにした。ここでしっかり決めておきたいのはビデオの時間配分だ。
まずはビデオ全体の長さ、いわゆる映像の“尺”というやつ。これはネットでの配信ということを考えて、高画質ダウンロード版を3分、高速ストリーミング版を1分ということにした。ダウンロード版はフルコーラスを収録、ストリーミング版は曲途中でフェードアウトする。ということは自動的に曲の長さは3分ということだ。昔はアイドルの歌といえば3分が相場だったので、歌って踊れるネットアイドルを目指す“杜ドル”にはちょうどいい。
次にビデオのカット割り。まのりは15歳、元気いっぱいの女の子だから、元気さを強調するようにスピード感のある映像にしたい。そのためには長回しはやめて、短いカットをぱしっぱしっと切り替えて3分間の映像をつくる方法でいく。この時点で仮の絵コンテを描いて、各カットの秒数を決めてみた。各カットとも2~3秒か5秒、長くても10秒が限度。そしてコンテに沿って、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏、エンディングなどといった曲の要素の長さを決めてみる。何度もコンテと曲の要素の並び順を入れ替えて、コンテと曲の要素をピッタリと合わせることに成功! 曲の進行表も完成だ。よし、これで曲づくりの開始だぜ!
ほんとにモッティの曲でいいのか??
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暗いフレーズしか弾けない! |
じゃぁ曲づくり。ギターを引っ張り出してきてパラパラと弾いてみる。とたんに、やばいことに気がついた。暗いフレーズしか弾けないのだ(涙)。学生時代にバンドをやっていたときも暗い曲しかつくれなかったのだが、演奏する曲はけっこう明るめのヤツも多かった。でも、ここ5~6年、“King Crimson”とか“Soft Machine”とかプログレ系の音楽しか聴いていなかったのが災いしたのか、何を弾いても7拍子。頭に浮かぶフレーズはアイドル風とはかけ離れたものばかり(涙)。そんなところに電話からこれまたくら~い着信音、帝国軍のテーマが鳴る。編集部からだ。
編集K氏: | 「モッティさん、曲づくり進んでますか?」 |
モッティ: | 「あ、今やってるんですけど、暗いのしかできないんですよ。」 |
編集K氏: | 「暗い? “明るく元気よく”っていうコンセプト決めたの誰ですか! 明るくしてくださいよ。どうしようもなかったら誰かに泣きついてください。いいですね! じゃ。」 |
モッティ: | 「……。」 |
泣きつくか…。
編集部からの電話を切った直後、モッティはある人物の電話番号をプッシュしていた。学生時代の先輩であり、現在ではCM音楽クリエイターの道を突き進む岡村 正章氏の自宅だ。以前モッティが雑誌編集者をやっていたとき、「いっしょに仕事したいねぇ」などと話し合っていたのを思い出した。プロに頼むのはずるいと思うかもしれないが、自分の人脈をフルに活かしてこそプロデューサーがつとまるのだ。
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「Music Studio Standard」 |
交渉の結果、ふたつ返事でOKが出た。ソフトは「Music Studio Standard」を使用することに決定。ほかにも曲をつくって忙しいところありがとうございます~。いや、もつべきものは頼れる先輩。思えば大学5年の頃、ベロベロに酔っぱらって…って、ここはモッティの人格が疑われるので略。
でも不安材料がひとつ。岡村氏はMacintoshユーザーでWindowsマシンをもっていない。また、自宅にプロ用の機材を揃えてスタジオ化しているので、通常のCM音楽制作のつもりで歌をつくってもらうと、プロモーションビデオで音楽だけが突出してしまう。ここは編集部からWindowsパソコンを借りて、MIDI音源もモッティがもっている「YAMAHA MU100B」を使用して、一般パソコンユーザーと変わらない環境で作ってもらうことにした。音楽制作に使うオンラインソフトはMIDIシーケンサーとハードディスクレコーダーの統合ソフト、「Music Studio Standard」だ。
ギター、とりあえず弾かせていただきます
さっそく岡村氏に制作環境一式とコンテと曲の進行表を渡し、制作にとりかかってもらう。メロディは歌詞が到着してからとりかかるとのことなので、とりあえず曲調は「明るく、アップテンポに」という注文を出しておいた。と、その日のうちに岡村氏から連絡が入る。「進行表のとおりにつくるとすごくテンポが早くなるし、テンポを落とすと4小節でうまく回らなくなっちゃうんだよ」とのこと。うーん、音楽的にいうと4小節単位でつくっていった方がいい。じゃぁ、曲の進行を変えてもいいから…と言おうとしたまさにそのとき「なんで、進行表をちょっといじらせてもらったよ。テンポを落としてもリズムを刻んでいくとけっこうアップテンポに聞こえるから。じゃ、FAXしときます」とのお答え。あぁ、先回りされてる。何から何まですみません。
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クオンタイズでタイミングを合わせる |
つーことで速攻でMIDIファイルの第1弾が上がってきた。「Music Studio Standard」はステップレコーディングとリアルタイムレコーディングのどちらでもMIDI作成ができるのだが、岡村氏はすべてキーボードで演奏してリアルタイムレコーディングを行った。ドラムパートだけはクオンタイズでタイミングを合わせて、ベロシティ&デュレーションでを音の粒を揃えてあるので、完全打ち込みしているように聴こえるかもしれないが、これも実はキーボードを叩いている。モッティはピアノとかの鍵盤系楽器がダメなので、鍵盤OKっていう人は無条件で尊敬してしまうなぁ。
一発目のMIDIでほとんどOKだけど、プロデューサーやクライアントってなんか文句をつけるものだなぁなどと余計なことを思いながらちょこっとだけ注文をつけてみる。
モッティ: | 「あの、オイラにギター弾かせてください、歌の録音のときにかぶせるってことで…」 |
岡村氏: | 「いいよ、ギターが入ることを前提でMIDIつくっておくから。あと、ギターはエレクトリックよりもアコースティックがいいなぁ。うちにないからもってきてね。じゃぁ、Standard MIDI Fileの最初と最後にMIDIの初期化信号をいれてとりあえずMIDIは出来上がりってことで、よろしく~」 |
えぇ、持っていきますとも、アコギ。弾きますとも、ギター!
で、今回紹介するのがこのMIDIファイル。1分間あたりの拍数“BPM”は96と控えめだが、リズムを細かく刻んでいることでアップテンポに聴こえるし、曲調もかわいくてきちんとアイドル風楽曲に仕上がっている。GM音源に対応しているので、内蔵のソフトウェア音源で鳴らしてもキチンと聴こえるはずだ。やっぱりプロの仕業だな、これは。
♪ オリジナルソングのMIDIファイル(37KB) ♪
次はレコーディングだ!
さてさて、まのりに頼んでおいた歌詞もできあがってきた。なかなかやるじゃんっ
て感じの歌詞だ。でも、どうやら本人じゃなくて、友達につくってもらったとのこと。
まぁ大目に見ましょ。ちょっと長めだったので短く、曲に合いそうな感じに修正して
岡村氏に送って仮歌をつけたMP3ファイルをつくってもらおう。まのりにはその歌を
練習してもらって、次回レコーディングの結果を大発表するぜ!
次回は「音」の第2弾。まのりによるレコーディングだ。モッティもひそかにギター
の練習を開始している。待て、次回!!!!!!!!!!!!!
■「Music Studio Standard」
【著作権者】Frieve 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】2.40(99/12/28)
□Frieve Home Page
http://www.yk.rim.or.jp/~frieve-a/
(望月 貞敏)
編集部より
杜ドルの名前募集にご応募いただきありがとうございました。審査の結果、杜ドルの名前は「まのり」に決定し、下記の3名様が入選および佳作となりました。
入選 | 「まのり」 | ぷぅさん |
佳作 | 「水野ミドリ」 | 清井さん |
佳作 | 「杜 香澄」 | telaさん |
入選・佳作の3名様には、インプレスオリジナルグッズをプレゼントいたします。
記事中の楽曲の作曲者は岡村 正章氏です。著作権は岡村 正章氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。