【第103回】
「ワードバンド」
オンラインソフトや英和・和英・国語辞書、株価情報などをタスクバーから検索
(00/11/06)
インターネットでの情報検索が日常茶飯事になると、今度はいかに素早く目的の情報を入手できるかということが重要になってくる。例えば“メール”というキーワードをYahoo!やgoo、Infoseekなどの総合検索サービスで単に検索するよりも、メールソフトを探すなら窓の杜で検索、言葉の意味を調べたいならgooの大辞林で検索といった具合に、検索ジャンルによって検索サービスを変えれば必要な情報を素早く引き出せる。また、Yahoo!のようにサブメニューでニュースや株価、音楽などジャンル別の検索ができるサイトであっても、回線が混雑しているときはトップページやジャンル別検索のページを開くこと自体に時間がかかり、素早い検索ができないこともある。そこで今回は、キーワードを入力する検索ボックスをタスクバーに組み込んで、検索ジャンルを選べば、ジャンルに基づいた検索結果のWebページをダイレクトに開けるというソフトを取り上げよう。
どんなソフト?……タスクバーにWeb検索用のツールバーを追加
「ワードバンド」は、タスクバーにWeb検索用のツールバーを追加するソフト。特徴的なのが、目的とするジャンルを指定して検索できるという点だ。キーワードを入力したあとポップアップメニューからオンラインソフトや辞書検索、株価情報などの検索ジャンルを選べば、そのジャンルに応じた検索サービスを使って目的とする検索結果のWebページをダイレクトに開くことができる。また、フォルダパスを入力してフォルダを開いたり、ファイル名を入力して実行したり、GREPソフトと連動させてハードディスク上のテキストファイルに含まれる文字列を検索するといったこともでき、自分でメニューを追加することも可能になっている。
「ワードバンド」の基本的な使い方はいたって簡単。セットアッププログラムから[インストール]ボタンを押したあと、タスクバーの何もないところを右クリックして、[ツールバー - ワードバンド]を選ぶと、タスクバーに入力用の検索ボックスが追加される。これでインストールは完了だ。この検索ボックスにキーワードを入力し、右クリックメニューから検索サービス名を選択すると、検索結果のWebページをダイレクトにWebブラウザーで開いてくれる。検索サービスの選択メニューは、右クリックだけでなくメニューキーや[SHIFT]+[F10]キーでも表示できる。また、設定でデフォルトの検索サービスを指定しておけば、キーワードを入力して[Enter]キーを押すだけでデフォルト指定した検索サービスで検索でき、いちいち選択メニューを開く必要がない。
標準で対応しているWeb検索サービスは8種類。Infoseekの[オンラインソフト]、gooの[Exceed英和]、[Exceed和英]および[大辞林]、Yahoo!の[新辞林&コンサイス英和/和英]、便利コムの[7桁郵便番号]と[市外局番]、そしてYahoo!ファイナンスの[株価情報]が利用できる。右クリックメニューから選択するだけでこれらの検索サイトを直接利用でき、目的の情報を素早く得られるだろう。また、検索サイト以外のメニューとして、フォルダパスを入力してフォルダを直接開く[フォルダ]、ファイル名を入力して実行する[コマンドライン]が使えるほか、GREPソフトの「MIGREP」があればテキストファイル内の文字列を検索するサンプルメニューも用意されている。さらに、ヘルプに詳しく書かれている説明を参考にすれば、自分で好きな検索サービスを追加することも可能だ。
例えば窓の杜のソフトライブラリ内検索を追加したい場合なら、次のような手順になる。まず窓の杜のソフトライブラリ内検索ページを開く。[キーワード]に適当な文字列、ここでは“mail”と入力し、[Search!]ボタンを押そう。検索結果が現れたら、Webブラウザーのアドレスバーに表示されているURLすべてをクリップボードにコピーする。続いて「ワードバンド」の設定ウィンドウを開き、[メニュー]に「窓の杜ソフトライブラリ(&M)」と入力、[コマンド]にはコピーしたURLを貼り付ける。ここで、URLの中に「query=」と「&」で挟まれた“mail”の文字列があるので、これを「MYWORD」という文字列に書き換えよう。あとは[追加]ボタンを押せば、「ワードバンド」の右クリックメニューに[窓の杜ソフトライブラリ]が追加され、窓の杜ソフトライブラリ内のキーワード検索がタスクバーからすぐに行えるようになる。
筆者の環境ではこうして「ワードバンド」に追加した窓の杜ソフトライブラリ内検索で問題が起こらないことを確認しているが、もし他の検索サイトをワードバンドに追加して日本語で検索したときに、文字化けが起きたりうまく検索できない場合は、「MYWORD」という文字列の代わりに「EUC_MYWORD」に置き換えてみよう。また、サイトによっては検索結果ページのURLに、入力したはずの“mail”のような文字列が含まれていない場合がある。このときはWebページのソースを自分で解析して検索サーバーに渡すべきURLを決めなければならないため、HTMLのFORM入力やCGIの知識が必要となる。
ここがスゴイ!……手軽さと効率のよさ、柔軟性
「ワードバンド」のスゴイところは、検索ボックスをタスクバーにつけるという発想と、オンラインソフトや辞書など検索目的のサービスを選んでから検索できる効率のよさ、そして自分で検索サービスを追加することもできる柔軟性だろうか。タスクバーに機能として追加することでいちいちWebブラウザーを起動する操作がいらず、不要なときは検索ボックスを隠しておけるし、常駐ソフトのようなシステムリソース消費がほとんどない。まさにOSに検索機能を組み込む感覚で手軽に利用できるだろう。見た目は小さなただの検索ボックスに見えるが、そこにはさまざまな用途が秘められているのだ。
こんな場合に便利……検索したいジャンルが決まっているときに
国語辞書検索はgooの大辞林といった具合に、どこのサイトにどんな検索サービスがあるのかをまったく知らなくても、はじめから8種類の便利な検索サービスが登録されており、インターネット初心者にオススメしたい。また自分で好みの検索サービスを新たに追加できるので、『オンラインソフトなら窓の杜のソフトライブラリ検索は欠かせない』と言っていただけるうれしい読者をはじめ、検索サービスにはこだわりのあるインターネット上級者にも、幅広くオススメできる。もちろんこの検索サービス追加の機能を使って、Yahoo!やgooなどで特に検索ジャンルを決めない標準の検索サービスを利用して検索するようなメニューを追加しておくのもいいだろう。
使用上の注意は?……メニューに追加するのが困難な検索サービスもある
実際に筆者もしばらく使っているが、特に大きな不具合などは見あたらず、とても安定して利用できている。気になる点もほとんどないが、しいて挙げるとすれば、検索サービスの追加方法がわかりにくいことは改善の余地があるだろう。特に検索結果のURLがWebブラウザーのアドレスバーに表示されない検索サービスを自分で「ワードバンド」のメニューに追加するのは、HTMLやCGIの知識がないと困難だ。何かもっと簡単にできる手段がほしい。また、ジャンルを指定せず普通にYahoo!やgooなど国内の代表的な検索サイトを検索するメニューもあるほうがよく、これらを設定でチェックボックスのON/OFFにより簡単に組み込んだり外したりできるとうれしい。やはりWeb検索の基本として、ジャンルを指定しない標準の検索サービスは必要だからだ。
【著作権者】mye 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,000円
【バージョン】1.10(00/10/12)
□MYE Soft ホームページ
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(ひぐち たかし)