【第106回】
フライトアクション「Crimson Skies」
これぞフライトシミュレーターの新しいカタチ!?
(00/11/01)
フライトシミュレーターに求められる要素は、まず第一にリアルであること。これはシミュレーションソフトとしてまさに王道だと思うし、実際にすばらしいソフトが次々に登場している。しかし、ゲームとしてのおもしろさやワクワク感はどうだろうか? 高度なシミュレーションソフト、イコール、おもしろいゲームソフトとは必ずしもいえないのも、また事実だろう。…というわけで今回は、マイクロソフトが12月に発売を予定しているフライトアクション「Crimson Skies」を紹介したい。戦闘機の操縦と破天荒なシナリオ、そしてハリウッド映画的演出を組み合わせた、新しいタイプのゲームだ。これは、フライトシミュレーターの新たな進化型といえるかもしれない。
1939年、“空賊”と呼ばれるならず者たちがいた
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デモ版でプレイできるのは、全24ミッションのうち最初の2本
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「Crimson Skies」は、その設定から遊び心でいっぱいだ。時は、第二次世界大戦を目前に控えた1937年。大恐慌に苦しむアメリカに、空の海賊、“空賊”と呼ばれるならず者たちがいた。彼らは巨大な飛行船をねぐらにしてアメリカ全土を荒らしまくり、財宝や最新兵器を奪って暮らす毎日。もちろんこれは架空の設定なのだが、どことなく宮崎駿的なロマンを感じる。プレイヤーが演じるのは、ハンサムでクールな空賊“ネイサン・ザッカリー”。自分たち以外はみんな敵という厳しい環境の中で、あるときは軍の戦闘機に追われ、またあるときは囚われの美女を救出し…と、とにかくスリリングでハードでタイトロープな人生が楽しめるというわけだ。かといってシリアスなわけでもなく、そう、どこかマンガチックなドタバタ感があるところがいい。
本気で飛びたいならジョイスティックをぜひ!!
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フライト前のブリーフィングで、ミッションの流れと目的を確認
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搭乗する機体と武装を選択。驚くほどの重装備だ
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デモ版を起動すると、画面の解像度の設定ダイアログが表示される。解像度を高く設定すればするほど美しい映像で楽しめる反面、処理の負担は重くなる。使っているパソコンの性能に合わせて、無理のない解像度を指定しよう。ちなみにこのゲームでは、Pentium II 266MHzが必要最小限のシステムとされている。
デモ版が起動したら、メインメニューから“PREFERENCE”をクリック。ここではコントローラーの設定やゲームの難易度を選ぶことができる。とくに変更する必要はないが、念のためプレイに必要なキーを確認しておこう。主なものは以下のとおりだ。
機種の上/下 | [↓]/[↑]キー |
エルロン右/左 | [←]/[→]キー |
ラダー右/左 | [.]/[,]キー |
加速/減速 | [^]/[-]キー |
スロットルレベル | フルキーの[1]~[9] |
視点の切り替え | テンキーの[1]~[9] |
機銃発射 | スペースバー |
ロケット弾発射 | [X] |
ただし、このゲームはとても微妙な操縦が必要で、キーボードやマウスのみでコントロールするのは難しい。やはりジョイスティックやジョイパッドを用意したほうがいいだろう。そのほうがずっと燃えて楽しめると思う。
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視点は自由に変えられる。地表の描写もすばらしい
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ミッションに合わせて武装を変更
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山肌を繰り抜いたトンネルの中に、怪しい石像が見える
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再びメインメニューに戻ったら、今度は“CAMPAIGN”をクリックする。プレイヤー名は“Nathan Zachary”を選んで、“CONTINUE”をクリック。飛行船の格納庫が表示されるので、“NEXT MISSION”をクリックして次へ進む。ここでは地図を使ってミッションの内容が説明されるが、英語の音声のみ、しかも字幕もないので、わからなければとばしてしまってもかまわない。“GO TO FLIGHT CHECK”をクリックして先へ進もう。FLIGHT CHECK画面ではミッションの内容が箇条書きで示されるので、自分が何をすればいいのか確認しやすいはずだ。“FLY MISSION”をクリックすると、いよいよプレイが始まる。
なお、LIGHT CHECK画面では、戦闘機の武装を変更することもできる。この戦闘機には30~50ミリの機関砲6門と、4つのペイロードが用意されている。各機関砲にはスラグ弾(Slug)が装填されているが、敵戦闘機との空中戦がメインなら炸裂弾(Explosive)を選ぶのも悪くない。一方、ペイロードには高性能爆薬を積んだロケット弾(High Explosive)が装填されており、こちらは対装甲用のアーマーピアシング弾やショートレンジの対空砲に変更することもできる。爆撃機や飛行船など大型のターゲットを狙うなら、High Explosiveのままでいいだろう。
大海賊ドレイクの秘宝を探せ
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イギリスの戦闘機を50ミリ機関砲で狙い撃ち!!
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あとはもう実際に飛んでもらうのが一番だとは思うが、とりあえず最初のミッション「The Lost Treasure」の流れについて簡単に紹介しよう。このミッションでは、大航海時代の海賊“フランシス・ドレイク”がハワイの小島に隠した財宝を見つけ出すのが目的だ。飛行船“パンドラ”から発進すると青い文字で目的地が示されるので、そこへ向かって飛んでいこう。最初の目的地であるトンネルを抜け、続いて山間部の財宝を確認。その後峡谷の橋を渡る軍用ジープから突然銃撃を浴びるので、これを破壊し、入り江に沈む海賊船に後部座席に座る仲間“ジャック”をパラシュート降下させる。ジャックは勝手に飛び降りてくれるので、プレイヤーは海賊船の上を低空で通過するだけでいい。
あとは飛行船パンドラに帰還するだけ…と思いきや、ここで財宝を狙うライバルの空賊“メデューサ・ケストレル”の待ち伏せにあってしまう。敵戦闘機全機を空中戦で撃墜し、ケストレルの飛行船の水素タンクを破壊。その後パンドラに着艦すれば、ミッション完了だ。パンドラへ着艦するには高度なテクニックが必要だが、[A]キーを押せば自動で着艦してくれる。
先尾翼式戦闘機の美しさに惚れた!!
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敵飛行船の水素タンクを撃て!! ロケット弾の攻撃が有効だ
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うーん、すばらしい出来!! 映像の美しさ、BGMの華やかさ、操縦の楽しさ、どれをとっても超一級品の仕上がりだ。ただひたすら飛ぶだけのフライトシミュレーターや、空中戦が目的のフライトアクションとは、おもしろさが全然違う。ハリウッド的演出とでも呼ぶべきか。次々と襲いかかる難題をクリアしながらプレイする感覚は、映画『インディ・ジョーンズ』に近い。こんなにドキドキするゲームはひさしぶりだ。
そしてなにより気に入ったのは、出てくる戦闘機がメチャメチャにカッコいいところ。プロペラを機体後部に配置した先尾翼式(エンテ型)の機体が、実に美しい。この時代に一般的だった牽引式のレシプロ戦闘機ではなく先尾翼式の戦闘機、しかも複葉にしたところは、アメリカ製のゲームというよりもジャパニメーションの感覚だ。ハワイ上空に浮かぶ、巨大なツェッペリン型硬式飛行船のデザインもすばらしい。ゲームデザイナーのセンスのよさというか、マニアックなコダワリを感じる。
製品版には24本のミッションを収録
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ミッションのクリアレベルに応じて記事のスクラップも増える
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デモ版では、製品版に含まれるミッションのうち最初の2つ「The Lost Treasure」と「The Bomber Heisi」をプレイすることができる。ただし、選べるキャラクターは主人公ネイサン・ザッカリーのみで、搭乗できる戦闘機も1種類だけ。ホームページに掲載されている情報によれば、製品版には全24本のミッションと11種類の個性的な戦闘機が用意されているとのこと。なお、ドキュメントには「デモ版でもMSN Gaming Zoneで8分間のマルチプレイを楽しめる」と書かれていたが、実際に試してみたところ、うまくログインすることができなかった。もっとも、編集部の環境で試してみたら問題なくプレイできたので、これは筆者の環境固有のトラブルのようだ。日本語の製品版は、2000年12月1日に発売が予定されている。
発売元 | マイクロソフト(株) |
価格 | 8,800円 |
発売日 | 12月1日発売予定 |
(CrimsonTrial.exe、43MB、ゲームデモ)
□「Crimson Skies」のホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/crimsonskies/
□「Crimson Skies」のダウンロードページ
http://www.microsoft.com/japan/games/crimsonskies/trial.htm
(駒沢 丈治)
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