【第6回】

いざ、オリジナルソングのレコーディングだ!

(00/10/27)


 フォトレタッチ、3D CG、ビデオ編集…マルチメディア系のオンラインソフト“だけ”でネットアイドルをプロデュースしよう! 窓の杜のネットアイドルだから、略して“杜ドル”だ。歌って踊れるネットアイドルのプロモーションビデオをつくってストリーミング配信するまでの奮闘記!! 今回はオリジナルソングのレコーディングだ!

 オンラインソフトを使って窓の杜のネットアイドル=“杜ドル”をプロデュースするこの企画。前回、自力でのオリジナルソング作曲を断念した(涙)ワタクシことモッティがすがった先は、プロの音楽クリエイターである岡村 正章氏。おかげでイイ感じの曲ができあがった。今回はこれに“杜ドル”まのりの歌をレコーディングして、オリジナルソングを完成させるぜ!

やっぱりあったぜ落とし穴……ノイズめ、ゆるさん!

 前回披露した岡村氏作曲によるオリジナルソングのMIDIファイルは、いかがだっただろうか? アップテンポなリズムにかわいらしいメロディ。今回はこれに“杜ドル”まのりの歌が乗っかるのだ。ちなみにまのりの好きなアーティストは宇多田ヒカル。まのり自身もカラオケに行くとヒッキーの歌をよく歌うらしい。ま、できあがりは聴いてのお楽しみ。

 つーことで、土日をかけてレコーディングとビデオ撮影を決行する。土曜日に岡村氏のスタジオでレコーディング、日曜日にお台場や原宿でのビデオ撮影だ。ただし今回紹介するのはレコーディングのみ。ビデオの撮影と編集については次回以降にたっぷりお届けしよう。作業の流れとしてはMIDIファイルから音声ファイルへの録音、まのりのボーカルの録音、モッティのギターの録音、そしてミキシングとなる。余談だが、モッティが岡村氏の家へおじゃますると必ず音楽機材が増えている。今回も何かすごいモノを手に入れたらしい。そんなことも合わせて楽しみ~。

 土曜日なので、高校生のまのりは学校が終わってから合流するとして、モッティは岡村氏の自宅に先乗りして録音準備を整えておくようにスケジューリング。しかし、岡村氏と電話で日程の調整をしているときに、ちょっと不安なことを耳にした。MIDI音源からパソコンのLINE INに音声信号を入力して、「Music Studio Standard」で録音テストを行い、できた音声ファイルを聴いてみると明らかなノイズが乗っているとのこと。そのうえ、MIDIのタイミングも少しずれてしまい、演奏がもたついてしまうという。ちなみに編集部から借りたのはパソコンはi810チップセットを使ったマシンで、サウンド機能はオンボード。うーん、モッティのマシンとは構成が違うのでよく分からないけど、どうしようもなかったら近くでサウンドカード買っちゃえ!…ということにして当日を迎えた。

 レコーディング当日、岡村氏の自宅でモッティを出迎えたのは、1/2インチのオープンリールレコーダー。それも2台! 一瞬「これで録音しましょう!」といいたいのをぐっとこらえて、岡村氏に録音してもらった音声ファイルのノイズの具合を早速確認する。すると…

「やばいよ、こりゃ」

 と、素人耳にもはっきりとわかるようなノイズが「プチ、プチ」と入る。曲の後半になるとリズムにも狂いを生じている。んあ~、こりゃいかんです。「編集部~、もっといいマシン貸してくれよ~!」と、嘆いていても仕方ないので、早くサウンドカード買ってこなきゃ。

 で、やってきました大手チェーン系電器店。ホントはPCショップまで行きたかったのだが、まのり&編集K氏との合流時間まであまり時間がない。セッティングが完了しない肝心のレコーディングができなくなってしまうのでここはぐっとこらえて…。パソコンのコーナーもあるから、サウンドカードのひとつやふたつあるだろう、と思っていた。が…ない。サウンドカードがない! ビデオカードはあるのに(涙)。念のため店員さんをにたずねてみるが、ダメ。

 急きょ、岡村氏と協議。そこで出た次善策は、歌とギターの録音のみ岡村氏の機材を借りるというもの。苦肉の策だが、これならちゃんとしたサウンドカードがあればできる範囲なのでOKのはず。それを後から「Music Studio Standard」でミックスするというものだ。

なんとかレコーディング開始。まのり、イケるかも!

 どんよりした気分でまのり&編集K氏の到着を待つ。あぁ、K氏にこのことを話すのがつらい、つらすぎる。とかいってる間に最寄駅まで到着したとの知らせが入る。迎えに行くのもおっくうだ。岡村氏に迎えに行ってもらうモッティ、ダメ後輩じゃん。

 今日の作業手順を編集K氏になんとか承諾を得て、気分を切り換えてレコーディング開始だ。ここで今回のオリジナルソングの歌詞を大発表する! 実は作詞したのは、まのりの友達らしい。それをまのりが自分らしくアレンジしたようだ。う~ん、モッティとまのり、二人とも周りの人に支えられてるなぁ。岡村氏といっしょに歌に合うようにちょっとだけ手を入れさせてもらったが、なかなかイイできだぜ。


    「Going Ahead」 作詞:まのりとその友達/作曲:岡村 正章

    今なら素直になれるかな 強がりばかりの長電話
    離れて気づいたの 大切なあなた
    私のホントの気持ちわかるまで 少し回り道したけど

    出会ったあの日のように 今も“運命”信じてる
    このままずっとふたりで 時間(とき)の流れを見ていたい
    どんなに涙流しても 今を探さなくちゃね
    これから前だけ見て 歩いていけるよきっと

    心変わる日が来るのかな ケンカしていても長電話
    離れて気づいたの 大切なあなた
    キライなとこだってたくさんあるけど やっぱりあなただけが好きよ

    出会ったあの日のように 今も“運命”信じてる
    これから前だけ見て 歩いていけるよきっと

    このままずっとふたりで キレイな涙流そうね

 さて、まずはウォーミングアップとばかりに、まのりに軽く歌ってもらう。お! ヒッキー好きというだけあって、歌い方もそれっぽい。昔のアイドル系じゃなくて、最近の女性シンガーみたいだ。最近の高校生はみんなこんな歌い方してるのかなぁ?カラオケでもみんなうまいしなぁ。

モニターしながらレコーディング
モニターしながらレコーディング
 何回か歌っている間にだんだんと声量も上がってきた。と、おもむろに岡村氏が「聴いてみる?」と聞く。練習といいつつちゃっかり録音していたのだ。なんでも、レコーディングするときには、自分の歌声をモニターしたほうが歌いやすい人が多いとのこと。まのりも「自分の声が聴こえた方が歌いやすい」ということで、モニターしながら気合を入れてレコーディングだ。でも、何回か歌っていてどうしても上手に歌えない箇所がある。サビの繰り返しにある「これから前だけ見て」の「み」の音が高すぎて出ない。どうしても声が裏返ってしまう。そこで岡村氏の作戦は、MIDIの演奏をそこだけループさせるから思い切って声を出す練習をしてみよう! というもの。 これが功を奏して、まのりも徐々に吹っ切れたようでうまく声が出るようになった。

 時間も押してきたので、この部分だけパンチイン録音。うまく発声でき、本人も気に入っているみたいで、「声も出てきたから、通して歌う!」と前向きな姿勢も出てきたので、アタマから通して歌いなおしてみる。すると、パンチイン録音したテイクよりも数段イイ。岡村氏の「どうですか? プロデューサー」という問いに「オ、OKです。お疲れさまでした!」という言葉が飛び出す。

 「いやいや、もう1回歌って声を重ねた方がナチュラルなコーラスがかかるから、もういっちょ録音してみよう」と岡村氏。モッティ先走ってしまいました。そんなこんなでもう1回の録音も無事完了。まのり、モッティ、編集K氏、岡村氏全員納得のボーカルパートができて、これで本当のお疲れさま。モッティが弾くギターは次の日の夜にレコーディングすることにしてひとまず撤収だ。

「Music Studio Standard」でミックス!

 さて、翌日のビデオ撮影が終わった後、ギターの録音と音データを受け取るためにモッティは再度岡村氏の自宅に向かった。でも、ギターのことはあんまり触れたくないなぁ…。一応アコースティックギターとエレクトリックギターの両方を弾いてみたけど、ボリューム抑えめにミックスしておこう。理由はいうまでもなくモッティのギターがヘタだから(涙)。せっかく岡村氏&まのりがクオリティの高い曲をつくってくれたのに、プロデューサー自身のギターでぶっ壊してしまうのは避けたいからね。

 音素材をベース、ドラムス、ボーカル、アコースティックギター、エレクトリックギター、そしてピアノなどの“上もの”パートに分けてCD-Rに焼いてもらう。これで岡村氏のパートは完了。なんとお礼を言えばいいのか…。お疲れさまでした!

キュートーンを正確に削除
キュートーンを正確に削除
 さっそくモッティの家に全ての音データを持ち帰り、「Music Studio Standard」でミックスだ。各トラックのアタマには2秒間の発振音を入れてもらったので、これを目安にして各トラックの同期をとる。こういう目安になる音のことを“キュートーン”というらしい。さて、いよいよMusic Studio StandardでWAVファイルをインポートだ。「Music Studio Standard」では音声を扱うファイルは拡張子がWAFという独自のものだが、WAVとWAFの相互変換ができるのでインポート自体はカンタン。

 まずはインポートしたWAFを波形表示にして、キュートーンを正確に削除する。これで各トラックのタイミングはドンピシャになる。音量調整の注意点はモッティのギターパートのアラをいかに隠すか(苦笑)、だ。単に音量を下げるだけでなく、上モノをかぶってしまわないように、また下げすぎて音が薄くならないように注意しながらの作業だ。

 こうやって各トラックの音量を調整したのち、複数のトラックを2トラックにまとめる。そしてまとめたWAFをWAVに変換すればミックス作業の完了だ。ミックス作業に関しては、元の音データさえ残していればビデオ制作の進行に応じて再ミックスすることも可能だが、サウンドとビデオを両方同時に進めるとまとまらなくなってしまうので、納得できる状態にしておくことが大切。完成したオリジナルソング、本当は音楽CDで配布したいところだけど、Webで聴いてもらうためにWMAとMP3のファイルを用意したので、「Windows Media Player」で聴いてみてほしい。

“杜ドル”オリジナルソング「Going Ahead」 “杜ドル”オリジナルソング
「Going Ahead」

WMAファイルの再生
(2.83MB)

MP3ファイルの再生
(2.81MB)

 これでレコーディングと音楽制作はすべて完了。次回はいよいよ3D CG制作に乗り出す。まずはまのりと共演するかわいらしいキャラクターのモデリングからだ。待て、次回!!!!!!!!!!!!!

■「Music Studio Standard」
【著作権者】Frieve 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】2.40(99/12/28)
□Frieve Home Page
http://www.yk.rim.or.jp/~frieve-a/
□窓の杜 - Music Studio Standard
http://www.forest.impress.co.jp/library/music_studio.html

(望月 貞敏)


 記事中の楽曲の作詞者はまのりとその友達、作曲者は岡村 正章氏です。著作権は各氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。
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